オッコ・カム指揮 ラハティ交響楽団~シベリウス生誕150年

〈Kitaraワールドオーケストラシリーズ〉

フィンランドの作曲家シべリウス生誕150年に当たる今年は彼の作品が国内外のオーケストラによって頻繁に演奏されている。特にフィンランドと似た風土を持つ北海道での盛り上がりは凄いものがある。
フィンランドの首都ヘルシンキから北東100キロにある古都ラハティ。人口約10万の都市に1949年に設立されたラハティ交響楽団は、1988年オスモ・ヴァンスカを首席指揮者に迎え、芸術的に大きな躍進を遂げて世界的知名度を得た。ヴァンスカ率いるラハティ響は2003年と2006年にKitara大ホールで公演を行っている。2003年は勿論オール・シべリウス・プログラムで《序曲「カレリア」》、《交響詩「フィンランディア」》 、《交響曲第2番》と《ヴァイオリン協奏曲》(ヴァイオリン独奏:デイヴィッド・ギャレット)。
2006年はシベリウス《交響詩「タピオラ」》、《交響曲第5番》に加えてグリーク《ピアノ協奏曲》(ピアノ:ユホ・ポホヨネン)。(*オスモ・ヴァンスカは昨年のPMF2014でPMFオーケストラを指揮して「ベートーベンの第九」を演奏した姿が記憶に新しい。)

ラハティ交響楽団の来日は2006年以来らしいが、Kitaraは3度目のステージとなる。Kitaraホールの響きも深みを増していると想像される。シべリウス記念イヤーの最後のコンサートに相応しい真打ちの登場である。Lahti Symphony Orchestraは本拠地ラハティのシベリウス・ホールの杮落とし(2000年)を機に、毎年シベリウス・フェスティバルを開催。シベリウス音楽の中心地として世界の注目を浴びている。

2015年11月23日(月・祝) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

オッコ・カム(Okko Kamu)は1946年、ヘルシンキ生まれ。69年、第1回カラヤン国際指揮者コンクールに優勝。フィンランド放送響、オスロ・フィル、ヘルシンキ・フィル等の首席指揮者を歴任。2011年ラハティ交響楽団の首席指揮者、シベリウス音楽祭芸術監督に就任。
早くから彼の名を耳にしていたが、北欧音楽が中心になり過ぎて世界での活躍が目立たなかった感じがしていた。今回初めて彼の指揮ぶりを目にするのは意外の感あり。一度は聴いていると思っていた。

神尾真由子(Mayuko Kamio)は1986年、大阪府生まれ。2007年、第13回チャイコフスキー国際コンクール・ヴァイオリン部門優勝(*1990年の諏訪内晶子以来2人目の日本人優勝)で一躍脚光を浴び、その後の国際的な活躍も目覚ましい。09年、12年に続いて彼女の演奏を聴くのは今回が3度目。

〈PROGRAM〉
 シベリウス Jean Siberius (1865-1957)
  交響詩「フィンランディア」 作品26
  ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47
  交響曲第2番 二長調 作品43

2003年の札幌公演の際のプログラムと重なるが、当時はそれほどシベリウスの曲を聴き慣れていなかったので、正直言って曲の印象は殆ど覚えていない。CDではカラヤン指揮ベルリン・フィルを通して専ら親しみ、その後、サラステやバルビローリなどで交響曲の幅を広げ最近ではコリン・デイヴィスのシベリウス全集を買い求めて少しでも曲の理解を深めようとしている。前札響音楽監督尾高忠明によるシベリウス・チクルスの3年間にブログでもかなり詳しく書き綴った。この3年間シベリウスを聴く機会も増え、特に札響が奏でるシベリウスに親しんで感銘を受けた。
その反応か、札響の響きに慣れ過ぎたのか、冬の澄みきった青空に広がるような札響の音とはかなり違う物を感じ取った。ロシアの支配下にあってフィンランドの独立を勝ち取るフィンランド人の何となく泥臭いが力強い響きが伝わってきた。土着の人々の息吹は本国人でないと表現に難しさがあるのかもと勝手に想像してしまった。
外国人の演奏する「フィンランデア」は同じメロディを奏でてもフィンランド人の演奏する曲とは違いがあるのは、むしろ自然なのかも知れないと思ったりしてみた。長い入院生活の後の身には精神的にも元気づけられる曲であった。洗練されていると言うより本場ならではの質朴な感じが出ていて力強かった。

「ヴァイオリン協奏曲」は演奏会で聴く機会が結構多くてCDも6枚は手元にある。スターン、フリード、レーピン、ヴェンゲーロフ演奏の物もあるが、好んで聴くのはジョシュア・ベルと諏訪内晶子による演奏である。オッコ・カム指揮ヘルシンキ・フィルでミリアム・フリードという聴き慣れないヴァイオリニストのCDが有るのに気付いた。30年ほど前のデジタル録音もので何度か耳にしたようである。
オーケストラ曲とは違う感じのヴァイオリンの名曲。シベリウスはヴァイオリン奏者としてウィ-ン・フィル入団を目指したが、試験に落ちたエピソードが残っている。結果的に偉大な作曲家として数々の名曲が生まれたのは幸いであった。
神尾真由子は海外で英才教育を受け、現在はサンクトぺテルベルクを本拠地として世界的に活躍している。久し振りで聴く彼女の演奏は、凛とした姿勢で際立つ高度な技巧。弱音の美しさでホールの聴衆を惹きつける姿は実に見事。RAの座席で丁度良い角度から演奏ぶりを鑑賞できた。

ソリストのアンコール曲は「エルンスト:魔王」。 シューベルトの主題による奇想曲。

指揮者は腰を痛めているのか椅子に座っての指揮であったが、楽譜に忠実で非常に丁寧な指揮ぶり。(*音楽の友11月号によると彼はインタヴューで“楽譜に書き込みは一切しない”と語っている。)「交響曲第2番」もどちらかと言えば威勢の良い馴染みのメロディがふんだんに出てきた。この曲もロシアの圧政下にあったフィンランドの姿が読み取れ、国民の独立の願いが暗示されている曲となっている。同時にフィンランドの牧歌的な雰囲気も味わえる。

演奏終了後にはホールを埋めた聴衆からアンコールの声が湧きあがった。
アンコール曲の3曲ともにシベリウス作品で味わい深い曲。 ①悲しいワルツ op.44-1  ②組曲「クリスチャン2世」 op.27より “ミュゼット” ③鶴のいる風景 op.44-2
 
※ラハティ響は札幌の後、25日 松本、26,27,29の3日間に亘って東京で交響曲チクルスが予定されている。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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