プラハ交響楽団ニューイヤー名曲コンサート(ピエタリ・インキネン&成田達輝)

チェコのオーケストラの演奏を札幌コンサートホールで初めて聴いたのはKitaraがオープンした1997年。ウラディーミル・ヴァーレク率いる世界的なチェコ・フィルハーモニー管弦楽団。ヴァーレクは2000年にはプラハ放送交響楽団を率いてKitaraのステージに再登場した。
01年にビエロフラーヴェク、03年にマカールがプラハ交響楽団とともに札幌公演を行なった。プラハ・フィルハーモニアを1994年に設立したビエロフラーヴェクは手兵を引き連れて02年と04年に再度Kitaraで公演。
プラハに本拠地を置くチェコの代表的な4つのオーケストラの日本公演は競って1月を中心に行なわれていたようである。その後、しばらく聴く機会を持たなかったが、12年と15年にはピエロフラーヴェクのもとで研鑽を積んだ今をときめく若き指揮者ヤクブ・フルシャがプラハ・フィルの音楽監督・首席指揮者として日本ツアーで来札した。

昨年6月のレナルト&プラハ放響に続くチェコのオーケストラのコンサート。今回でプラハ響を聴くのは3年前に続いて4回目となる。今回のお目当てはフィンランド出身の俊英ピエタリ・インキネン。チェコやスロヴァキア出身以外の指揮者がチェコのオーケストラを率いての札幌公演を聴くのは珍しい。03年にフランス出身のジャン・フルネ&チェコ・フィルのプログラムが全てフランス音楽だったことがある。

2016年1月7日(木) 7:00PM開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

ピエタリ・インキネン(Pietari Inkinen)は1980年生まれのフィンランドの指揮者・ヴァイオリニスト。シベリウス・アカデミーを卒業後、27歳の08年にはニュージーランド交響楽団の音楽監督に就任。09年から日本フィルハーモニー交響楽団首席客演指揮者を務めていて、16年9月には同フィル首席指揮者に就任予定。日本での知名度は極めて高く将来を嘱望される若手指揮者。2015年よりプラハ交響楽団首席指揮者に就任。世界の各地から客演依頼が殺到していて、世界の主要オーケストラとの共演も多い。ヴァイオリニストとしてもザハール・ブロン門下生でフィンランドの一流オーケストラと共演を重ねている。
今回の日本ツアーでは札幌を皮切りに数種類のプログラムを用意して全国8都市9公演が予定されている。

成田達輝(Tatsuki Narita)は1992年、札幌生まれの俊英ヴァイオリニスト。パリ高等音楽院で学び、10年ロン・ティボー国際音楽コンクール第2位、12年エリーザべト王妃国際音楽コンクール第2位で一躍脚光を浴びる。12年12月の読響との共演以来、故郷の札幌公演の機会が増えて、15年2月札響との共演に続いて彼のコンサートは4回目。15年3月、尾高&札響台湾公演のソリストとして海外公演に同行。

〈プログラム〉
 スメタナ:交響詩《わが祖国》より「モルダウ」
 メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64(ヴァイオリン独奏:成田達輝)
 ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」

前回13年1月19日開催の「プラハ交響楽団ニューイヤー名曲コンサート」の際のブログを読み返してみた。今年のプログラムと全く同じであった。少々の違和感はあった。今回は定期公演と違って正月公演なので楽しい雰囲気を味わえれば良いと思って楽な気持で鑑賞した。

1934年創立のプラハ響はヴェテラン揃いの約100名のメンバーで構成されているが、本日の出演者は約80名。比較的多い楽団員数。前回は女性が1割ほどだと思ったが今回は約20名(コンマスの一人は女性で、第1ヴァイオリンの一人が日本人女性)。そろそろ世代交代に差し掛かっている印象を受けた。同時に演奏に安定感があって特にチェコ音楽に独特の雰囲気が出ていたように感じた。
思い切って外国人の首席指揮者を迎え入れて若返りを図る意欲も感じられた。インキネンとの相性も合っているのか、何年も前からチームを組んでいる印象さえ受けた。
Kitaraのステージも久しぶりに若手の指揮者の登場で爽快感を味わった。インキネンは想像より小柄で細身だったが、楽譜をめくりながら丁寧に、時には大胆に表情をつけながらの指揮ぶりには安定感とともに凛々しさが出ていた。派手さは無く、静かな雰囲気を持つ指揮者だが、彼の指揮する音楽には力強さがある。
サロネンやサラステを若くして世界に送り出したフィンランドは他国にない指揮者の育成制度がある。昨年初めて名を知ったリントゥ、ストルゴールズに次いで女性指揮者マルッキ、85年生まれのロウヴァリも世界の檜舞台に立つ日も近い。フィンランド人の活躍から目を離せない。
インキネンも今回の日本ツアーでもチェコ音楽以外でベートーヴェン、ブラームス、チャイコフスキー、シベリウスの曲を用意している。マーラー、ワーグナーなども含めてレパートリーは広く、チェコ・オーケストラの日本公演のマンネリ化した曲目にも変化の兆しを期待したい。

成田達輝もステージに立つたびに堂々として著しい成長の跡を示している。匿名の所有者から貸与された1738年製のガルネリ・デリ・ジェスの影響もあるのだろう。専門的なことは判らないが、今日3たび連続して聴いた彼の「メンコン」は前2回の演奏とは違った響きが出ていた。毎回の演奏に新しい気持ちで立ち向かっているのだろうと思った。
アンコール曲は「J.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番より“プレリュード”」。

《新世界より》は各楽章のメリハリが出ていて曲の素晴らしさを堪能できた。特に第2楽章でイングリッシュ・ホルンの奏でる「家路」のメロディの美しい響きに聴き惚れた。

7割ほどの客席を埋めた聴衆からの大拍手に応えてアンコール曲が2曲。
「ドヴォルザーク:スラヴ舞曲第10番 op.72-2、 スラヴ舞曲第8番 op.46-8」。

2016年の最初のコンサートが文字通り、“名曲コンサート”となって心から楽しめて良かった。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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