アレクサンデル・ガジェブ(浜松国際コンクール優勝者)ピアノリサイタル

〈浜松市・札幌市 音楽文化交流都市交流事業〉

浜松市と札幌市は音楽文化の交流を行なっている。浜松国際ピアノコンクール優勝者/札幌市長賞受賞者が札幌での演奏会に毎回参加している。2009年第7回の優勝者、韓国のチョ・ソンジンがPMF2010のオープニングコンサートでPMFオーケストラと共演して「チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番」をKitara大ホールで演奏した。2012年第8回の優勝者、ロシアのイリヤ・ラシュコフスキーは札幌芸術の森でおこなわれたPMF2013オープニングコンサートで「リスト:ハンガリー狂詩曲第2番とラ・カンパネラ」を演奏。
2015年第9回の覇者イタリアのガジェヴが昨日のKitara 小ホールで大々的なリサイタルを開催した。
今回のKitara 小ホールでのリサイタルは第4回浜松国際ピアノコンクール優勝者ガヴリリュク以来のことである。

2016年6月24日(金) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール

〈プロフラム〉
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 作品110
 ショパン:ピアノ・ソナタ第2番 変ロ長調 「葬送」 作品35
 J.S.バッハ(ブゾーニ編曲):シャコンヌ ニ短調 BWV1004
 リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調

現在では比較的に聴き慣れた曲ばかりとはいえ、4曲とも力の抜けない大曲。プログラミングに力が入っていると思った。
ベートーヴェンの後期三大ピアノ・ソナタに親しみを覚えるようになって5.6年になる。それまでは曲にタイトルの付いた曲ばかりを聴いていた。この数年はコンサートで取り上げられることも多くなったので、親しみのある旋律も増えた。叙情的な味わい深いソナタとなってベートーヴェンの内面性もより印象深く感じ取れる。

ショパンのソナタ「第2番」「第3番」はコンサートで何十回も聴いているが、毎回曲の素晴らしさを味わっている。特に印象的なのは《第2番》の第3楽章「葬送行進曲」。久しぶりで1階6列9番の席に座ってピアニストの運指がはっきり見れた。第1楽章の打鍵の強さと運指の素早さは想像以上であった。激情的な表現と穏やかで柔和な心の動きの対比がよく出ていた。特に葬送での清らかな音楽が心に響く。
※「葬送行進曲」には今までに忘れられない思い出が2つある。1つは昭和天皇が崩御した昭和64年1月7日。当日は初めて聴くブーニンのコンサートが行なわれる日になっていた。電話でコンサートの開催を確認して会場に足のを運んだ。開幕前に“演奏終了後の拍手はご遠慮ください”とアナウンスがあった。緞帳が開いて「ショパン:葬送行進曲」が奏でられた。(*1989年1月7日の出来事)
もう1つは09年ケマル・ゲキチのコンサートでの出来事。ショパンの全曲バラードやリストのロ短調がメインで2時間に及ぶコンサートの後にアンコール曲が4・5曲は演奏された。そのうちの1曲が9分近くかかる「葬送行進曲」だった。30分にも及ぶアンコール曲を披露してくれたが忘れ難い思い出となっている。

ブゾーニ編曲のバッハの「シャコンヌ」はここ2・3年コンサートでよく聴く。〈無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番の第5楽章〉でクレーメルやハーンの演奏で耳にしている馴染みの旋律。ヴァイオリン曲として聴く習慣を身につけたせいか、全曲の流れの中で聴く「シャコンヌ」は何といっても雄渾で壮大な音楽。ピアノ曲で聴く音としてかなりの音量を意図的に出したのだろうが、バッハのイメージがピッタリこなかったのが正直な感想。

リストの曲で「ロ短調」を意識し出したのは10年くらい前。リヒテルとアルゲリッチのCDを持っていたが、ピアノ協奏曲2曲と一緒に収録されていて、そのことに気づいたのも5.6年前のことであった。リストの他の作品と違って演奏会の曲目になることも殆どなかった。今回の演奏会で聴くのは久しぶりだった。リストが試みた大胆で革新的な曲作り。演奏者の生演奏を見ているだけで心が躍る。CDでよほど集中して聴いていないと伝わらない音がライヴでは演奏技術が眼前で刻々と繰り広げられた。これほどの迫力で演奏される曲を目の当たりにして名状し難い気持ちになった。とにかく30分に亘る圧巻の演奏は聴衆の度肝を抜いた。

演奏終了後の万雷の拍手は割れんばかりであった。精力を使い果たしたと思われたが続いて2曲のアンコール曲を披露した。超絶技巧に満ちた曲は21歳の若者のエネルギーの凄さを感じさせた実に力強い演奏だった。最後は美しい旋律の馴染みの曲でリサイタルを締めくくった。
アンコール曲は①ドビュッシー:12のエチュード 第11曲 “組み合わされたアルペッジョのための“、②プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第7番 第3楽章 Precioitato、③ドビュッシー:前奏曲集 第1集 第8曲「亜麻色の髪の乙女」。

※過去の浜松国際ピアノコンクールの優勝者や入賞者はその後の活躍も目覚ましく、16歳で優勝したガブリリュクは今や若くして巨匠と呼ばれる活躍をしており、15歳で優勝したチョ・ソンジンは前回のショパン国際コンクールでも見事な優勝を飾った。20歳で優勝を果たしたガジェヴの今後の活躍は期待大である。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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