札響第588回定期演奏会(指揮:キタエンコ、チェロ:マインツ)

札響定期演奏会に出かける前の午前中に「PMF2016チケット最優先予約」を行った。午前10時に始まった電話予約が混み合い1時間後にやっと電話が繋がって、今年夏の音楽祭のチケットを無事購入できた。友人2人分のチケットを含めて17枚を予約できて一安心したが、午前中は何かと落ち着かなくて慌ただしい時間を過ごした。

札響創立55年シーズンの幕開けは巨匠キタエンコによるロシア音楽。2013年に続き3度目の札響との共演。今回はオール・ロシア・プログラム。

2016年4月9日(土) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

指揮/ドミトリー・キタエンコ      チェロ:イェンス=ペーター・マインツ

ドミトリー・キタエンコ(Dmitrij Kitajenko)は1976年から1990年までモスクワ・フィルを率いた。ソ連崩壊後、フランクフルト放送響、ベルゲン・フィル、ベルン響などの首席指揮者を歴任。Kitaraがオープンした翌年の1998年にはベルゲン・フィルを率いてグリーグの「ペール・ギュント」、「ピアノ協奏曲」(ピアノ:中村紘子)を指揮したコンサートは忘れられない思い出である。この演奏会ではチャイコフスキー「悲愴」も演目に入っていた。その後、2006年に札響と共演する機会があったようだった。3年前に札響定期に客演した時は15年ぶりに彼の姿を見入った。演目は「ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲」と「チャイコフスキー:マンフレッド交響曲」。
2012年からベルリン・コンツェルトハウス管首席客演指揮者に就任。2009年からケルン・ギュルツェニヒ管の名誉指揮者。ベルリン・フィルをはじめ世界のメジャーオーケストラに定期的に客演。

イェンス=ぺ―ター・マインツ(Jens-Peter Maintz)は1967年、でドイツ・ハンブルク生まれ。1994年ミュンヘン国際音楽コンクールでチェロ部門17年ぶりの優勝。ベルリン・ドイツ響のソロ・チェリスト(95-04)を務め、04年ベルリン芸術大学教授に就任。06年よりルツェルン祝祭管のソロ・チェリストも務めている。ソリストとして世界的に活躍するドイツを代表するチェリスト。

〈本日のプログラム〉
 プロコフィエフ:交響曲第1番 ニ長調 作品25 「古典」
 チャイコフスキー:ロココの主題による変奏曲 作品33 原典版(チェロ独奏:マインツ)
 ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 作品27

プロコフィエフ(1891-1953)の「古典」は1週間前のコンサートで聴いたばかりである。ハイドン時代と同じ楽器編成の曲でハイドンに着想を得たといわれる。プロコフィエフらしいモダンな感覚と才気があふれている興味深い作品。木管楽器の活躍が目立った。ロシア革命が勃発した1917年に作曲され、作曲家自身の指揮で1918年に現在のサンクトペテルブルクで初演。その年にシベリア経由で日本に渡ってアメリカに亡命した経緯もよく知られている。(*プロコフィエフは33年にはソヴィエトに帰国している。ラフマニノフはアメリカ亡命後に故国に戻ることはなかった。)

チャイコフスキー(1840-1893)のこのチェロ曲は人気があって演奏機会も多い方である。札響定期では初めて取り上げられた作品と知って意外だった。演奏時間が20分足らずのせいもあるのかも?と思った。チャイコフスキーのコンチェルトはピアノ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲は最も有名で親しまれている。“チェロ協奏曲”と名づけられていないが、チェロとオーケストラのための作品。チャイコフスキーは西欧の音楽に傾倒して曲作りをした作品が数多く世界で最も親しまれている作曲家であることは言うまでもない。(*ロシア国内ではロシア5人組の国民音楽派の音楽が高く評価されていて他国と違う事情もあるようである。)
今シーズンからプログラムに曲の楽器編成が載るようになった。素人にとって鑑賞するのに有り難い記述。2管編成の曲に打楽器がないのに気づいた。冒頭の簡潔で優美な主題がホールに心地よく響き渡った。長身の格好良く若々しいマインツが紡ぐ音に引きつけられる聴衆の耳にテーマの変奏が8つ続いた。1877年の初演では最後の第8変奏が省略され、曲順も変更されて演奏されたという。初演を基にした出版物が出回っていたが、1956年にチャイコフスキー自筆譜に基づく原典版が出版されたという。
万雷の拍手に応えて何度もステージの出入りで最後は指揮者に促されてのアンコール曲は「J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番サラバンド」。

ラフマニノフ(1873-1943)は交響曲第1番の不評から12年後の1908年に「交響曲第2番」を書き上げた。作曲家、ピアニスト、指揮者として絶頂期を迎えていた時期の作品。「第2番」は帝政ロシアの貴族的雰囲気が横溢して抒情的な旋律に溢れ、色彩感豊かな作品。演奏時間60分の大曲だが、循環主題の手法で書かれた曲で聴いていて退屈しない。チェロの循環モテ―ィフで始まる序奏、続くクラリネットによるグレゴリー聖歌の“怒りの日”に基づく旋律が印象的。第2楽章はホルンが奏でる野性的な響きが入ったスケルツォ。第3楽章はアダージョで抒情的な美しいメロディでクラリネットによる主題の提示。第4楽章はエネルギーに溢れ、“怒りの日”と循環モティーフが繰り返されて力強いフィナーレ。
札響は海外公演の折にこの曲を演目にして得意にしているようである。昨年3月の台湾公演でもこの曲を演奏しているが、マエストロ尾高とは違う味を出せたのかどうか専門的には解らない。ロシアで培ったキタエンコの音楽の解釈による違いも経験できたら楽員にとっても財産になったと思う。
実年齢(75歳)より若々しく白髪で品の良い紳士、キタエンコの安定した品格のある指揮ぶりも好印象であった。今回のプログラムにマエストロ・キタエンコがインタビューに応じた談話記事が載っていてとても興味深かった。奥様がご主人の演奏を舞台袖でいつも立ったまま聴いているという話に驚いた。(*椅子を勧められてもマエストロが立っているからと言って決して座らないそうである。)
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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