小山 裕幾フルート・リサイタル

小山裕幾に注目したのは世界的な神戸国際フルートコンクールに日本人として初めて優勝した時であった。このフルート単独の国際コンクールは1985年に始まり4年毎に開催されている。第2回の89年のコンクールでエマニュエル・パユが第1位となり、その後パユは93年にベルリン・フィルの首席ソロ奏者に就任した。この大会の入賞者はパリ管、ロイヤル・コンセルトへボウ管、シカゴ響、バイエルン放送響の首席奏者に就任するなど権威ある若手の登竜門のコンクールとなっている。小山自身も昨年フィンランド放送響の首席奏者に就任した。(*17年の第9回神戸国際コンクールは神戸市で廃止の動きがあり、パユが存続を願う文書を神戸市に提出するなど廃止反対の運動も起きている。)

《六花亭 ふきのとうホール》 オープニングフェスティバル
 
フルートの新鋭  小山裕幾リサイタル

2015年7月24日(金) 開演時間 19:00  ふきのとうホール

小山裕幾(Yuki Koyama)は1986年、新潟県長岡市生まれ。99年第53回全日本学生音楽コンクール全国大会(中学校の部)第1位、02年第56回全日本学生音楽コンクール(高校の部)第1位、同年第7回びわ湖国際フルートコンク-ルにて高校生の部第1位。04年第73回日本音楽コンクール第1位。05年第6回神戸国際フルートコンクールで日本人初の第1位。
オーレル・ニコレ、エマニュエル・パユらに師事。日本各地でリサイタルを開催。N響をはじめ首都圏の国内主要オーケストラとの共演を重ねる。10年慶應義塾大学理工学部卒業。10年9月からスイス・バーゼル音楽院にて研鑚を積む。14年、フィンランド放送交響楽団首席フルート奏者に就任。

斎藤 龍(Ryu Saito)は1981年、神奈川県出身。東京藝術大学卒業。同大学院修士課程修了後、チューリッヒ藝術大学大学院に学ぶ。第16回ブラームス国際コンクール第3位。これまでに神奈川フィル、東京フィルなどと共演。東京文化会館でデビュー・リサイタル。ベートーヴェン・ソナタ全曲演奏会プロジェクトをはじめ、ドイツやスイスでもリサイタルを開催。ピアノトリオやピアノカルテットを組み室内楽でも積極的に活動。10年より15年まで東京藝術大学非常勤講師を務め、現在は沖縄県立芸術大学非常勤講師。

〈Program〉
 テレマン(1681-1767):幻想曲 第7番 二長調
 ゴーベール(1879-1941):フルートソナタ 第1番
 シューベルト(1797-1828):ソナタ 第4番 イ長調 D574
 C.P.E.バッハ(1714-88):ソナタ イ短調
 ヴィドール(1844-1939):組曲 作品34
 シュールホフ(1894-1942):フルートソナタ
 
今夜のコンサートに先立って、7月11日に小山は故郷、長岡市で《フィンランド放送交響楽団首席フルート奏者就任記念 小山裕幾フルート・リサイタル》を開催して凱旋公演を行った。本人にとって一生忘れ難いコンサートになったと思う。

テレマンはバッハやヘンデルと同時代の作曲家。彼は家庭用音楽をたくさん書き残した。当時の代表的な楽器、リコーダーを用いた作品が多くある。現在はフルートを演奏する作品でその名を聞くことが多い。エマニュエル・パユのリサイタルの時に作曲家の名を聞いて覚えていた。2008年のパユの《無伴奏フルート・リサイタル》でのテレマンの「無伴奏のための12の幻想曲」全曲とジョリヴェの「5つの呪文」の演奏は忘れられない思い出。
「第7番」は2楽章構成で無伴奏。第1楽章はフランス風序曲スタイル。第2楽章は軽快なプレスト。

ゴーベールの名は初めて耳にする。 フルートのヴィルトゥオーソや指揮者として知られ、フルートの作曲家として活躍したというフランス人。曲は3楽章構成。20世紀の作曲家の作品であるがとっつきにくさは無い。

シューベルトが1817年にヴァイオリン・ソナタとして作曲した曲のフルート編曲版。先日の郷古廉&津田裕也のデュオで原曲は聴いたばかりだった。今日はコンサートに出かける前にYouTubeでクレーメルとアファナシェフの演奏を聴いてみて、先日のコンサートの模様を思い浮かべた。編曲が行われた時期は不明。
ピアノパートは殆ど同じなのだろうがヴァイオイオリンとフルートでは印象が異なるのは当たり前なのか。管楽器と弦楽器では曲の印象が違った。ヴァイオリン曲の方が親しみ易い感じがした。

前半は3曲。休憩後の後半は3曲。フルートの心得のある人は別にしてポピュラーな曲は無いが、ある意味では聴きごたえのある選曲。

C.P.E.バッハは大バッハの次男。父よりもテレマンの作曲様式を受け継ぎ古典派音楽の基礎を築いたと言われるドイツの作曲家。無伴奏の曲は息継ぎが大変だろうと思う。前半の無伴奏曲が7分間休みなし。後半のバッハの無伴奏曲も12・3分の曲。08年のパユのコンサートではピノックとマンソンの二人の共演者が出演できなくなり結果的にパユ単独でのコンサート開催で無伴奏リサイタルだった。若かったから(当時37・8歳)キャンセルしないで頑張れたのだと思う。若くても管楽器奏者の無伴奏曲の演奏は大変だと思う。3楽章構成で比較的に長い曲を小山は難なくこなしているように思えた。

ヴィドールはフランスのオルガン奏者、作曲家。彼の「オルガン交響曲」はKitaraのオルガンで何度か聴いたことがある。
4楽章構成。第1楽章はモデラート、第2楽章はスケルツォ、第3楽章はロマンス、第4楽章フィナーレ。楽章ごとに曲の雰囲気が伝わる。20分弱の曲。

シュールホフ作曲の「ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲」は昨日聴いたばかり。初めて聞く作曲家の作品を2日続けて聴くのは極めて珍しい。彼はチェコの作曲家、ピアニスト、指揮者。あらゆるジャンルの作品を書き、200もの曲を遺した。
4楽章構成で20分強の曲。民謡風のメロディが親しみ易い。スケルツォで独特な雰囲気を醸し出し、アンダンテで曲調に変化を生み、激しいリズムでのフィナーレ。現代曲でも理解しやすい曲。

小山裕幾は技巧を駆使しての演奏で、疲れも見せずに玄人好みのプログラムを弾き切った。今回のような重量感のあるプログラムでコンサートを開くことは簡単ではないような気がした。
ピアニストもピアノ伴奏の域を超えた領域での演奏は実力が問われる。フルートの高度な技量が発揮される場面ではピアノのテクニークも必要とされる。齋藤龍の健闘も光った。
ピアノはいつものピアノとは違って今日はベーゼンドルファーが使用された。
 
アンコール曲は「ボルヌ:カルメン幻想曲」。
アンコール曲は十数分もかかる「カルメン幻想曲」で聴衆も大喜び。演奏が終わると感動の溜息を伴った一際大きな歓声が沸き起こった。ビゼーのオペラ「カルメン」を要約したワックスマンのヴァイオリン曲が親しまれているが、フルート用にボルヌが作曲したようである。聴衆はすっかり満足した様子で会場を後にした。

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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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