ロータス・カルテット&ペーター・ブック(vc)

〈Kitara弦楽四重奏シリーズ〉

ロータス・カルテット(Lotus String Quartet)(1992年結成)がKitara弦楽四重奏シリーズに登場するのは今回で3度目だと思う。2008年10月の「ベートーヴェン:ラズモフスキー・セット」全曲演奏会、2010年10月の「シューマン弦楽四重奏曲全曲演奏会」に続いて6年ぶりのKitaraのステージ。東京クヮルテットが解散した現在では、日本が生んだ国際的な常設弦楽四重奏団として唯一の存在として知られる。ドイツ・シュトゥットガルトを拠点にして極めて積極的な活動を展開している。
今回は彼らがドイツに渡って師事して薫陶を受けたメロス弦楽四重奏団(1965-2005)創立メンバーのペーター・ブックが共演する。

2016年3月13日(日) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール

出演:小林幸子(Sachiko Kobayashi ,Violin)、マティアス・ノインドルフ(Mathias Neundorf、Violin)、山碕智子(Tomoko Yamasaki 、Viola )、斎藤千尋(Chihiro Saito, Cello)、ペーター・ブック (Peter Buck, Cello)

〈プログラム〉
 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番 ヘ長調 「ラズモフスキ―第1番」 作品59-1
 シューベルト:弦楽五重奏曲 ハ長調 D.956

ベートーヴェンは17曲の弦楽四重奏曲を書き残した(*番号が付いているのは16番まで)。初期の作品6曲は1800年に書かれたもので、CDも持っていなくて多分聴いたこともない。中期の作品が第7~11番までの5曲。第12番以降が後期の作品。弦楽四重奏曲を意識して聴くようになってから十数年しか経っていない。第8~11番はアルバン・ベルク四重奏団、第12~16番はスメタナ四重奏団のCDで演奏会に備えて聴く機会が多かった。どういうわけか「第7番」だけが手に入らずにいた。今回はようやくCDショップで見つけて何度か聴いてみた。第7~9番の3曲はラズモフスキ―第1~3番と呼ばれていてコンサートでも聴く機会は多い方であるが、親しむほどの曲にはなっていない。

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲はピアノ曲、ヴァイオリン曲、交響曲などと違って外面的効果を狙った曲作りをしていないように思われる。ベートーヴェン自身の心の内をあらわにする心情を吐露している面が感じられる。この点が鑑賞の難しさかなと思っている。小ホールで行われるコンサートでは特別な環境に身を置くのでいつもそれなりに良さは味わえている。

ウィーン駐在のロシア大使ラズモフスキ―伯爵から依頼されて作曲して彼に献呈された曲。この曲は3曲中で最も規模が大きく4つの楽章が充実したソナタ形式で書かれており、弦楽四重奏の「エロイカ」と呼ばれることもある。全4楽章にわたって重厚で、管楽器の味わいさえ表現されている革新的な曲作り。
交響曲「英雄」を思わせるチェロのテーマで始まる第1楽章。第2楽章ではスケルツォとしてユーモアと皮肉を盛り込んだ感じ。第3楽章は哀しみを湛えた美しい旋律を持ちジプシーの哀感が漂う緩徐楽章。第4楽章はロシアの主題。ロシア民謡を使ったスケールの大きい楽しいフィナーレ。
やはり生演奏の迫力は充分で満席近い聴衆からブラヴォーの声が上がり、万雷の拍手もしばらく止まなかった。

シューベルトのピアノ五重奏曲「ます」は有名で親しまれているが、この「弦楽五重奏曲」は耳慣れていない。50分ほどかかる大曲で、彼が亡くなるニヶ月前の1828年9月ごろに書かれた。弦楽四重奏にチェロが追加されたユニークな曲。

力強さと幻想的な雰囲気が調和した様子が表現される第1楽章、調性とリズムの変化で不安感に包まれる第2楽章、スケルツォで軽やかなリズムの部分と落ち着いた楽想の部分など長めの第3楽章、ウィ-ンの舞曲風の雰囲気があって現実の世界のような短めの最終楽章。
チェロ2本で低音弦楽器が目立ち、曲の重厚さが滲み出る印象を受けた。ペーター・ブックの客演で演奏に一層厚みがあったように思えたのは先入観からだろうか。第1ヴァイオリンのメロディの魅力も垣間見えた。全体的に調和のとれた演奏であったことは言うまでもない。
大曲の演奏終了後の拍手喝采は長く続いた。アンコール曲の演奏は無かった。

休憩時間中に大学同期の友人と半年ぶりに出会って立ち話。帰りのエントランス・ホールでも腰を下ろして暫しの間、歓談する時間を持った。彼も札響定期会員で演奏会では出会う機会もある。私から刺激を受けて音楽にハマったようだが、私と違って楽器の演奏が出来る点が素晴らしい。ギターを弾き始めて10年足らずだが、年齢を重ねるごとに演奏力を身に着けて、教えを受ける師を驚かすほどの成長ぶりを見せているらしい。毎日1日2・3時間はギターを弾いていると言う。彼はガンを克服して10年が経ち、新たな人生を見事に切り開いている。互いに脚にしびれの症状がありながらの音楽鑑賞。健康を気遣う後期高齢者同士である。




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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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