ヤナーチェク弦楽四重奏団

〈Kitara弦楽四重奏シリーズ〉
チェコの至宝、名門カルテットがうたうスラヴの魂。
ヤナーチェク弦楽四重奏団(Janacek String Quartet)は1947年結成以来、スメタナ・カルテットと共にチェコを代表する名四重奏団として世界中で活躍している。来日は1962年から20数回になる。
  今回のメンバー:ミロ―シュ・ヴァチェック(1st Violin)、リヒャルト・クルゼック(2nd Violin)、ヤン・レズニチェク(Viola)、ブレティスラフ・ヴィビラル(Cello)

 2015年9月22日(火・祝) 14:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール

〈Program〉
 ドヴォルジャーク:糸杉 作品152より
             ああ、私たちの愛に求める幸せは花開かない
             これほど多くの人々の胸に死の思いがあり
             お前の甘い目を見つめながら
             地上を静かなまどろみが支配し
             お前は聞く、なぜ私の歌が
 ヤナーチェク:弦楽四重奏曲 第1番「クロイツェル・ソナタ」
 スメタナ:弦楽四重奏曲 第1番 ホ短調「わが生涯より」

弦楽四重奏曲は2曲ともスメタナ・カルテットが70年代に録音して2002年にデジタル化されたCDを予め2回ほど久しぶりに聴いてコンサートに臨んだ。

ドヴォルジャーク(1841-1904)はチェコ音楽をドイツ古典派の伝統的な作曲技法を通して、薫り高いコスモポリタンな芸術作品に仕上げて世界に普及させた作曲家として親しまれている。
「糸杉」の知識は全然なかった。プログラムの解説によると、1865年に書かれた若き日の恋愛の思い出を綴った歌曲集「糸杉 作品11」が原曲で、そこから12曲を1887年に弦楽四重奏曲用に編曲した作品である。美しく親しみやすい旋律が曲に溢れている。

ヤナーチェク(1854-1928)はチェコのモラヴィア地方で教員をしながら作曲活動をしていた。61歳の時に38歳年下の人妻に恋をして600通以上の手紙を書き送るなどの変わり者で、性格が激しかった。彼の作品で名作となっているのはこの老いらくの恋が始まった頃からのものが大部分である。村上春樹の小説で話題となった「シンフォニエッタ」や「タラス・ブーリバ」。彼の晩年の作「弦楽四重奏曲第2番」はこの恋文を話題にした内容である。ボヘミア地方の音楽を扱ったスメタナ、ドヴォルジャークとは異なる音楽作りである。彼の音楽は個性的で独特である。

「弦楽四重奏曲 第1番」は69歳の時の作品で副題は文豪トルストイの小説「クロイツェル・ソナタ」に由来する。〈貴族の放蕩息子の妻がベートーヴェンの同名のソナタを合奏したヴァイオリニストを愛してしまい、夫に殺されるが無罪になる物語〉。純愛の強さを描く作品はヤナーチェクらしい。4楽章構成。テーマは重苦しいが、解りやすい簡潔な作品となっている。(*各楽章に「コン・モート」(動きをもって)という指示があるのに気付いた。副題の意味は今までハッキリ意識していなかった。この2点が今回の生演奏の機会に判った。)

スメタナ(1824-84)はチェコ国民音楽の祖としてチェコ国内ではドヴォルジャークより人気が高いことは過去のブログでも書いている。彼はチェコ語のオペラを書き、国民劇場の創設に力を尽くした。交響詩「わが祖国」はチェコ国民音楽の記念碑的な作品となっている。スメタナは耳の病が50歳頃から悪化して、両耳とも殆ど聞こえなくなった。創作意欲に燃えて波乱の人生を振り返った作品となったのが「わが生涯より」である。スメタナ自身が書き添えた説明がある。
第1楽章は“楽しかった青春時代の音楽への愛とロマンティックなものへの憧れ”。第2楽章は“ポルカを作曲して踊った若い頃の思い出”。第3楽章は“亡き妻の少女時代の初恋の喜びの回想”。第4楽章は“民族的要素を音楽に採り入れ成功した喜びと不幸な失聴”。チェロの序奏で始まる自由な緩徐楽章が印象的だった。

チェコの3人の作曲家の弦楽四重奏曲をチェコの音楽家が演奏するコンサートは珍しい。テーマは重くても、曲は重苦しさを感じさせない味のある演奏であった。スメタナの作品は「わが祖国」や「売られた花嫁」以外に聴くことが少ないので良い機会となった。

今日の演奏会は当日券が完売で補助席がステージ横側の2階席でなく1階席後方に十数席用意されている様子であった。演奏終了の度ごとに“ブラヴォー”の声も飛び、拍手大喝采。このカルテットの演奏に対する聴衆の反応は極めて良く、冷静ではあるが控えめな日本人にしては熱狂的に近いものがあった。
カルテットのメンバーも会場を埋めた聴衆の期待に気持ち良く応えてアンコール曲を3曲披露した。
リーダーのヴァチェックが曲名を述べて1曲目に日本の「赤とんぼ」。2曲目は「ドヴォルジャーク:ユモレスク」(ピアノ独奏曲 変ト長調 op.101-7の編曲)。3曲目は「ドヴォルジャーク:弦楽四重奏曲 第12番 ヘ長調 作品96 “アメリカ” 第4楽章」。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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