北海道交響楽団 第79回演奏会

コンサートのチケットは3ヶ月前から半年くらい前に購入しているが、地元の音楽家が活躍する1月末の演奏会の鑑賞を急遽いくつか予定に入れた。道響は毎年のように聴いている。今回の公演のサブタイトルが「マエストロ川越のおしゃべりマチネー」となっていて、開演時間も日曜とはいえ早めの時間になっているのが軽めのプログラムとともに興味を引いた。

〈プログラム〉
 オッフェンバック:喜歌劇「天国と地獄」序曲
 ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
 リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲 作品34
 ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 作品98

普段の道響の演奏曲目としては重々しさがなくて、若者から年寄りまで幅の広い客層を集めそうなプログラミングが目をひいた。

オッフェンバック(1819-80)はオペレッタの創始者と言われるフランスの作曲家。1850年代からパリで大流行したオペレッタ「天国と地獄」で知られている。序曲の後半のメロディはフレンチカンカンや運動会の徒競走で日本人には特に馴染みの曲。娯楽性の強い喜劇でダンス音楽も取り入れられている。20年ほど前に札幌で実演を観た記憶があったが、喜歌劇の内容は殆ど覚えていない。1994年、北海道二期会30周年記念の行事として札幌で公演(管弦楽は札響、合唱は札幌アカデミー合唱団)が行なわれていた。
開演前の指揮者によるトークではユダヤ人が現在のシリアの難民のように昔から難民としてヨーロッパに渡り、嫌われ者であったが優秀な人材が数多く排出した話があった。オッフェンバックもユダヤ人という話は初耳であった。

ラヴェル(1875-1937)の最も親しまれている作品は「ボレロ」である。ピアノ曲してパリ音楽院在学中の1899年に作曲された「亡き王女のためのパヴァーヌ」は演奏会でしばしば聴く機会がある。1910年にオーケストラ用に編曲された管弦楽曲はインバル指揮フランス国立管によるCDが手元にあるが、演奏会で聴くのは初めてのような気がする。とても繊細で美しい静かな曲が流れた。
ラヴェルの一生については予めかなり詳しい知識を持っていたので、耳新しいことは無かったが興味深い解説であった。

リムスキー=コルサコフ(1844-1908)は交響組曲「シェエラザード」が最も有名で、道響の5年ほど前の演奏会で聴いた記憶がある。「スペイン奇想曲」はアレクサンドル・ラザレフ指揮ボリショイ交響楽団のCDで聴いたことがあるが、私自身そのメロデイにはシェエラザードとは比べられないほど親しんではいない。(*ラザレフは2008年から日本フィルのシェフの任にある。)
コルサコフは海軍士官時代に各地を航海して自らの体験を通して書いた作品が多いとされる。作曲を本業にしていなかったが「五人組」の最年少でロシア国民楽派を代表する作曲家として活躍した。彼は遠洋航海でスペインに立ち寄った程度かも知れないが異国の様子を紹介する曲を書いた。様々な独奏楽器群が壮麗でスペインの情熱的な風土を表現している。

ブラームス(1833-97)はロマン派の作曲家として知られるが、指揮者の解説ではドイツ民族を伝える作品を書き続けた真のロマン派。シューマンと出会い、文学との関わりを大事にしてドイツ・ロマン派の音楽を作り上げた話をかなり詳しく語った。語り出すと止まらないほど知識量が豊富な川越だが、解説が少々長すぎた。
「交響曲第4番」は最近聴く会が多い。昨年6月札響定期のエリシュカの名演が心に残っている。プロの演奏で耳が肥えているせいか、今回の演奏では聴き慣れたメロディが頭を通り過ぎていった。

5割弱の客の入りで盛り上がりに欠けた感があったが、20代の若者の姿が多く目についた。アンコール曲は《ヨハン・シュトラウス2世:ポルカ「雷鳴と電光」》。

コンサート前半の3曲はしばらく聴いていない曲で新鮮な感じで集中して聴けて楽しかった。例年と変わらないマエストロ川越の元気な姿は来年からも見ることができそうで嬉しい。

※今夜のEテレ番組「NHKクラシック音楽館」にネヴィル・マリナーがN響に客演して「ブラームスの交響曲第4番」を指揮していた。昨年11月N響定期の放映。91歳の現役最高齢の指揮者のかくしゃくとした姿にいささか驚いた。2007年10月の札響定期に登場した時とあまり変わらぬ様子。先月札響定期に登場したゲルハルト・オピッツの演奏も聴けた。ソリストとの共演で余り個性的な主張をしないマリナーの指揮ぶりも再び印象に残った。92歳になる春にまた来日予定が組まれている。




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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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