森 麻季 ソプラノ・リサイタル

森麻季ソプラノ・リサイタルをKitaraで初めて聴いたのが2007年11月。森麻季はプラシド・ドミンゴ世界オペラコンテストのソプラノ部門で上位入賞を飾って類まれなコロラトゥラの美声と華やな容姿で一気に世界の注目を集めた。ドミンゴ、アラーニャなど一流オペラ歌手と共演。オペラ、オラトリオ、リートの分野で数多くの国際コンクール受賞を重ね日本の代表的なソプラノ歌手として確固とした地位を築いた。

待望のKitara初登場から10年近くが経って彼女のリサイタルを聴きたいと思っていた。今回はKitaraコンサート会場でチラシの案内は無く、“Kitara News”で「森麻季ソプラノ・リサイタル」公演を知った。〈札幌友の会〉主催の音楽会だったので前回より低料金で聴けた。(*《友の会》は羽仁もと子が創刊した雑誌「婦人乃友」の愛読者によって昭和5年に創立され全国各地に生まれた団体)。組織がしかっりしているので内部広報が中心で外部での宣伝活動は余り行なわないで公演が開催された。

2016年9月6日(金) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール
 
 札幌友の会 大人の音楽会
    森麻季 ソプラノ・リサイタル 
      ~愛と平和への祈りを込めて~    ピアノ/ 山岸茂人

《Program》
 菅野よう子:“花は咲く” ~NHK「明日へ」 東日本大震災復興支援ソング
 久石 譲:“Stand Alone” NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」メインテーマ
    〈ピアノソロ〉 シューベルト=リスト:「万霊節の祈禱」 
 モーツアルト:『レクイエム』より  「涙の日」
 ヴェルディ:『レクイエム』より  「涙の日」
 フォーレ:『レクイエム』より  「ピエ・イエス」   
    〈ピアノソロ〉 ドビュッシー:《映像第2集》より “葉末を渡る鐘の音”
 ヴェルディ:『レクイエム』より  「その日こそ怒りの日、災いの日、大いなる悲願の日~主よ、永遠の休息を彼らに与えたまえ~天地が震い動くその日、主よ、かの恐ろしい日に我を永遠の死から解放したまえ」

 べッリーニ:歌劇『清教徒』より  “ここであなたの優しい声が”
    〈ピアノソロ〉 ショパン:べッリーニの『清教徒』の行進曲による変奏曲
 べッリーニ:“激しい希求”、 “フィッレの悲しげな姿”、 “優雅な月よ”
 べッリーニ:歌劇『カプレーティ家とモンテッキ家』より “ああ、幾度か”
    〈ピアノソロ〉 ショパン:ノクターン第8番 変ニ長調 作品27-2
 べッリーニ:歌劇『夢遊病の女』より “あぁ、花よ、お前がこんなに早くしぼんでしまうなんて・・・”

開演20分前には会場に着いたがエントランスホールは入場中でも多くの客が列をなしていた。全席自由席なので1階席と2階正面CB席を求めて開場前から並んだ人々が予想以上に多いようだった。開演15分前には2階RA・LA以外はほぼ満席状態で1000名ぐらいは既に入場していた。5000円前後のコンサートが3000円で聴けると予想以上に客が集まる。(*今週末の大阪のコンサートは5000円。)

入場時に手渡されたプログラムは予想外だった。2部構成で前半は『レクイエム』、後半は『べッリーニ』。オペラのアリア、リート、日本の歌曲を予想していた。
始めにソプラノ歌手が台風で亡くなられた方々に哀悼の意を表し、被災者に見舞いの言葉を述べた。2011年の東日本大震災をはじめとする多くの災害に直面する社会で、彼女が《愛と平和への祈りをこめて》プログラミングをしたものと思われる。総花的な曲目にならずにポイントが絞られた演目になったのは評価できると思った。

「レクイエム」はそれほど好みでないので、普段は聴いていない。これらの作曲家の名高いレクイエムの曲はタイトルだけは知っている程度である。「モーツァルト:レクイエム」は今月の札響定期の演目になっているのでタイミングは良かった。
第1部のプログラムでの彼女の重量感のある衣装が豪華であった。曲の前にマイクを握って話す言葉がほとんど聴き取れないのが残念であった。

べッリーニ(1801-35)はロッシーニ、ドニゼッティと並ぶベルカント・オペラで有名なイタリアの作曲家。最大の傑作は「ノルマ」で「夢遊病の女」、「清教徒」、「カプレーティ家とモンテッキ家」なども良く知られた作品。彼のオペラをMETビューイングで一度は観てみたいと思っているのだが未だ機会は無い。「カプレーティ家とモンテッキ家」は藤原歌劇団によって今週末に東京で上演される。

べッリーニは長くてゆったりとして感情をこめて歌う旋律が多いと思った。透明感のある美しい歌声の連続で森麻季のコロラトゥラを駆使する歌唱の場面がなかったのが惜しまれた。第1曲『清教徒』での有名なアリアで聴かせる場面の歌の直後に“ブラボー”の力強い歓声が上がったが、“ブラヴァー”の方が相応しい場面だと個人的な感想を抱いた。いずれにせよ盛り上がりを見せたオペラ待望のアリアであった。

後半からRB席に移動していた。ショパンはべッリーニやロッシーニのオペラを観に足しげく劇場に通った話をピアニストがしてくれた。ショパンのピアノ曲も彼らの影響を受けたのだろうと思った。
山岸茂人(Shigeto Yamaginishi)は東京藝術大学卒業後、同大学院修了。声楽の伴奏者して活躍中。二期会イタリア研究会ピアニスト。
歌唱の合い間に入ったピア二ストの小品と彼のトーク。最小限の彼の話はハッキリ聴き取れて演奏とともに良かった。

1100名ほどの聴衆が集まったことで歌手も心をこめて全曲を歌い切ったが、ほっそりとした体形で十数曲も歌いこなすのはデビュー当時と違って大変なのだろうと思った。外国の歌手は男性・女性を問わず立派な体躯が必要とされているように思う。最後のアリアも名場面で素晴らしい演唱であったが、聴き慣れた曲でないと客の反応が十分でないのは止むを得ないところ。もちろん盛大な拍手がおくられた。

アンコール曲に①Rolf Lorland:You Raise Me Up.(*英語の曲で以前、ポップ歌手がアンコール曲に歌った。彼女の好きな曲でプラグラムには入れづらいので、アンコール曲として歌ったのかもと余計な想像をした。)
②グノー:歌劇『ロメオとジュリエット』より「私は夢に生きたい」。森麻季が使い切った喉の調子を心配しながら歌い切った曲。コロラトゥラを駆使した高音域の見事な歌唱で本日Kitaraに詰め掛けた聴衆も大感激! 期待した大迫力の歌声が最後に聴けて聴衆の拍手喝采がしばらく鳴りやまなかった。








関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

fsuterry

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
最新コメント
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR