札響第591回定期演奏会(尾高惇忠の最新作とザ・グレイト)

~尾高惇忠の最新作とシューベルト最後の交響曲~

2016年7月2日(土) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

指揮/ 尾高忠明(Tadaaki Otaka)  ピアノ/ 清水和音(Kazune Shimizu)

〈プログラム〉
 尾高惇忠:ピアノ協奏曲
 シューベルト:交響曲第8番 ハ長調 D.944 「ザ・グレイト」

尾高惇忠(Atsutada Otaka)は1944年生で忠明の兄。東京藝術大学作曲科卒業後に渡仏してパリ国立高等音楽院卒業。在学中
デュティ―ユらに師事。(*次回の札響定期はデュティ―ユ生誕100年記念プログラム)。日本の交響楽運動の先駆者でN響の前身である新響の指揮者として活躍し作曲家でもあった父・尚忠の息子。尚忠を記念して優れた作曲活動に対して贈られる《尾高賞》を2回受賞(82年、13年)している。作曲のジャンルは多岐にわたる。
2009年に札幌で開催された《第10回現代日本オーケストラの夕べ》を尾高忠明指揮札響を中心とするオールジャパン・シンフォニーオーケストラによる演奏で聴いたことがある。三善晃、武満徹、尾高惇忠、尾高尚忠の4作品。演奏会の印象は“近寄り難い特別なものではなく案外に身近に感じられる音楽”であった。惇忠の曲は〈オーケストラのための「肖像」〉(1993年)。

今回演奏されたピアノ協奏曲は日本フィルの委嘱作品で今年3月、サントリーホールで野田清隆のピアノ独奏、広上淳一指揮日本フィルによって世界初演。開演前に作曲者によるプレトークがあり、彼は多楽章でピアノとオーケストラの曲に取り組んだと言う。オーケストラとの関係でピアノの多様な可能性を試みたようである。3楽章構成で約30分の曲。聴き慣れたピアノ独奏と違って独奏部分に独特な工夫を凝らしていた。12種類の打楽器が使われていたのも特徴となっていた。

ピアノ独奏の清水和音は20歳で1981年ロン=ティボー国際コンクールに優勝。以来、順風満帆の勢いで活躍を続けている。Kitaraに初登場した2001年以降、彼の演奏を聴くのは6回目。2011年にデビュー30周年記念で札響と「ラフマニノフ:ピアノ協奏曲全曲」を演奏した時の感動は忘れ難い。彼の魅力は思いきりの良いダイナミックな力強い演奏である。今日も聴衆の心を引きつける迫力ある打鍵が印象的だった。
名曲だけでなく珍しい作品を耳にするのも定期演奏会の良さである。そういう意味では今シーズンの札響のプログラムには新鮮さがあると感じている。

シューベルトの交響曲で「未完成」と「ザ・グレイト」は聴く機会が多い。それぞれ「交響曲第8番」、「交響曲第9番」とされていた。“Unfinished”は60年前から親しんでいる曲であるが、“The Great”は25年ほど前からである。所有している6枚のCDはいずれも古い番号つきで2002年ケンペ指揮ミュンヘン・フィルのSONY版(録音1968年)のみSINFONIE Nr.8(9) C-dur,D944“DIE GROSSE”となっていた。約20年前録音のムーテイ指揮ウィーン・フィルによる全曲盤には第7番は入っていない。国際シューベルト協会が1978年に第7番をシューベルトの作品から削除して、それまでの番号を変更して第8番と第9番の番号が繰り上がったとされる。長年の慣習で切り替えがうまく行かずに混乱していたようである。十数年前から統一されたように思われる。

長くて美しい旋律で曲が始まる。ホルン、トロンボーンが奏でる演奏は効果的である。第2楽章のオーボエの可憐で鄙びた旋律が印象的!第3楽章は舞曲的なスケツォで親しみやすい。第4楽章は長大なフィナーレ。指揮者によっては演奏時間が50分から60分で10分ほどの違いが出るがテンポの違いもあるだろうが繰り返しの差があるのかもしれない。
今日の演奏では聴いていて心地は良かったが第2楽章での繰り返しが多かったように感じた。全体的には久しぶりで聴く「ザ・グレイト」を楽しく聴けた。シベリウスの交響曲での指揮ぶりに比べて、尾高の指揮ぶりがダイナミックな感じが出ている印象を強く受けた。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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