東京大学音楽部管弦楽団 サマーコンサート2015 北海道公演

東京大学にオーケストラが設立されていて入学式などで活躍している様子は知っていた。同大学管弦楽団員によるブログを一度読んで判っただけで詳しい活動については全く知識がなかった。4月に公演情報が入って、8月はKitara開催の聴いてみたいコンサートが少なくて、いち早く東大管弦楽団のチケットを購入しておいた。
今日は2週間ぶりのコンサート鑑賞であった。

2015年8月16日(日) 13:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール

〈Program〉
 モーツァルト(1756-91):歌劇「魔笛」序曲 K.620
 R.シュトラウス(1864-1949):交響詩「ドン・ファン」 作品20
 ブラームス(1833-1897):交響曲第2番 二長調 作品73

東京大学管弦楽団の設立は1920年。これまでにベートーヴェンの交響曲第4番の日本初演、マーラーの交響曲第1番の学生初演、ヨーロッパへの演奏旅行(1966年)などの多彩な活動を行い、第100回定期演奏会を今年の2015年1月25日にサントリーホールで開催した。(*東大オーケストラ結成の頃に日本では宮内省・東京音楽学校・九州大学・慶應大学・早稲田大学などにオーケストラがあった。日本最古のプロのオーケストラは東京フィルハーモニー交響楽団で創設年は1911年。NHK交響楽団の発足は1926年。)

指揮の三石精一(Seiichi Mitsuishi)は1932年生まれ。東京藝術大学指揮科卒業、同大学大学院修了。1956年にメノッティのオペラでデビュー。ラヴェルの「スペインの時」を日本初演し、藤原歌劇団の指揮者、諏訪根自子・藤原義江・砂原美智子などのピアノ伴奏者として活動。73年、渡欧して各地でオーケストラとオペラを研修。77年文化庁芸術家在外研修員派遣プログラムでウィ-ン・フィルやミュンヘン国立歌劇場で研鑚を積み、79-86年まで読売日響の専任指揮者に就任。その後、全国各地のオーケストラに客演し、東京藝術大学などで教鞭をとった。その後、東京音楽大学指揮科主任教授に迎えられ、02年同大学名誉教授。97年創設の東京ユニヴァーサル・フィルの音楽監督・常任指揮者を11年まで務める。東京大学管弦楽団の指揮者を30年間も務め、現在は終身正指揮者となる。

コンサート開始前の正午ごろに雨足が一段と強くなっていた。地下鉄中島公園駅を降りてKitaraに着く時間にも雨が強く降っていた。開場時間12時半の少し前に会場に着いたが、係りの学生が適切な指示で広いエントランスホールを効果的に利用して要領よく会場整理に当っていた。人々で混雑するホールでこんな整然とした光景を見るのは珍しいことである。お蔭でコンサート前に気持ち良く入場できた。ホール内では全席が自由席でリセプショニストもキビキビと客の対応に当っていた。
素人の学生が行う効果的な入場方法をプロに学んでもらいたい。Kitaraのリセプショニストの対応は優れているが、主催者の対応には立派な施設を生かし切れていないことが多々ある。厳しい言葉で言うともっと職業意識を自覚してほしいと思うことがままある。

18年ぶりの北海道公演ということで東大管弦楽団のコンサートに期待する人々で大ホールの雰囲気も盛り上がっていた。13時に若い学生がステージに登場して華やいだ雰囲気になって、いよいよ開演となった。

モーツァルトはイタリア語のオペラを数多く書いたが、歌劇《魔笛》はドイツ語で書かれた〈紙芝居〉(ジングシュピール)である。ドイツ・オペラの基礎を築いた作品と言われ、この最高傑作は1791年に上演された。メルヘン的な作品であるが精神的な深みのある作品でもある。「序曲」は生き生きとした明るい曲でストーリーの展開に相応しい。作品で3の数字が意味を持つが、3回の和音の繰り返しがある。(実際に演奏に携わっている人なら直ぐ気付くのだろうが、残念ながら私は解らなかった。)

「ドン・ファン」はスペインの伝説的な人物。主人公の心理的葛藤に共感して曲を書いたシュトラウスは、1889年に自らワイマール宮廷管弦楽団を指揮して初演した。「ドン・ファンの主題」、「女性の主題」が素晴らしいオーケストレーションで展開される。約90名で構成されたオーケストラが壮大な音楽を響かせた。木管楽器と金管楽器奏者(約25名)が期待以上の見事な演奏で弦楽器と調和して面白く聴けた。国内4公演の最後となる演奏が思い切りの良い清々しい演奏となってとても良かった。久し振りで聴く「ドン・ファン」はとにかく好印象!

三石精一は80歳を越えているとは思えないほどの若々しい指揮ぶりであった。暗譜で演奏したが、プログラムによると毎年サマーコンサートの指揮を行なっている。
後半のメイン曲であるブラームスの「交響曲第2番」もブラームス自身の重圧から解放された喜びに溢れた明るい曲が溌剌とした若さのエネルギーで演奏された。毎年編成が変る学生オーケストラとしては結構な演奏だと思った。昨年秋のエリシュカ指揮の札響の名演を聴いたばかりで、演奏に慣れてしまっているので感動を味わうまでには至らなかった。
指揮者は全て暗譜で特に2曲目以降の「シュトラウスとブラームスは小気味よい指揮ぶりを見せた。オーケストラを手中に収めているようであった。色々な経験を積んで学生の指導にも大ヴェテランの味わいが出ていた。

このオーケストラは定期演奏会を年1回開催しているが、過去10年間の記録で指揮者に現田茂夫・高関健・山下一史・円光寺雅彦・曽我大介の名が合わせて8回もあった。優れた指揮者の下で研鑚を積んでレヴェルを向上させているのかもと思った。

東京大学音楽部管弦楽団の現在のメンバーは総勢130名。コンサートマスターが北海道出身で医学部の学生で演奏中にソロで弾くヴァイオリンの腕も確かなものであった。

アンコール曲は「ブラームス:ハンガリー舞曲第6番」。最後に、このオーケストラのコンサートでは恒例の《ドイツ民謡・丹治 汪作詞による「歌声響く野に山に」》の演奏と聴衆の輪唱で終了。

※北海道大学交響楽団の歴史は1921年に始まって、北大交響楽団成立が1941年で第1回演奏会が行なわれた。56年に第1回復活演奏会を開催。60年に行われた「復活5周年記念 第20回定期演奏会」は川越守指揮で聴いた記憶がある。札幌に転居した88年からは何度か北大演奏会に出かけたものだ。最後に聴いたのが2010年の「第120回定期演奏会」。十年ほど前は葉書で年2回開催の定期演奏会の案内があったが、E-mailアドレスをアンケートに書いて提出して以来、アドレスが間違って送られている様子で連絡が途絶えた。そんな訳で以前ほど北大交響楽団の演奏会に出かけることが少なくなってしまった。卒業生の一部が参加している北海道交響楽団の演奏会はここ数年は毎回聴いている。
Kitaraで開催されるプロのコンサートを中心に鑑賞しているが、開催日の都合がつけば地元の大学のオーケストラの若々しい演奏は望むところである。
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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