ユンディ・リ ショパンを弾く YUNDI PIANO RECITAL 2016

YUNDIが第14回ショパン国際ピアノ・コンクールに優勝した翌年4月に札幌公演を行ってから15年。これまでに札幌でのリサイタルは5回、オーケストラとの共演が2回あった。毎回聴き続けていたので2012年9月の公演中止は残念だった。前回14年11月の公演以来、札幌公演は8回目になると思う。李 云廸に関するブログは12年、14年に続いて3回目。(*云は雲の簡体字だと思う)

2016年5月31日(火) 7:00PM開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

〈Program〉
 ショパン:バラード第1番、第2番、第3番、第4番
 ショパン:24の前奏曲 Op.28

今回はオール・ショパン・プログラム。2015-16シーズンはショパン・コンクールで審査員を務め、2015年秋と16年春に「オール・ショパン・プログラム」で行なう日本ツアーは彼のメッセージに書かれている“ショパン・イヤー”の意味するところ。

1月の辻井伸行日本ツアーで《4つのバラード》を聴いた。4曲の中で「バラード1番」は最も親しんでいる。近年は「第2番」や「第4番」もプログラムに入れるピアニストが増えて、これらの曲を聴く機会が増えた。「第2~4番」は曲中のメロディが浮かんでくる程には聴き親しんでいないので今回は河村尚子のCDで聴いておいた。

中世の舞踊歌だったバラードが、叙事詩、伝説や物語という内容を持つ新しいバラードに発展して音楽の分野に広がったらしい。19世紀初めに文学のジャンルであるバラードがポーランドに入った。ロマン主義の詩人が書いた詩に触発されてショパンは曲を書いたようである。プログラムには詩の内容も書かれているが、イメージだけを浮かべてショパン独特の分野として曲作りをしたように思う。4曲はそれぞれ別の人に献呈されている。

ショパンの曲の中ではドラマティックに展開されるバラード。ユンディは4曲一気に弾きたかったようであった。コンサート以外でも聴き慣れたメロディとあって「第1番」の演奏後に大拍手も起こったが、ユンディの反応は無かった。集中力を途切れさせたくないピアニストの気持ちが直ぐに伝わった。鑑賞の際の拍手も演奏家の意向をくみとる配慮が望まれる。2曲目以降、拍手をする人の数は減ってそれほど違和感はなかったが、、、。単独曲として演奏する場合と違って、連続して弾く時の演奏家の集中力は想像以上の精神状態にあることを理解したい。次曲に備えての時間の間も、ユンディは必要としていたようであった。
全4曲終了後にはブラヴォーの声も上がってた。
 
※販売されたプログラムにはカーネギー・ホールでの演奏会の様子が載っていた。「第4番」では“クライマックスの途中で拍手が沸き起こってしまうほどのユンディの熱演”と書かれていたが、曲の途中で拍手が沸き起こったのは曲の終了と勘違いした反応だったと思われる。ショパンのバラードで曲中に拍手が起こるのは日本では殆どあり得ない事だと思った。

後半のプラグラム「24の前奏曲」は2月、河村尚子リサイタルで聴いた。ショパンの曲でも「前奏曲」は専門家はともかく素人にはそれほど馴染みではない。「第15番 雨だれ」は演奏会では度々耳にする。20年ほど前にアルゲリッチ演奏のカセットで数曲聴いていたので、「第7番」、「第24番」も馴染みのメロディがあって親しみやすい。アルゲリッチとキーシンのCDをたまに聴くが全曲通して数回耳にするだけでは曲の区別が付かなくて馴染みにくい。
24の調性をすべて用いて書かれた前奏曲はバッハの「平均律クラヴィーア曲集」に由来するとされる。ハ長調からニ短調までの24曲。この調性の音楽的知識が充分でなく表面的なメロディでしか曲の面白さが判らないのが素人の限界である。それでもコンサートで集中して聴き続けると、幾つか親しめる曲が増えてくる。哀愁を帯びた「第4番」、ノクターンのように表情豊かな「第13番」、のどかな旋律の「第17番」、カンタービレの「第21番」など少し長めの曲も気に入り始めた。

プレリュード全24曲は最初から最後まで途切れることなく聴けた。外国の演奏家が称賛する日本人の鑑賞態度が典型的に表れていた演奏会だと感じた。勿論、演奏終了後の礼儀正しい拍手とブラヴォーの声はあったが、ニューヨークなどで見られる嬌声やスタンディング・オヴェィションなどは無かった。
 
ユンディ・リの持ち味である繊細で詩情豊かな落ち着いた演奏ぶりはいつもと変わらなかった。聴衆は9割弱で毎回チケットが完売になった時の勢いは無くなっていた。

アンコール曲は聴衆の盛大な拍手に応えて3曲。①「ショパン:ノクターン第2番 Op.9-2」、②「中国民謡:彩雲追月」、③「ショパン:アンダンテ・スピアナート」。 〈よく聴き慣れたショパンの曲〉と前回のアンコール曲でもあったが〈中国の美しいメロディを持つ民謡〉(*漢字で曲のイメージが浮かぶ)の演奏で大ホールも最後には一段と盛り上がった。

中国の貴公子、李云廸は終始変わらぬ礼儀正しい品の良い態度で演奏会を終えた。ホワイエでCDの販売はあったが、意外なことにサイン会は行なわれなかった。

※Yundi Li の海外公演はロサンゼルス、ニューヨーク、トロント、モスクワ、ウィーン、ロンドン、パリでも行われ、今シーズンは文字通り、本人の言う「ショパン・イヤー」のようである。

※20年ほど前に北京空港内で「電」の字で雨かんむりの無いような漢字を数多く目にして何の字かと思い迷ったことがある。李の名が従来と違っていたので、かなり以前のことを思い出した。中国で簡体字が広まって個人の名前にまで変化があるのかと気になった。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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