札響第585回定期演奏会(バーメルト&イザベル・ファウスト)

2015-16年シーズンのプログラムが発表になった時からイザベル・ファウストの札響共演を楽しみにしてきた。いよいよ実現の運びとなった。

2016年1月23日(土) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

指揮/ マティアス・バーメルト(Matthias Bamert)
ヴァイオリン/ イザベル・ファウスト(Isabelle Faust)

パーメルトは1942年、スイス生まれ。ザルツブルク・モーツアルテウム管の首席オーボエ奏者を務め、その後指揮者に転身。セル、マゼールのもとで研鑽を積んで、スイス放送管やロンドン・モーツァルト・プレイヤーズの音楽監督の他に幾つかのヨーロッパのオーケストラの首席指揮者を歴任。2000年以降、日本のN響にも度々客演して、西オーストラリア響やマレーシア・フィルなどアジアのオーケストラの育成に貢献。クリーヴランド管、シカゴ響、パリ管、フィルハーモニア管、サンクトペテルブルク・フィルなどメジャー・オーケストラへの客演で知名度も高い。札響とは14年1・2月定期以来の客演。前回の「モーツァルト:ポストホルン・セレナード」は好印象で記憶に新しい。

イザベル・ファウストは1972年、ドイツ生まれ。11歳ころから弦楽四重奏団のメンバーとして数年間にわたって活動。87年モーツァルト・コンクールで優勝してソリストとして注目され、93年パガニーニ国際コンクール優勝で世界的な脚光を浴びた。以来、世界の主要オーケストラと共演。94年の音楽祭で初来日以降、都響、東京響、新日本フィルなどと共演。10年ほど前のN響との共演をテレビで観て彼女の演奏に魅了されていた。スケールの大きな音楽、堂々たる風格は魅力的。

〈プログラム〉
 ラヴェル:組曲「マ・メール・ロワ」
 メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調(ヴァイオリン独奏:イザベル・ファウスト)
 ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」

3曲ともに有名な曲であるが、他の2曲ほど「マ・メール・ロワ」は頻繁に聴く機会はない。子供のためのピアノ連弾曲として作曲されていた「マ・メール・ロワ」はお伽噺に基づく5つの小品を集めたもの。その後、バレエ音楽に改作されて、オーケストラのための組曲に編曲された。先ごろ亡くなった偉大な指揮者・作曲家であったブーレーズ(:*バーメルトは彼に師事したとプログラムに書かれているから彼の影響を受けていると想像される。)&ベルリン・フィルのCDで何度か聴いているのだが、あまり強い印象はなくてメロディにも親しんでいない。
曲はメルヘンティックであり、ラヴェル特有のファンタスティックな音の世界に誘われた。特に華やかな終曲の美しい旋律が印象的だった。

偶然だろうが「メンコン」の演奏会が続く。4大ヴァイオリン協奏曲の一つとして知られる「メンコン」はホ短調である。他の3曲はいづれもニ長調。メンデルスゾーンはヴァイオリン協奏曲を他にもう1曲書いていたことが1951年に判明した。13歳の時に書かれたニ短調の曲で演奏される機会は少ないようで、聴いたとはない。ホ短調の曲が名曲中の名曲だからだろう。最高傑作の曲として親しまれ、クラシック・ファンでなくても、その優美で流麗な旋律に魅了される。
国際コンクールで優勝した20代前後の若いヴァイオリニストの演奏で聴くことが断然多い。ヴェテランの領域に達し巨匠と呼ばれるヴァイオリニストの演奏を生で聴く機会は稀のような気がする。そんな意味で今回の曲目は意外であった。同時にヴァイオリン界の女王イザベル・ファウストがどんな演奏をするのか楽しみでもあった。
満席に近い大ホールを埋めた聴衆の期待にたがわず、彼女の紡ぐ音に聴衆は耳を奪われた。同じ音を奏でても人を魅了する術はどこにあるのか不思議である。知的で繊細で、且つ熱のこもった演奏!フィナーレでの力強さは類を見ないほどの圧倒的な迫力!名状し難いほどの雰囲気が漂った。ブラーボの声が上がって、鳴りやまない大歓声に応えてのアンコール曲は「J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番より サラバンド」。
彼女は何度ものカーテンコールを受けるほど聴衆の反応は敏感だった。最後は正面、P席、RA席、LA席と四方に礼をして退場した。彼女に聴衆の感動が伝わったようだった。今回の来日公演は東京・京都・大阪・長野に続いて札幌が最後。8公演中、3公演がリサイタルだったようであるが、次回は是非リサイタルを札幌で聴けたら嬉しい。

最近「展覧会の絵」を聴く頻度が高い。トランペットが吹く「プロムナード」で奏者は呼吸が大変だろうとか、普段あまり気にしないことを考えたりした。サクソフォンやユーフォニアムなどの珍しい楽器の奏者にも注目した。1階正面から見える奏者の様子にも目がいった。
3曲ともフィナーレが壮大だったので曲の終わりが見事な印象を受けた。バーメルトは古楽から現代音楽までレパートリーが広い。今回は比較的ポピュラーな曲が多かったが、オーケストラの掌握度に深みがある様子が指揮ぶりからうかがえる。札響音楽監督ポンマーとの音楽上の共通点があるのを感じ取れた。演奏終了後の楽団員や聴衆の反応も熱のこもったもので札響の演奏会の良さが出ていた。

日も長くなって帰路の雪道も転倒を気にせずに済むので一段と楽になった。24、27、29、31日とKitara通いが続く。













 
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR