札響の第9 (2015)

今年の12月も日本各地で「第九」の演奏会が開催されている。日本特有の現象と思われているが、近年は外国でも12月に「合唱付き」を演奏する国も増えてきているらしい。海外のオーケストラが日本を舞台にして年末に「第九」を演奏するのも珍しくなくなった。昨年はケルン放送響が日本公演を佐渡裕指揮で7回も開催した。キエフ国立フィルは今年も第九演奏会を年末に開催する。

2015年12月の「第九」の演奏状況は月刊音楽誌《ぶらあぼ》によると全国で188回で毎年ほぼ同じ回数のようである。今年はオーケストラ別で「兵庫芸術文化センター管」が設立10周年を記念して佐渡裕指揮で関西を中心に12回も「第九」の公演を行うのが目立った特徴と言える。
札響の公演は例年と同じで2回開催されるが、今年の4月に音楽監督に就任したマックス・ポンマーが指揮を執る。

2015年12月19日(土) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

指揮/ マックス・ポンマー
管弦楽/ 札幌交響楽団
尺八/ 田島 直士
独唱/ 市原 愛(S)、小原 詠子(Ms)、小貫 岩男(T)、甲斐 栄次郎(Br)
合唱/ 札響合唱団、札幌アカデミー合唱団、札幌放送合唱団、札幌大谷大学合唱団
合唱指導/ 長内 勲

〈プログラム〉
 第1部 
  新実 徳英(Tokuei Niimi):古代歌謡ー荒ぶる神・鎮める神
       ~ソプラノ、尺八、打楽器、チェレスタ、弦楽オーケストラのための~
              Ancient song-Stormy God・Calmy God

 第2部
  ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 op.125「合唱付き」

Max Pommerは札響に初めて客演指揮した2013年11月の第564回定期演奏会の折に、新実徳英の作品を演奏した。札響初演であるが、ポンマーはドイツで新実などの日本の現代作曲家の作品を紹介している。前回の新実の作品名は「風水~弦楽、打楽器とチェレスタのための」。
今回の作品は日独友好150周年記念コンサートにて初演。(2011年10月、ドイツ・ハンブルグ市、指揮:ポンマー、オーケストラ:ハンブルグ・カメラータ、ソプラノ:市原愛、尺八:J. フランクリン)。新実は委嘱された翌年に起こった東日本大震災後に作曲に取り掛かったと言う。楽器構成は前回の作品と通じるものがあるが、曲の雰囲気はガラリと違っていて「荒ぶる神」と「鎮める神」に捧げる作品に相応しい楽曲と思えた。10分ほどの曲。作曲者も会場にいてステージで絶賛の拍手を浴びていた。

「第九」の内容は今更、語るまでもない。当日の出演者変更でバリトンが甲斐栄次郎になっていた。外国で活躍している音楽家が日本で紹介されることは稀なので、彼の名はウイーン国立歌劇場の専属ソリスト歌手として10年間活躍して帰国してからの活動で初めて知った。いつかその素晴らしい歌声を耳にしたいと思っていた。
その歌手の歌声が響き渡った瞬間に鳥肌が立った。第4楽章の「合唱付き」の曲の醍醐味を存分に味わった。ソリストも素晴らしかったが、合唱は今までに聴いたことがないほどの素晴らしい出来栄え。テノールとバリトンのパートを歌う合唱団の人数が増えたこともあって、全体の合唱の迫力が凄かった。2階CB席の中央から合唱団の声が極めて良い響きで届いたと思った。

プログラムで合唱のメンバーが札響合唱団を中心として札幌の合唱グループの精鋭を集めて、特にテノールとバリトンの補強を図ったことが判った。男性合唱と女声合唱のバランスが取れていると、こんな迫力の歌声になるのかと合唱の素晴らしさに魅せられた。

*ソリストのステージへの登場は第3楽章の前が多いと思ったが、今日は珍しく第4楽章の始まる前だった。彼らの登場の際に拍手が起こって、今回は特に違和感があった。楽章間の拍手はやめてもらいたい。拍手をしている人は歌手の登場に歓迎の意を示しているつもりだろうが、曲の中断に繋がり、演奏者や聴衆の集中力の妨げになると感じている。
人の死を悼んで追悼曲が演奏される場合に、“曲が終わった後の拍手はご遠慮ください“とアナウンスされることがある。皆その案内に従っているが、演奏者がステージに登場する際に拍手をする人が結構たくさんいる。礼儀正しく、他人の言うことに従う人が多い日本人のこうした行動は変だと常日頃、思っている。(追悼曲は演奏の前後を問わず、拍手は避けるべきでしょう。会場でアナウンスする側もこの点に気づいてほしいものである。)
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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