藤原浜雄(vn)&三上桂子(pf) デュオ

三上桂子プロデュース MOSTLY CHAMBER MUSIC
第17回モ―ストリー・チェンバー・ミュージック

三上桂子という名の音楽家がKitaraで毎年コンサートを開いていることは何となく分っていた。今回は藤原浜雄のヴァイオリンを聴いてみたいと思って2ヶ月ほど前にチケットを購入していた。1994年2月の札響定期にソリストとして出演して「コルンコルド:ヴァイオリン協奏曲」を弾いた記録が手元にある。それ以来、彼のソロは聴いていなかった。

2016年3月9日(水) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール

藤原浜雄(Hamao Fujiwara)は1947年神奈川県出身。67年日本音楽コンクール第1位。68年パガニーニ国際第2位、71年エリザべート王妃国際第3位(いずれも当時の日本人最高位)。桐朋学園に学び、ジュリアード音楽院に留学。その後、20年以上アメリカで活躍。92年に帰国して同年11月から2012年3月まで読売日本交響楽団首席ソロ・コンサートマスター。93年より桐朋学園大学院教授、東京音楽大学客員教授。

三上桂子(Katurako Mikami)は札幌市出身。桐朋学園に在学中の1965年日本音楽コンクール第1位。ロン=ティボー国際コンクール特別賞。パリ音楽院、ジュリアード音楽院に学ぶ。カーネギー・ホールでデビュー・リサイタルほかアメリカ各地でソロ、室内楽で活躍。アメリカの大学の夏季講座の講師を長年務め、2000年以降はプラハ、ライプツィヒ、ウィ‐ンの音楽祭や昨年はフランスのニス夏期講習の講師にも招かれて国際的に活躍している。現在、桐朋学園大学名誉教授。

〈Program〉
 シューベルト:華麗なロンド ロ短調 作品70 D895
 J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンの為のパルティータ第1番 ロ短調 BWV.1002
 ショパン:バラード第4番 ヘ短調 作品52
 プロコフィエフ:ヴァイオリンとピアノの為のソナタ ヘ短調 お作品80
 サン=サーンス:序奏とロンド・カプリッチオーソ 作品28

シューベルトのヴァイオリン・ソナタの作品は数少ない。このロンドもピアノ曲かヴァイオリン曲か分らなかった。単一楽章ではあるがスケール大きく、ヴァイオリンとピアノが対等に渡り合う古典派の作品。曲想が華やかで、最初から最後まで力強い作品。ピアノの打鍵の速さも含め技巧性が際立ちモーツァルトよりはベートーヴェンを意識した作品のような感じがした。

バッハの「第1番」はアルマンド、クーラント、サラバンド、ブーレという4つの古典舞曲の組み合わせ。第2番や第3番と違って、第1番にはドゥブルが各4曲に付いている。Doubleの意味が今まで解っていなかったが今回“変奏”の意味だと判明した。

ショパンの「バラード第4番」は最近コンサートで取り上げられる機会が多い。内容的にも技巧的にもピアニストが挑戦し甲斐のある曲なのだろう。シューベルトの曲でも目についたが、この曲で思ったより打鍵の速さが目に留まった。馴染みのメロディで心地よく聴けた。

プロコフィエフのヴァイオリン曲は珍しいと思っていたが、先月のDaishin&リフシッツのコンサートで聴いたばかり。デュオでこの曲に取り組むのは大変なのだろうと思った。作曲当時のソ連社会でプロコフィエフが社会主義リアリズムの体制の中で自分の主張を貫き通すことは並大抵で無かったことは容易に想像がつく。作品には陰鬱さ、怒り、恐怖も汲み取れるが、ロマンティックで魅力的な旋律もあらわれる。巧みな曲作りが見て取れる。世界で話題のデュオに比べてオーラは欠けていたが難曲への取り組みからそれなりの成果は感じ取れた。

サン=サーンスがヴァイオリンの名手サラサーテのために書いた作品。初演はサラサーテの独奏と作曲者自身の指揮による管弦楽で行われた。スペイン風の艶やかな曲で気品も漂う作品。ヴァイオリンの名曲として広く親しまれている。玄人受けする本日のプログラムでヴァイオリンの技量が見事に披露された。

日本を代表する名ヴァイオリニストの演奏を堪能した。三上は夫君藤原浜雄に引けを取らないピアニストの力量を存分に発揮した。日本の著名なピアニストの名に彼女の名がないのは長年アメリカに拠点を置いて活躍していたせいなのかもしれないと思った。50年ほど前の日本音コンで優勝した後も二人はたゆまぬ努力を続けている姿が見て取れた。

アンコール曲は2曲。①「チャイコフスキー:憂鬱なセレナード」、 ②「サラサーテ:ザパテアート」。

帰りのエスカレータで“素晴らしかったですね!”と年配のご婦人に声をかけられた。見知らぬ人だったが、“そうでしたね”と応えてタクシー乗り場へと急いだ。本日の聴衆の数は多くなかったが、聴く人の心に響くコンサートであった。
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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