マウリツィオ・ポリーニ ~ポリー二・パースぺクティヴ2012


IMG_0692 (300x225)

 マウリツィオ・ポリーニの名は30年ぐらい前までは正直言って知らなかった。ピアニストではルービンシュタインやホロヴィッツを聴いて育った世代である。
 
 ポリーニは1960年18歳で第6回ショパン国際コンクールに優勝したが、1968年に演奏活動に復帰するまで世界の表舞台から姿を消していた。 画像はベートーヴェンの7大ソナタのCDである。

 11月7日サントリー・ホールに≪ポリーニ・パースぺクティヴ2012≫を聴きに出かけた。
IMG_0749.jpg


 日本公演プログラムによると、最初の来日公演は1974年で今回が18回目になる。78年に札幌公演があったと知ってビックリ! ちなみに、福岡(74)、広島(81)、名古屋(89)、横浜(04)、京都(10)が各1回で、大阪は10回である。東京は会場がNHKホールや東京文化会館が主で、特に文化会館がポリーニの好みだったらしく、サントリー・ホール(開館86年)が主会場になったのは98年からというのも興味深いと思った。

 今回のコンサート・シリーズ≪ポリーニ・パースぺクティヴ2012≫でポリーニが出演するコンサートは4回あるが、毎回異なるプログラムである。ベートーヴェンのソナタと現代作曲家の作品を一緒にプログラムに組むのがコンセプトになっている。ポリーニ自身はベートーヴェンの中・後期のピアノ・ソナタ(第21番~32番)を4夜に分けて演奏する。
 
 7日の前半のプログラムはドイツの作曲家ラッヘンマンの≪弦楽四重奏曲第3番「グりド(叫び)」≫ (2001-02年の作品)がジャック四重奏団によって演奏された。弦の上を弓で撫でたリ、さまざまな奏法を駆使して幻想的音楽を作り出した。ノイズにしか聞こえないような音が響き渡ったり、有り得ない奏法に最初は戸惑いさえ感じた。率直に言って最初はさっぱり解らなかったが、途中から目を閉じて聞いてみたりするうちに別世界に連れ出された感じがして、まるで宇宙を彷徨っているように思えてきた。新しい曲作りへの挑戦なのだろうと感じれるようになった。

 引き続きベートーヴェンの≪ピアノ・ソナタ第28番≫の演奏に移り、健康に不安を抱えていると思われるポリーニが幾分弱弱しい姿でステージに現れた。だが、いざ鍵盤に向かってピアノを弾き始めると、すぐ彼の世界に引き込まれた。穏やかな抒情に溢れた調べが奏でられ、高音で力強い表情を自然な音の流れで聴く者の心に響く音楽が繰り広げられた。

 後半のプログラムは≪ピアノ・ソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」≫ ピアノ・ソナタとしては文字通り空前の規模を持つ曲で、壮大で深遠な精神性をピアノで表現するにはそれまでの楽器の限界を突き破る曲と言われている。 技巧性と表現力を極限まで押し広げた作品でも、ポリーニは聴く者の心にすぐ入り込んでくる術を持ち合わせているマジシャンのようである。
 
「ハンマークラヴィーア」はピアノを意味するドイツ語で、後期のベートーヴェンはドイツ語表記を用いたので、第28、30、31、32番も「ハンマークラヴィーアのためのソナタ」なのである。いつの間にか第29番だけが愛称が付いている。
 
 ポリーニの演奏が終わるやいなや客席のあちこちからブラボーの掛け声が上がり、暫し拍手が鳴り止まなかった。次々とスタンディング・オヴェィションをする人の数が増えていったが、アンコール曲の演奏はなかった。
ポリーニへの感謝の念が聴衆に広がる様子が感じ取れて感動的な演奏会になった。 

IMG_0753.jpg
IMG_0752.jpg


 
 
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

fsuterry

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
最新コメント
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR