宮田 大 チェロリサイタル

宮田 大は2009年ロストロポーヴィチ国際チェロコンクールで日本人として初優勝して話題を集めた。Kitaraには2012年12月、読売日響の創立50周年プログラム「3大協奏曲」で辻井、成田とともに出演し、「ドヴォルジャークの協奏曲」を演奏して聴衆の大喝采を浴びた。昨年は《Kitaraのクリスマス》で広上淳一指揮札響と共演して「ドヴォコン」を再演。今回は初めてのリサイタル。

以前のテレビ放映でDAIは3歳から両親が用意した特別に小さな楽器チェロを弾き始め、幼少の頃からチェロ一筋の特別な音楽教育を受けていたことは知っていた。9歳から出場するコンクールは全て第1位で2005年第74回日本音楽コンクールにも優勝。
去る5月17日「徹子の部屋」にゲスト出演して興味深い話が聞けた。チェリストの父、ヴァイオリストの母の下でチェロを始めたが、飴を左手に載せて練習して成功したら練習後に食べるという方法もあって子供ながらに楽しんでいた事。バレーボール部でセッターとして活動した事。栃木・東京間を新幹線で通ったことも話していて面白かった。16歳で小澤征爾指揮で協奏曲を演奏し、26歳で再びハイドンのチェロ協奏曲を共演した思い出も語った。小澤には自由に弾くことを教えられたという。チェロは左手に重心がかかリ左指で弦をはじく力を必要とするせいか、彼の左腕の筋肉は凄い固さで黒柳徹子も驚いていた。この時はとにかく世界的な才能を育んだ両親の愛も伝わってきた。

2016年6月5日(日) 開演13:00  札幌コンサートホールKitara大ホール

〈Program〉
 サン=サーンス:白鳥 「動物の謝肉祭」より
 ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
 ヴィヴァルディ:チェロ・ソナタ ホ短調 Op.14-5
 ポッパー:ハンガリア狂詩曲
 プロコフィエフ:チェロ・ソナタ ハ長調 Op119

独立したチェロ作品として親しまれている「白鳥」。マイスキーのチェロ名曲小品集のCDで親しんだ。もともとは14曲のの小曲から成る組曲「動物の謝肉祭」の第13曲。美しいチェロの旋律が水上を滑る白鳥の姿を描いている。

ラヴェルのピアノ曲として最も親しまれているが管弦楽曲にも編曲されている。実に美しく優しい旋律を持つこの作品がチェロの楽器で奏でられるのに全く違和感はなかった。心に沁みるメロディにウットリ! ピアノ曲で聴く以上に心に響くものを感じた。

ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲は演奏される機会は多いが、「チェロ・ソナタ」を聴いたのは初めてかもしれない。10分程度のソナタは心地よく聴けた。

ポッパー(1843-1913)は記憶には無かった作曲家。今日の演奏会はソナタだけの予定プログラムの変更があるようだったので手元にあるチェロ名曲小品集のCD2枚(マイスキー、シュタルケル、藤原真理)を聴いてみた。こんな時でもないと聴く機会が余りない。「ハンガリー狂詩曲」が名曲集に含まれていて、シュタルケルが弾いていた曲で何度か耳にした懐かしいメロディが流れた。作曲家名はすっかり忘れていた。彼はチェロの名演奏家・作曲家だった。プラハ生まれでウィ‐ン・フィルの首席奏者を務めたという。ブタペスト音楽院で教鞭をとったこともあって、ハンガリー音楽と出会ったようである。
曲にはロマの情熱的な民俗音楽が表現されている。リストがピアノ曲に使った旋律がフィナーレで超絶技巧を駆使して現れた。圧倒的なフィナーレとなった。

ドビュッシーとR.シュトラウスのチェロ・ソナタが収録された宮田のCDをコンサート開始前に購入した。ポッパ―作曲の小品とアンコール曲に弾かれたラフマニノフのヴォカリーズが収められていたのは全くの偶然であった。

後半のプログラムは本日のメイン、プロコフィエフのソナタ。 多分、初めて耳にする曲。ピアノやヴァイオリン曲と同様に新しい音楽作りを行なったプロコフィエフらしい特徴のある曲であるが、案外と親しめそうな30分程度の曲。
曲の最初からピッツィカート奏法が使われて随所に20世紀作曲家による晩年の作品と思える作品。ここ何年も聴いていないが、プロコフィエフが亡くなった年の前年に1952年に完成した「チェロと管弦楽のための協奏曲」というロストロポーヴィチのCDが手元にあった。明日にでも聴いてみようと思う。

“人間の声に似た音を出すチェロを通して自分の言いたいことを伝えれる”とテレビ出演で語っていた宮田は思い通りの演奏を伸び伸びと展開した。
ピアノは7年前からペアを組んでいるというベルギー出身のジュリアン・ジェルネ(Julien Gernay)。彼はパリ国立高等音楽院でベロフに学び、プレスラー、シュタルケルにも学んでピアノと室内楽でプレミア・プリを得て卒業。世界中の主要なホールでのコンサートに出演して活躍中。

予定のプログラムが終了したのが2時半。1階はほぼ満席で2階正面の席を含めて集まった900人弱の聴衆は演奏終了後に大歓声を上げた。アンコール2曲の後に、“仕事とは思っていないが2時間の枠内でもう1曲”と言って、サントリーホール30周年記念で弾く予定のバッハの無伴奏チェロ組曲を演奏し、最後に日本人作曲家の曲をジェルネと一緒に演奏してコンサートを締めくくった。アンコール曲が4曲も披露されて聴衆は大喜びだった。

アンコール曲は①グラズノフ:吟遊詩人の歌、 ②ラフマニノフ:ヴォカリーズ、 ③バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番“プレリュード”、④植松伸夫:サヤルカンドにて。

帰りのサイン会が行われたホワイエには多くの人が並んで列をなした。 並んだ行列を見ると周囲は殆どご婦人ばかりでビッリ! 宮田は一人一人に丁寧な対応で人柄が出ていると思った。私もいつものように二言、三言。〈徹子の部屋〉の感想を述べると握手される手に力が入っていた。音楽家としてだけでなく、人間としてあらためて好印象を受けた。

宮田は国内外のオーケストラと共演し、クレーメル、バシュメット、ヴェンゲーロフ、デュメイなど著名なソリストとも共演を重ね、国内外の音楽祭にも出演している。現在、水戸室内管のメンバーとしても活躍して、忙しいスケジュールが待っているが、また来年以降の札幌での公演を期待したい。


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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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