ウラディーミル&ヴォフカ アシュケナージ ピアノ・デュオ 2016

2014年3月以来のアシュケナージ親子の札幌公演。ウラジーミル・アシュケナージは昨年11月には指揮者として札響定期に登場して鮮烈な印象を残した。2011年に始まった長男ヴォフカとのデュオによる日本公演も定期化しているようである。2年ぶりに聴けるピアノ・デュオを楽しみにしていた。

2016年5月11日(水) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

〈PROGRAM〉
 グリンカ(リャプノフ編曲):幻想的ワルツ ロ短調
 スメタナ:モルダウ
 ラヴェル:スペイン狂詩曲
 ラフマニノフ:交響的舞曲 op.45
 
グリンカ(1804-57)はロシア国民楽派の祖と仰がれる作曲家。彼の作品は《歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲》しか知らなかった。「幻想的ワルツ」は近代ロシアのワルツの原点として愛好されているという。1939年に作曲されたこの作品の原曲はピアノ独奏曲。今回の2台ピアノ版はロシア国民楽派末期の作曲家・ピアニストによる編曲。7分程度の小品。チャイコフスキーにも影響を与えたことが感じられるイタリアで学んだヨーロッパ音楽の雰囲気があった。

本日演奏の4曲とも〈2台のピアノのための4手版〉で2年前のコンサートでも意外に思ったのだが、2台ピアノ版はごく普通に作曲されていたことを再確認した。当時の音楽界では当たり前のことだったようである。

チェコ国民音楽の祖、スメタナ(1824-84)については書くまでもない。オーストリア支配下の祖国でチェコ独自の音楽を作り上げ、代表作《連作交響詩「わが祖国」》の第2曲「モルダウ」は最も有名な作品として演奏される機会が極めて多い。原曲はオーケストラ曲で、2台ピアノ版はアシュケナージ編曲かなと想像していたら、何とスメタナ自身の作曲というから驚いた。メロディは耳慣れていても違う曲のように聴ける新鮮さがあった。

フランスとスペインの国境近くのバスク地方に生まれたラヴェル(1875-1938)はスペインの異国情緒が漂う独特な曲作りで知られる。スペインの民族音楽をそのまま使うのではなく独自の創造性を出している。彼の大部分の管弦楽曲はピアノ曲からの編曲であり、オリジナルの管弦楽曲にもピアノ版がある。ラヴェルの創作活動の特徴だと思う。「スペイン狂詩曲」はケント・ナガノ指揮ロンドン響とインバル指揮フランス国立管のCDを持っているが、メロディが浮かんでくる程には曲に親しんでいない。1908年完成の曲はラヴェルの最初の本格的なオーケストラのための作品。全体は4曲構成で17分程度の作品。第3曲の「ハバネラ」は1895年に2台ピアノ用に書かれた。残る3曲は1907~08年に先ず2台ピアノ用に書かれたという。本日の演奏は勿論2台ピアノ版による。

ラフマニノフ(1873-1943)の「交響的舞曲」は昨年10月の札響定期で広上淳一指揮による演奏をコンサートで初めて聴いて面白いと思った曲。この作品もピアノ版があるとは知らなかった。亡命したアメリカに滞在中の1940年に先ず2台ピアノ版が完成し、彼の自宅でラフマニノフ自身とホロヴィッツによって私的に初演されたという。オーケストラ版は翌年オーマンディ指揮フィラデルフィア管が初演だそうである。晩年になって悩みから解放されたのか自由な曲作り。若い時の自作の引用もあり、祖国への郷愁も表現されている感じもした。ワルツも幻想的で、ラフマニノフ独特の魅惑的な音楽を楽しめた。

今日は安い席のRAから鑑賞したが上手のピアノでヴォフカが使うiPadの楽譜が目を引いた。2年前にはステージ正面からiPadが見えて面白いと思った。今回は画面も見えて譜めくリストの手の動きも観察できて興味深かかった。

アンコール曲は「シューマン:カノン形式の練習曲」。前半、後半ともに40分程度の演奏。終了時間はいつものコンサートより早めの時間だった。帰りのサイン会には長蛇の列で聴衆の数に比しては多い人の群れはアシュケナージの人気の高さが窺がえた。私自身は12年前にサインをもらっていたこともあって長蛇の列に並ぶのを控えた。3週間程の間を置いてのKitaraでのコンサート。体調も漸く回復して、これからは週2回のペースでコンサートを楽しめそうである。
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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