ミハル・カニュカ チェロリサイタル(ベートーヴェン全曲演奏会)

〈Kitaraワールドソリストシリーズ〉
ミハル・カニュカ チェロリサイタル

チェコ&スロヴァキア随一の実力派ソリストで、プラジャーク・カルテットのメンバーでもあるミハル・カニュカが世界的なチェロ奏者と評価されて、今回Kitaraのステージにリサイタルのソリストとして初登場した。

カニュカはプラジャーク弦楽四重奏団メンバーとしてこれまでKitaraに9回出演した。昨年6月の札響名曲シリーズにソリストとして登場し、チャイコフスキーの「ロココの主題による変奏曲」を演奏して万雷の拍手を浴びた。

2015年6月24日(水) 19:00開演  札幌コンサートホールKitara小ホール

ベートーヴェン  チェロ・ソナタ全曲演奏会

Michal Kankaは1960年、プラハ生まれ。プラハ音楽院で学び、82年チャイコフスキー国際音楽コンクールで上位入賞。83年プラハの春国際音楽コンクールで第1位。86年ミュンヘン国際音楽コンクールで最高位(第1位なしの第2位)。ヨーロッパのトップオーケストラと共演を重ねており、世界各地でリサイタルを開いている。

ピアニストの三輪 郁(Iku Miwa)は1968年、東京生まれ。ウィ-ン国立音楽大学を首席卒業。同大学院を最優秀で修了。89年パルマ・ドーロ国際コンクール第1位、シューベルト国際や第1回浜松国際で上位入賞。ドルトムント・フィルや東京フィル、都響などの国内外のオーケストラと共演。ライナー・キュッヒルやラデク・バボラークなどとも共演。室内楽の他にもリサイタルも行い幅広い活動を展開している。

《プログラム》
 チェロ・ソナタ第1番 ヘ長調 作品5-1、 チェロ・ソナタ第2番 ト短調 作品5-2
 チェロ・ソナタ第3番 イ長調 作品69
 チェロ・ソナタ第4番 ハ長調 作品102-1、チェロ・ソナタ第5番 二長調 作品102-2

ベートーヴェンの時代はチェロが独奏楽器として使われる機会は少なかったが、彼は「ピアノとチェロのためのソナタ」を5曲作曲した。
「第1番」と「第2番」はベートーヴェンが26歳の1796年に2曲セットで作曲された。宮廷におけるヴィルヘルム2世の御前での演奏のために作曲された曲といわれ、ピアニストでもあったベートーヴェンがチェロよりもピアノの活躍が多い作品に仕上げた。CDも持っていなくて初めて聴くのではないかと思った。作品は長調と短調で対照的な曲になっていた。想像以上に、ピアノパートは強い打鍵で、リズムも速く、手を休める暇もないくらいの忙しさ。チェリストよりピアニストの負担が多い曲で録音も他と比べて少ないのが判った感じ。2曲とも2楽章編成で演奏時間は各20分。とにかく全曲演奏会だからこそ聴ける機会になった。
 
「第3番」は5曲のなかでも最も親しまれている作品。他の作品が2曲ずつまとめられているのに対して、単独の作品番号になっている。ベートーヴェンの創作意欲が高く、名作が生まれた時期の作品。(*作品67は「運命」、68は「田園」)。ヴィルトゥオーゾがペアになったCD(ロストロボーヴィチとリヒテル、アルゲリッチとマイスキー)で聴く機会が多い。ピアノとチェロが対等の役割で活躍する曲。比較的に聴き慣れた旋律も出てきて演奏終了後は拍手大喝采。(約25分)

長時間演奏(正味100分)に鑑み、作曲時期とメイン曲を考慮してか、3部に分けて、休憩時間が2回設けられた。
「第4番」と「第5番」は1815年に作曲された。「第4番」は「ピアノとチェロのための自由なソナタ」と題されている。ベートーヴェンの主要作品が殆ど完成された後で、自由奔放な形式になっているのが特徴。一応、前半の2部と後半の3部をわけて2楽章構成か。(約15分)
「第5番」は急ー緩ー急の3楽章構成。ベートーヴェン最後のチェロ・ソナタで全5曲中で唯一の緩徐楽章のある曲。第3番のスケールの大きさや第4番の穏やかさを併せ持つ内容豊かな作品とされ、上記のヴィルトゥオーゾの録音もある。(約20分)

《ベートーヴェン チェロ全曲演奏会》を企画しても実現は困難だと思われるが、今回カニュカの決断で実を結んだと思う。ピアニストの三輪郁の協力なしには難しかったのではと演奏を聴いている中で思った。演奏家のエネルギーも称賛ものだが、聴衆の集中力も大変なものである。改めて二人の音楽家に敬意を表したい。

エネルギーを使い果たして“アンコール曲はなし”かと思ったが、演奏曲の中から「アダージョ」を再び演奏して21時25分終了。今晩のコンサートで注目したのがピアノがベーゼンドルファーだったこと。

※ミハル・カニュカは7月7日「七夕チェロ・リサイタル」で東京の日経ミューズサロンに登場して、バッハ、シベリウス、コダーイなどの無伴奏の作品を演奏する予定になっている。









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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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