ベルリン交響楽団 札幌公演2016

旧東ベルリンに1952年に設立されたベルリン交響楽団(Berliner Sinfonieorchester)による初の札幌公演が行なわれたのが2001年11月であった。(指揮はエリアフ・インバル)。旧東ドイツが旧西ベルリンのベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(Berliner Philharmoniker)に対抗するために創設したオーケストラとして知られた。1966年旧西ベルリン創立のベルリン交響楽団(Berliner Symphoniker)と混同されやすいので(*日本では全く同じ名称の日本語が使われていた)、2006年に名称がベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団に変更された世界の主要オーケストラである。

2002年の初来日以来、度々日本ツアーを行なっているベルリン交響楽団はベルリンのトップ・オーケストラではない。首席指揮者シャンバダールに率いられるベルリン響の演奏会は料金も比較的に安くて、プログラムも名曲ばかりで人気の公演になっているようである。私は4年前の札幌公演のソリストがイリヤ・カーラーだったので初めてこのオーケストラの公演を聴いた。聴衆を引き付けるシャンバダールの巧みな指揮ぶりに感心した。

Lior Shambadalは1950年、イスラエル生まれ。97年ベルリン交響楽団の首席指揮者に就任。イスラエル・フィル、バイエルン放送響、ミュンヘン・フィルなどにも客演。ベルリン響の海外ツアーでの活躍は顕著で今回は8回目の来日公演。
Ilya Kahlerは1963年、モスクワ生まれ。パガニーニ(1981)、シベリウス(1985)、チャイコフスキー(1986)国際コンクールの全てに優勝し世界の主要オーケストラと共演を重ねている。

2016年7月5日(火) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

〈Program〉
 エルガー:愛のあいさつ
 ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 作品67「運命」
 ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
 ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 作品95「新世界より」

開場時の混雑ぶりからベルリン響の人気ぶりがうかがえた。会場を埋めた9割強の観客の期待度も高まっていた。
演奏に120分かかる3曲のプログラムに加えてオープニングに「愛の挨拶」が管弦楽曲として演奏された。間を置かずに「運命」。この1ヶ月で3度の「運命」に食傷気味のせいもあって、盛り上がらない平板な演奏に拍手をする気分にもならなかった。拍手をする人は勿論いたが盛大なものではなかった。楽団員も慌ただしく次の曲の準備に入っていた。

イリア・カーラーがステージに出てきて抒情的な旋律を奏でると彼の音楽に聴衆の耳が集中した。カデンツァも入っていたがオーケストラと呼吸を合わせ交響曲的な音楽を展開した。カーラーがオーケストラから引き出す音をバックにヴァイオリンが奏でる演奏は実に素晴らしかった。さすが世界のコンクールの覇者だった経歴を感じさせる演奏であった。
演奏終了後の聴衆の反応も大きく、傍でシャンバダールが見守るうちにアンコールに応え「バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番より“サラバンド”を演奏した。時計は8時半を指していた。

人気曲「新世界より」については改めて言及するまでもない。4年前より一層体格が良くなったのか、ネルロ・サンティを思わせる堂々たる体躯をしたリオン・シャンバダール。最後のドヴォルザークで力量を発揮した。聴衆も聴き慣れた美しいメロディに満足した様子で、演奏終了後にはブラヴォーの声も上がった
遅い時間(9時35分)になっていたが多分アンコール曲を演奏するだろうと思っていた。前回にアンコール曲の披露で強烈な印象を受けて人気の要因の一つと感じ取っていたからである。アンコール曲があったのは予想通り。ところが、巧みな日本語での挨拶にはビックリ!。“ありがとうございました。アンコールにエルガー:エニグマ変奏曲 二ムロッドを演奏します。”と言った。鳴りやまぬ盛大な拍手に聴衆を制して“おやすみなさい”の言葉に皆、大笑い。コンサート終了時間は9時40分。こんな遅い時間は極めて珍しい。家路に着く人々の姿は楽しい雰囲気に満ちていた。

※2004年11月に世界のトップ・オーケストラ、ベルリン・フィル公演を聴いた時の料金は42.600円。それだけの価値があったのか未だ判らない。今回の札幌での料金は¥10.500~¥6,000。オーケストラのレヴェルなどで料金が違うので料金の高低は一概に言えない。高い料金でもウィーン・フィルとベルリン・フィル札幌公演は常に完売でチケットを手に入れるのも困難な状況になる。需要と供給の関係に左右されるが音楽の質にこだわる専門家は別にして素人には今回のような料金で音楽を気軽に楽しめる機会が増えると良い面もある。(*今回の料金は各演奏地で違って¥11.000~¥5.000)
 
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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