札響第589回定期演奏会(ドビュッシーの世界的権威 ポンマー指揮)

昨年4月、札響の首席指揮者に就任したマックス・ポンマーはドビュッシー研究の第一人者として世界的に知られる学者でもあることを今回の演奏会の折に知ることとなった。定期演奏会で馴染みでない曲を紹介してくれるのは個人的には大歓迎である。今回のドビュッシーではポンマー自身校訂の楽譜による演奏。

2016年5月14日(土) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

指揮/ マックス・ポンマー   ソプラノ/ 市原 愛
女声合唱/ 札響合唱団(合唱指揮/長内 勲)

〈プログラム〉
 ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
 ドビュッシー:夜想曲~管弦楽と合唱のための交響的三部作~
 マーラー:交響曲第4番 ト長調 (ソプラノ/市原 愛)

ドビュッシー(1862-1918)の出世作となったこの作品は22歳の時に作曲された管弦楽曲。コンサートで演奏される機会が多くて親しまれている曲。彼はマラルメ(1841-98)の詩に触発されて「牧神の午後」を絵画化した。牧神がいだく様々な欲望と夢が描かれている。穏やかに奏でられる美しい音色が実に印象的だった。フルートのソロを奏でる高橋聖純の演奏が曲の魅力を引き立てた。
(*ハープ2台の音色も素敵だったが、アンティ-クシンバルという打楽器も珍しかった。)

「夜想曲」はタイトルに馴染んでいなくて、この曲が収録されているCDを所有していることに昨日まで気付かなかった。ハイティンク指揮ロイヤル・コンサルトへボウ管が演奏した曲を早速聴いてみた。2000年に購入してあったCDで今まで1・2度しか聴いたことがなくて、曲のタイトルも全く記憶していなかった。曲は①雲、②祭り、③海の精からなる25分程度の作品。ドビュッシーの曲はピアノ作品に親しんでいて、管弦楽曲は知っている曲は他に「海」くらいである。ドビュッシー特有の色彩感のある幻想的な音の世界がホールに広がった。オーケストラと歌詞のない女性合唱によって作り出される神秘的な音楽が何とも印象的だった。(*合唱団が占める場所のためだと思ったがホルン奏者がステージ上手、打楽器奏者がステージ下手の方に座って通常と違う場所で演奏しているのも珍しいと思った。)

マーラー(1860-1911)が完成した9曲の交響曲の中で「第1番」に次いで親しんでいる曲が「第4番」。小澤征爾指揮ボストン響(ソプラノ:キリテ・カナワ)のCDで親しんでいて、この曲の良さを度々味わっている。明朗で清澄な旋律が親しみやすい。第4楽章で子供の声(ソプラノ独唱)で〈子供の魔法の角笛〉から採られた歌詞が歌われる。マーラーは天国の生活の楽しさを描いた。ソプラノ独唱の市原愛は昨年12月の「札響の第9」に続くポンマーとの共演で彼の信頼が厚く札響に出演する機会の多い実力派歌手。(*第3楽章終了寸前の力強いオーケストラの総奏の最中にソッとステージに登場して一安心。第3楽章終了後の入場だと間違いなく拍手が起こることを懸念していたからである。音楽が途切れなくて良い方法が採られたとホッとしたのである。)
楽器編成がマーラーの交響曲としては最も小さい3管編成で、トロンボーンが使われていないが、多様な打楽器や管楽器の活躍があって面白く聴けた。

プログラムに寄せたマックス・ポンマーの言葉によると、本日のプログラムのキーワードは「世紀末」。20世紀を目前にして時代の転換点を迎えた19世紀末に新しい音楽を作り上げようとした2人の作曲家が書いた曲を届けてくれた。本日の演奏会も録音されていた。ポンマーとオーケストラの相性も良くて演奏会での定期会員との一体感も深まり、今後一層の発展が期待される。

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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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