プラハ放送交響楽団

チェコ・プラハのオーケストラの来日公演は多い。プラハではチェコ・フィルが一番歴史の古い名門である。2年に一度は来日公演を行っている様子。一時、プラハの三大オーケストラはチェコ・フィル、プラハ放送響、プラハ響と呼ばれた。2000年代の初めには競って札幌公演も行われていた。最近では1994年に結成されたプラハ・フィルの公演を札幌で聴く機会が多くなっていた。
プラハ放送交響楽団(The Prague Radio Symphony Orchestra)を聴くのは2000年に続いて2回目である。

2015年6月23日(火) 開演19:00  札幌コンサートホールKitara大ホール

指揮/ オンドレイ・レナルト    ピアノ/ ショーン・ケナード

Ondrej Lenardは1942年、スロヴァキア生まれ。革命前のチェコスロヴァキア放送響の首席指揮者(1977-1990)を務めた。スロヴァキア・フィル首席指揮者兼音楽監督(1991-2001年)、スロヴァキア国立歌劇場音楽監督(97-98)をはじめ世界の歌劇場で活躍。旧新星日本交響楽団首席指揮者(93-99)を務め、同団が東京フィルと合併した後も東京フィル名誉指揮者として共演。日本の他のオーケストラにも客演している。札響とは89、91、93年に定期で共演。(少なくとも3回は実演を聴いた記録がある。)日本で馴染みの指揮者。

〈PROGRAM〉
 スメタナ:連作交響詩「わが祖国」より「モルダウ」 
 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 op.18
 ドヴォルジャーク:交響曲第8番 ト長調 op.88

プログラムにラフマニノフが入っているのと、旧知のレナルトの指揮で興味が湧いた。プラハのオーケストラの来演で毎回スメタナ、ドヴォルジャークでは食傷気味の感があった。

ピアニストのSean Kennardは1984年、ハワイ生まれ。フィラデルフィアのカーティス音楽院で学ぶ。ジュリアード音楽院大学院修了。2013年エリザべ―ト国際音楽コンクールのファイナリスト。アメリカ国内の他、イタリア、ウルグアイなどでリサイタルを開催。09年東京デビューを果たし、これまでに読響、山形響と共演。

いつも開演20分前には会場に到着しているが、今日のエントランス・ホールの混雑ぶりは普段の混み具合とも違っていた。当日券売り場に列を作る人の数が延々と続いて、チケットを持って入場する人たちの列と区別できない状態で一層混雑していた。多分、当日に割引券で入場できる人もいちいち指定席の手続きで時間を要して長蛇の列ができていたように想像できた。(このような場合には特別にデスクが置かれて迅速な手続きが行われるのが通例。) ひどい混乱状態にならないのは冷静な国民性だろう。

入場手続きに時間を要して開演時間が過ぎた19時5分にチャイムが鳴りアナウンスがあった。毎回遅れる人はいるので、どこかで扉を締めないと収拾がつかない。オーケストラの楽員は楽屋のホアイエで立ちっぱなしの状態が10分は続いたのではないかと思われる。楽員がステージに登場した後にも遅刻者を座席に案内する状況が続いて、指揮者も全員が座り終るのを待っていた前代未聞の状態だった。900回ほど通っているKitaraでこんなことは初めての事態だった。主催者を始め関係者の猛省を求めたい。

開演時間は19時15分過ぎであった。静かに開演を待つ心をかき乱された人も少なからずいたのではないだろうか。指揮者の指揮ぶりを観察しようとホール全体も見渡せるP席から一部始終が見えてしまった。レセプショニストも大変忙しく対応に追われて気の毒であった。

多分93年以後も札幌を訪れている指揮者はほぼ満席の聴衆を「モルダウ」の世界に引き込んだ。チェコ音楽の祖、スメタナの交響詩《わが祖国》の第2曲「モルダウ」は単独で演奏される機会が多い。チェコ語で“Vltava”(ブルタヴァ)。プラハの街を流れていく河の名である。プラハ市民の愛する河にいろんな想いがこもっている。

チェコのオーケストラは何回も来演するが、ある程度プログラムが固定化されている。スロヴァキア出身のレナルトは二十数年前の札響定期で各演奏会にそれぞれドボルザークの交響曲第7、8、6番を1曲入れていたが、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンなども入れて変化を持たせていた。今回はラフマニノフを選曲したのがとても良かった。

ショーン・ケナードは初めて名をきくピアニストであるが、堂々たる技巧とピア二ズムで聴衆の大絶賛を浴びた。鐘の音で始まる《ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番」は彼の曲でも最も有名だが、ソチ・オリンピックでの浅田真央がフリーに使用した曲にもなって、現在では多分日本人が最も好きなピアノ協奏曲になっているかもしれない。ケナードは美しい旋律に満ち溢れたドラマテイックな曲を華麗に演奏して満席の聴衆を感動の渦に巻き込んだ。
アンコール曲は「プレリュード Op.23-5」で更に聴衆の喝采を浴びた。

最後の曲は改めて言及の必要がない。レナルトの指揮ぶりに注目してP席を購入したが、期待以上の興味をそそる指揮の様子が観て取れて大満足であった。指揮棒を右手に、左手は指の細かな動き、その表情豊かな指揮ぶりに魅せられた。巧みに各楽器奏者を操り、時にはタクトを左手に持ち替え、右手でヴィオラ奏者を歌わせる場面もあった。楽譜をめぐりながら忠実に演奏する姿勢と自由自在に表情をつけて指揮する姿に惹きつけられた。
演奏終了は21時10分。帰りを急ぐ客はアンコールを聴けずに退場する人もいた。(時間通りに始まれば聴けた人も居たのではないか。)
アンコール曲は2曲。「ドヴォルジャーク:スラブ舞曲 第8番、第15番」。
アンコール曲の演奏ではタクトを指揮台に置いたままにして、オーケストラに自由に演奏させたり、顔を上げたり下げたり、ヘッドを動かす動作を見せて和やかな楽しい雰囲気を作り出した。聴衆も大満足! 終わりよければすべて良し!

※今回のプラハ放送交響楽団の日本ツアーは6月20日の山口に始まり、大阪、札幌、青森、岩手、東京、石川、愛知、和歌山、福岡、と続き、最後は7月5日鹿児島という長丁場。プログラムもドヴォルジャークをメインに、ベートーヴェンの交響曲、ショパンのピアノ協奏曲など曲目にも多様性を持たせ、ソリストも上原彩子やフジコ・ヘミングも組み合わされて自在だという。レナルトのプログラミングの特徴が出ているように思う。


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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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