札響第587回定期演奏会(エリシュカ指揮)

2月の札響定期は体調不良でチケットを妻に譲った。3月に入っても歩行困難な状態は変わらないが、今回のエリシュカ指揮札響定期は聴き逃したくなくて無理してKitaraに出かけた。

2016年3月5日(土) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara 大ホール

R.エリシュカ・チャイコフスキー後期3大交響曲シリーズ2~

〈プログラム〉
 スメタナ:「シャールカ」~連作交響詩「我が祖国」より
 ドヴォルジャーク:弦楽セレナード ホ長調 op.22
 チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 op.36

スメタナの全6曲からなる連作交響詩《わが祖国》の第2曲「モルダウ」が演奏会の曲目になることが断然多い。第3曲「シャールカ」が単独で演奏されるのを聴くのは今回が初めてであった。ク―べリック&ボストン響のCDしか持っていなくて、全曲は何度も聴いていてもタイトルは「第2曲」しか知らない。他の5曲の標題はハッキリ覚えていない。
第3曲《シャールカ》は若き英雄的な女性のシャールカの伝説に基づくとされる。「ボヘミアのアマゾン軍を率いるシャールカは裏切られた恋人に復讐しようと策を練る。部下に命じて自分を森の中の木に縛り付けさせ、通りかかった騎士が彼女を救って城に連れ戻す。盛大な宴会が催され、シャールカは酔いつぶれた騎士たちを皆殺しにするストーリー。」
男性軍への怒り、屈辱、復讐の物語がボヘミアの自然を舞台にしてドラマティックに展開される音楽。余りにも「モルダウ」に鑑賞が偏っていたことを改めて気づかせてくれたエリシュカの選曲に感謝!

ドヴォルジャークの青年時代は不遇であったが、「弦楽セレナード」はボヘミアの民族的要素を表現して成功した最初の作品と言われている。チャイコフスキーの「弦楽セレナード」とともに親しまれている作品。
温かい柔らかな雰囲気の第1楽章。優美なワルツを含む第2楽章。生き生きとしたスケルツォの第3楽章。詩情豊かな魅惑的な緩徐楽章の第4楽章。第5楽章は自由なソナタ形式で終曲に相応しいフィナーレ。
第4楽章が終了した時点でエリシュカが見せた満足の仕種に一部の人が曲の終了と勘違いしたのは止むを得ないかもしれない。弦楽器だけで演奏される曲をはさんでメイン・プログラムを後半に備えたプログラミングの妙が解った気がした。

チェコの作曲家の作品の味を何気ない指揮ぶりの中で日本の聴衆に伝えてくれるエリシュカ。彼が日本の音楽に与えてくれた影響は計り知れない。ベートーヴェン、ブラームス、チャイコフスキーの交響曲も大評判である。

後半のチャイコフスキーは本日のメイン・プログラム。エリシュカ指揮札響定期演奏会のライヴ収録が毎回のように行なわれている。ベートーヴェン、ブラームスに続いてチャイコフスキーのCDも発売される予定になるのだろう。
「第4番」を聴くのは久しぶり。数日前にゲルギエフ指揮マリインスキー・オーケストラによるDVDを鑑賞した。第4・5・6番の3曲ともチャイコフスキーの傑作とされる名曲。
今日の札響の演奏はいつにない大音量に思えた。エリシュカの若々しい迫力のある指揮ぶりに導かれて管楽器の活躍が光った。
ホルンとファゴットが奏でるファンファーレで始まった第1楽章。金管群による“運命の主題”が曲全体の中で何度も出てきて、この曲の悲劇性が表される。第2楽章はオーボエによる悲哀のこもった主旋律とクラリネットとファゴットによる民俗舞踊的なトリオの素朴な表情が対照的だった。第3楽章のスケルツォは弦楽器によるピッツィカートだけの演奏が興味深かった。最終楽章はメランコリックな気分を蹴とばすような第1主題とロシア民謡による第2主題が交互に展開されて祝祭的なフィナーレで曲が閉じられた。

弦楽器が支える札響の安定感は定評があるが、今日は管楽器の力強さが感じ取れた。第1曲の後で満を持して第3曲の力強い演奏に備えていた様子が実感できた。そんな意味でエリシュカのプログラミングの妙を痛感したのである。
演奏終了後に1、2階の客席の殆どを埋め9割ほどの客が入った大ホールにブラヴォーの声が響き渡った。各パートの奏者を称えて、首席、副首席奏者に握手を求めて敬意と感謝の意を表すエリシュカの姿はいつもと変わらない。札響団員との信頼関係は一層深まっている感じさえする。

万雷の拍手に対応した後で、エリシュカは3月末日を持って札響を退団するオーボエ首席奏者の金子亜未にブーケを手渡した。彼女は2012年7月に札響に入団した当初からオーボエ首席奏者に就任して、同年10月のオーボエ国際コンクール・軽井沢で日本人初の第2位に入賞して注目を浴びた。札響以外で彼女の演奏を聴く機会が何度かあって彼女のオーボエ独奏の魅力にはまっていた。札響の管楽器奏者のレベル向上に果たした役割は大きい。札響は惜しい人材を失うが、彼女の今後の活躍を祈念したい。

※エリシュカは2008年から札響首席客演指揮者に就任して、2015年からは名誉指揮者に就任。円熟さを増して外見はむしろ若返っている印象さえ受ける。来週の火曜日、8日にはサントリーホールで本日と同じプログラムで東京公演がある。エリシュカが札響を率いての初めての東京公演となるが成功を祈る。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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