PMFウィーン弦楽四重奏演奏会

2016年7月18日(月・祝) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール

出演/PMFウィーン(Members of the Wiener Phiilharmoniker)
    ライナー・キュッヒル(violin Ⅰ)、ダニエル・フロシャウアー(violinⅡ)、
    ハンス・ペーター・オクセンホーファー(viola)、エディソン・パシュコ(cello)
*パシュコはPMF初参加。他の3名は4年連続の参加。オクセンホーファーは前ウィ-ン・フィル奏者。

〈Program〉
 ハイドン:弦楽四重奏曲 ヘ長調 作品77-2「雲がゆくまで待とう」
 シューベルト:弦楽四重奏曲 第9番 ト短調 D.173
          弦楽四重奏曲 第12番 ハ短調「四重奏断章」 D.703
 ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲 第8番 ハ短調 作品110

ハイドン(1732-1809)が生涯にわたって書いた弦楽四重奏曲は全部で68曲。6曲ずつセットで書かれた作品が多いが、この作品は最後から2番目に作られた2曲セットの曲。ハイドンの弦楽四重奏曲で最も有名な「皇帝」はメロディに親しんでいるが、他の曲はあまり馴染みでない。実際に聴いてみると親しみやすい曲も沢山ある。演奏曲はタイトルが付いていて場面を連想しやすかった。

シューベルト(1797-1828)も短い生涯の間に約30曲の弦楽四重奏曲を作曲したと言われるが、失われた作品も多いそうである。初期の作品は家庭音楽的なものだったようである。「第9番」はハイドンやモーツァルトの影響から脱してロマン派的な傾向を持つ作品に感じられる。「第12番」は第1楽章のみの曲。過渡期の作品で弦楽四重奏曲の曲作りにシューベルトが悩んでいたのかも知れない。完成された作品として8年ぶりとなる第13番「ロザムンデ」と第14番「死と乙女」の2作は彼の代表作として演奏される機会が多い。

ショスタコーヴィチ(1906-1975)は交響曲の数と同じ15曲の弦楽四重奏曲を遺している。1960年に作曲された弦楽四重奏曲「第8番」は「ファッシズムと戦争の犠牲者の思い出に」捧げられた。冒頭の4つの音による主題が中心で5楽章全体に繰り返して現れる。4つの音はショスタコーヴィチの頭文字(DSCH)をドイツ語表記した時のアルファベット(DE♭CH)に当たる。彼の苦しみ、悲しみが伝わってくるようだった。
今年はショスタコーヴィチの生誕110年に当たるが、生誕100年の2006年から彼の交響曲を集中して聴くようになった。弦楽四重奏曲もエマーソン弦楽四重奏団のCDで聴き始め、コンサートで聴く機会も増えてボロディン四重奏団の2枚入りCDも手に入れた。何年経ってもショスタコーヴィチの音楽は鑑賞が難しいと思っていたが、少しづつ鑑賞力も高まった。
本日の演奏に備えて数度CDで耳にしたこともあり、PMFウィーンのレヴェルの高い迫力のある演奏のお陰もあって曲の素晴らしさを味わえて感動を覚えた。ショスタコーヴィチの音楽が身近に感じられたのは今までにない事であった。この曲の作曲前年の1959年に彼が無理やり共産党員にさせられた状況の中で、人生を振り返って旧作4曲のメロディも盛り込み3日間で一気に書き上げたと言われる。彼の自伝的作品を通して戦争の悲劇、悲惨さを感じた。

演奏中は常に真剣で気難しい表情のキュッヒルさんも演奏が終った途端に見せた笑顔はとても印象的だった。妻と友人と一緒に3人で3列目で鑑賞したが、こんなに前の列に座るのは珍しいが違和感は無かった。

アンコールに「日本民謡に基づくメロディ」を演奏した後、コントラバス奏者ブラーデラーの予想外の登場に客は大喜び。「チャイコフスキー:弦楽セレナード 第2楽章 ワルツ」の演奏で会場に一瞬ウィーンの華やかな雰囲気が広がった。

特別な午後のひと時を過ごせた想いに浸ってホールを後にして外に出た。友人に挨拶をしようと振り返った途端に一昨日芸術の森で出会った女性の姿が目に入った。アナさんと目が合ってお辞儀をしたら彼女が手を振ってお互いを確認した。彼女が私の名を口にして近づいてきた。私も彼女の通称“マレ”さんと言って奇遇を喜んだ。今回は日本語で会話したが、彼女はウィーンでカルテットを組んで活動しているとのことだった。“またお会い出来るといいですね”と言って別れた。良い出会いが2回もあった。いいことは3度あるかもしれないと思った。

[追記〕 弦楽四重奏によるアンコール曲は「佐渡おけさ」と発表されているが、曲の主なメロディは《あんたがたどこさ》であった。作詞・作曲不詳の童謡として親しまれている。
子供の時に親しんだ歌詞は次の通り。“あんたがたどこさ 肥後どこさ 熊本さ 熊本どこさ せんば山には狸がおってさ それを猟師が鉄砲で撃ってさ 煮てさ焼いてさ食ってさ それを木の葉でチョイトかぶせ”。
熊本市船場地区が舞台の日本のわらべ歌とされているが、異説もあるようである。熊本にまつわる歌には違いない。
日本の歌をかなり編曲して西洋的な解釈をした曲になっていて興味深く聴いた。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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