中村恵理ソプラノリサイタル

ヨーロッパを中心に世界の歌劇場で活躍を続けるソプラノ歌手、中村恵理がKitaraに初登場した。2008年より英国ロイヤル・オペラハウスに在籍して、ネトレプコの代役として「カプレーティ家とモンテッキ家」に出演する幸運を掴んで注目を集めた。10年以降、バイエルン国立歌劇場専属ソリストとして活躍中。

2016年6月2日(木) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール

〈プログラム〉
 シューベルト:ガニュメート、ます、糸を紡ぐグレートヒェン 
 C.シューマン:私はあなたの眼の中に、彼は雨と嵐のなかをやってきた、
          美しさゆえに愛するのなら
 R.シューマン:子供の情景 Op.15より トロイメライ(ピアノ・ソロ)
 R.シュトラウス:献呈、 薔薇のリボン、 ツェツィーリェ
 小山作之助:夏は来ぬ
 中田喜直:すずしきうなじ、 霧とはなした
 プッチーニ:歌劇「ジャンニ・スキッキ」より “私の大好きなお父さん“
 マスネ:歌劇「マノン」より “さようなら、私たちの小さなテーブルよ”
      歌劇「エロディア―ド」より “彼は優しい人”
 ヴェルデイ:歌劇「椿姫}より “ああ、そはかの人~花から花へ”

ドイツ・リート9曲、日本の歌曲3曲、オペラのアリア4曲。バラエティーに富んだ内容でバランスの良いプログラム。圧巻はオペラのアリアでヨーロッパの歌劇場専属歌手として活躍中の現役ソプラノ歌手の演唱を堪能した。

ドイツ・リートの中にピアノ五重奏曲に引用されたメロディがあって心地よく聴けた。ゲーテの「ファウスト」のグレートヒェンが歌う曲は歌のタイトルを知っていた程度。ピアニストとして有名だったクララ・シューマンがリュッケルトの詩につけた3曲の作品は新鮮に感じた。シューベルトは歌曲王と呼ばれ、R.シューマン、R.シュトラウスも歌曲をたくさん書いているが、ドイツ・リートの良さは簡単には解らないのが正直なところである。

愛の歌が多かったが、中村が短い時間で歌に気持ちを投入して大きく口を開けて歌う発声が印象に残った。ドイツ語で言葉が明確に伝わる基本を大切にしている様子が伝わった。

「夏は来ぬ」は懐かしい唱歌で1番の歌詞が自然と出てきた。作詞家の佐々木信綱の名は知っていたが、“日本音楽教育の母”と呼ばれる小山作之助(1864-1927)という作曲家の名は知らなかった。中田喜直(1923-2000)は名曲の数々で有名であるが、歌われた2曲は知らない曲だった。

オペラ歌手の歌声が存分に楽しめたのが最後のプログラムのアリア。プッチーニとヴェルデイの有名なアリアはCDやライヴで聴く機会もたまにあり親しんでいる歌。マスネの歌劇「エロディア―ド」は初めて耳にした。「マノン」は数年前のMETビューイングで観た。マノン役がネトレプコだったので、中村とネトレプコの繋がりを知って更に興味深く聴けた。世界のディーヴァと渡り合うだけの実力を身に着けている中村恵理を一層頼もしく感じた。

歌劇「椿姫」は実演などでも数回見ているが、外国の歌手に劣らぬ歌唱ぶりであった。ヴィオレッタが歌い上げるアリアをピアノ伴奏だけのステージでオーラを放ちながら堂々と演唱する姿には心を揺さぶられた。
(*ピアノの木下志寿子は新国立劇場ピアニスト、同劇場オペラ研究所講師などとして活躍中。)

中村恵理は生まれ持って恵まれた声の持ち主だが、ドイツ語・フランス語・イタリア語で歌い分けながら演ずる今日までの努力は並大抵のものではないと改めて思った。彼女のプロフィールに「2014年NHKニューイヤーオペラコンサート出演」とあったので、当時の自分のブログを読み返すと、彼女の名があった。この頃には日本でも彼女のオペラ歌手としての名声は高まっていたようである。

割れんばかりの盛大な拍手に応えて、アンコール曲」が2曲。「プッチーニ:歌劇「つばめ」より “ドレッタの美しい夢”」と「岡野貞一:おぼろ月夜」。


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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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