小山実稚恵 リサイタルシリーズ 「音の旅」 第14回 2012年秋

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 小山実稚恵「音の旅」≪12年間・24回リサイタルシリーズ2006~2017≫は春・秋年2回で12年間に亘る壮大な計画で2006年から始まった。
 
 毎回テーマとカラーを設定して、2006年のスタートの時から12年間の全プログラムが発表されたのは前代未聞で画期的なことである。この壮大なプロジェクトを準備するのに要した時間もさることながら、実践していく決意も並々ならぬものがあると思う。

 私は2006年秋のコンサートから参加した。小山のコンサートは今まで大ホールでしか聴いたことがなかった。彼女くらいの演奏家は大ホールでも集客力が見込めるはずであるが、毎年2回12年間継続して聴いてくれる聴衆のことやコンサートでの演奏家と聴衆の密着度も考慮に入れたプランだったのかもしれない。

 Kitara小ホールは客席数が453席(1階席 343席、2階席 110席)車椅子席6席、2階に補助席20席可能であるが、欲を言えば客席数800席程度の中ホールがあれば理想的だと思うことがままある。

 ところが、2006年の小山のリサイタルではそれまでに味わったことがないくらいの感動を覚えた。
当日のプログラムはメンデルスゾーンの「無言歌集より」、シュ―マンの「ソナタ第2番」、シューマン=リストの「献呈」、リストの「ソナタ ロ短調」であった。ピアニストが奏でる音が心に響き渡り、思いやりに溢れた感情が紡がれ、作品を通してピアニストと聴衆の心まで繋がったような一体感が生まれた。この時にピアノ・リサイタルは小ホールの方が大ホールより良い と初めて意識した。ピアニストと聴衆との一体感が小ホールではどの座席からでも感じとれる。

 演奏会終了後に感想を述べて、彼女の丁寧なサインを貰った。 画像にある通り毎回日付も書いてくれる。 思いやりにあふれた優しい人柄に接すると嬉しくなってしまう。

 第14回のテーマは《夜のしじまに》 カラーは《黒》                          
 
 シューマンの「森の情景」は森の奥深くに入ると闇が広がり、不安を掻き立てる<予言の鳥>のつぶやきが聞こえた気がした。ラヴェルの「夜のギャスパール」は幻想的な散文詩を神秘的で魔性な音の世界で表現した曲としてピアニストには魅力があるようだが技巧的に難曲と言われている。
 ショパンの「ノクターン第13番」は夜の神秘だけでない明るさも含んでいて格調が高い曲。「バラード4番」はメランコリックなワルツの部分が黒とのかかわりなのか? スクリャービンの「ソナタ第9番<黒ミサ>は彼の10曲のソナタの中で最も有名だそうだが、悪魔のような激しさや変化に富むリズム。何かしらシェーンベルクを思わせるシステマティックな曲が不気味な雰囲気を漂わせる。
 
 《黒》の色で漆黒の夜・闇夜への不安がピアノを通して表現された。音を媒介としてこのような印象を受けるのは毎回あるわけではない。今夜は特別な夜になった。

 彼女のリサイタルシリーズは毎年のように聴いており、ここ3年は毎回参加している。小山実稚恵のコンサートは今日で20回目になった。私の聴くピアニストの中で回数は断然トップである。

 2011年の東日本大震災の年には仙台での演奏日程を変更せざるをえなかったり、また途中から北九州市が加わって全国7都市での開催になる過密なスケジュールにもかかわらず岩手・宮城・福島の公共施設などにも音楽を届ける彼女の真摯な姿勢に心を打たれる。
 
 健康に留意しながら、先ずは2017年度までのプロジェクトの成功を祈りたい。
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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