野島 稔ピアノ・リサイタル ~ベートーヴェンの夕べ~

野島稔というピアニストの名は札響やN響への客演を通して知っていた。3年前のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールの様子をパソコンのオンデマンド・ビデオで夢中になって見ていたので、野島が同コンクールの審査員として活躍していることが判った。彼の演奏は札響とN響に客演した過去3回聴いたことがある。89年11月札響定期で「ベートーヴェン:協奏曲第5番」、92年8月のN響札幌公演で「チャイコフスキー:協奏曲第1番」、94年5月札響定期で「モーツァルト協奏曲第22番」を弾いた。
今回の《ふきのとうホール》オープニングフェスティバルでは数えきれないほどの魅力的なコンサートの中から現在も現役のピアニストとして活躍している野島のリサイタルを選んだ。

野島 稔(Minoru Nojima)は1945年、横須賀生まれ。3歳からピアノを始め、井口愛子に師事。10歳でN響と共演。桐朋学園高校、同大学に進学。高校3年の63年には日本音楽コンクールで第1位。66年、ソヴィエト文化省の招きでモスクワ音楽院に留学し、レフ・オボーリン(第1回ショパン国際音楽コンクールの覇者)に68年まで師事した。69年ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで第2位となって世界的な注目を集めた。70年、カーネギー・ホールでニューヨーク・デビュー。以後、東京とニューヨークを拠点に世界各地でリサイタル、オーケストラとの共演、室内楽などで活躍。
81年からヴァン・クライバーン・コンクールなど世界的なコンクールの審査員を務め、06年からは「野島稔よこすか・ピアノコンクール」が創設されて審査委員長を務めている。現在、東京音楽大学学長、桐朋学園大学院大学特任教授。
2014年には『平成25年度、日本芸術院賞を受賞。
札響には65、82、89、94年に客演。

2015年7月10日(金) 開演時間 19:00~  ふきのとうホール

ベートーヴェンの夕べ

〈PROGRAM〉
 ピアノ・ソナタ 第19番 ト短調 作品49-1
 ピアノ・ソナタ 第11番 変ロ長調 作品22
 ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 作品111

ベートーヴェン3大・4大・5大・7大ソナタと言われる曲はいろいろなピアニストのCDを持って親しんでいるが、ベートーヴェンの32曲のソナタがほぼ全曲入った全集はシュナ‐ベルの演奏だけ。第11番、第19番は1・2度聴いてみただけでメロディには殆ど親しんでいない。演奏会前に一応聴いて出かけた。
第19番は1804年作曲で2楽章構成。第1楽章はアンダンテでゆっくりした軽やかな曲。第2楽章は一転アレグロで手の動きが素早く明朗軽快な感じ。(10分弱)
第11番は1800年作曲で4楽章構成。全体を通して明朗活発な雰囲気の曲。(約25分)

大御所とはいえ、久しぶりのリサイタルで緊張しているのか、聴衆の面前で顔を余り合わせずに入退場。もちろん、演奏は重厚で曲の良さが伝わってきて、親しみ易い曲に聞こえた。曲にタイトルでも付けば演奏機会が増えそうな曲に思えた。

第32番は1822年作曲で2楽章構成。ベートーヴェンの最後のピアノ・ソナタ作品で偉大な作品。今まで演奏会で聴く機会があったが、この曲の偉大さが解るようになって日が浅い。リヒテルのCDで聴く機会を持ったが、2012年に後期ピアノ・ソナタをサントリーホールで演奏したポリーニを聴いて、その機会に彼のCDを購入した。
第1楽章は緊張感に満ち溢れ、荘重な感じが漂う。第2楽章で精神が高揚して浄化される過程が描かれる様は感動的である。
野島稔は深みのある重厚な演奏で聴衆の心を揺さぶった。(約25分)

演奏終了後に拍手喝采でアンコールを期待したが、全精力を集中して、力を使い切った様子で残念ながらアンコール曲の演奏はなかった。最後にはホール正面の聴衆に顔を向けての挨拶をしたが、これだけのピアノの巨匠でも場を踏んでいないと緊張するのだろうと余計なことを考えてしまった。

予想通り、コンサート開始前に5階でコーヒーやケーキのサービスがあった。コンサートに来た人は5階で降りる案内があったが、ビルに入って6階や7階でエレベーターを降りて、サービスに気付かなかった人たちもいた様子。開演時間前に会場に到着して時間的に余裕のある人にはオープンフェスティバル期間中は続くと思われる無料の喫茶コーナーはお得である。

※野島稔は1981年から4年毎に開催されているヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールの審査委員を現在も続けているようである。このコンクールで2009年に辻井伸行が優勝したことは記憶に新しい。過去の優勝者で現在も活躍している最も有名なピアニストはラド・ルプー(1966年)。若手のピアニストではアレクサンダー・コブリン(2005年)、ハオチャン・チェン(2009年)。







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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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