三上亮(Vn)&金子鈴太郎(Vc) デュオリサイタル

三上 亮(ヴァイオリン)&金子鈴太郎(チェロ)デュオリサイタル ゲスト 高 実希子(ピアノ)

2015年4月27日(月) 開演 7:00p.m. 会場:ザ・ルーテルホール

Kitaraが休館する前に今日のコンサートのチラシが配られていた。札幌交響楽団のコンサートマスターを2007年~11年まで務め、昨年10月にヴィルタス・クヮルテットの演奏会にも来札した三上亮が出演するコンサートだったので2月初旬にチケットを買い求めていた。

三上亮(Ryo Mikami)は1976年、水戸市生まれ。東京藝術大学在学中に日本音コン第2位。東京芸大首席卒業。99年、米国アスペン音楽祭に参加してドロシー・ディレイに師事。04年、ローザンヌ高等音楽院でピエール・アモイヤルに師事。スイス国内を拠点にヨーロッパ各地で演奏活動。07年に帰国後、札響コンマスを4年間務め、11年に退団。その後、東京芸術大学非常勤講師、日本音コン審査員などを歴任しながら、東京モーツァルトプレイヤーズ・コンマスの他に室内楽活動やオーケストラ客演コンマスなど多方面で活躍中。

金子鈴太郎(Rintaro Kaneko)は桐朋学園ソリスト・ディプロマコースを経てリスト音楽院で学ぶ。 国内外の数々のコンクールで優秀な成績を収め、1999、2000年イタリア・シェナのキジアーナ音楽祭で名誉ディプロマを受賞。03~07年大阪交響楽団首席チェロ奏者、07~08年、同楽団特別首席チェロ奏者。現在は東京モーツァルトプレイヤーズ・チェロ首席、Super Trio 3℃などで活躍中。

高実希子(Mikiko Ko)は函館出身のピアニスト。桐朋学園大学ピアノ専攻首席卒業。2008年、パリ国立高等音楽院卒業。2008年イル・ド・フランス国際ピアノコンクールでドビュッシー特別賞を受賞。現在、ソロ・室内楽においてフランス・日本各地で積極的に演奏活動を行なっている。

〈PROGRAM〉
 1部 エルガー:愛の挨拶 (トリオ)
     ラヴェル:ヴァイオリンとチェロの為のソナタ (デュオ)
     ギス:God Save the Kingによる変奏曲 (デュオ)
 2部  チャイコフスキー:偉大な芸術家の思い出 (トリオ)

エルガーの作品で「威風堂々 第1番」と並んで有名な曲。 イギリスの作曲家であるが出版の際に経緯があって、曲のタイトルはフランス語“Salut d'amour”となった。「愛の挨拶」の英語タイトルは“Love's Greeting”である。
優美な調べで親しまれ、エルガーはピアノ曲、ヴァイオリン曲、小編成の管弦楽曲などいくつもの版を残した。

三上ファンが多く詰めかけたのか、入場時に道路にまで並ぶ人の列。会場は満席状態で、札幌公演に先立って函館で2種類のコンサートを行ってきて車で札幌入りしたとのこと。ほぼ満員の会場で聴衆の期待に応える意気込みも語られた。
トークが苦手という三上に代わって、以後、金子が進行役を務めた。(彼は話が得意そうで自制しながら進めた。)

ラヴェルが1920年から1922年にかけて作曲した珍しい楽器編成の作品。ドビュッシーの追悼曲として発表済みの作品を第1楽章として、4楽章構成にしてソナタとした。ストラヴィンスキーやヒンデミットなどの現代作曲家の音楽にも繋がる第一次世界大戦後の音楽を感じ取れた。今まで聴き慣れたラヴェルの音楽とは違った傾向の曲が聴けて興味深かった。
ヴァイオリンの極めて高度の技量が必要で、演奏が難しい曲に思えた。チェロがヴァイオリンに寄り添って支えている様子が感じられたが、金子の個性かも知れない。20分程の曲。
演奏前に三上は昨年10月に初めて金子と共演してから彼とは20数回共演を重ねていると話したが、音楽的にも相性が合うのだろうと思った。(* 先月ピアニストの近藤嘉宏が三上亮との室内楽共演の様子をtwitterに載せていた。室内楽を気軽に楽しむアーティストが増えているのを実感する。)

ギス(Ghys)(1801-48)は聞いたこともない名前。「God Save the Kingの旋律による華麗にして協奏的な変奏曲」という長い曲名。原題の“God Save the King”は英国国歌。(*現在の英国国歌は“God Save the Queen”) 。オリンピックの表彰式などで度々耳にする機会のある聴き慣れたメロディが繰り返されるので初めて耳にする曲でも親しみが湧く。10分程の曲。

休憩後はチャイコフスキーの大曲。昨年12月、レーピン(Vn)、クニャーゼフ(Vc),コロべイニコフ(Pf)のトリオでの生き生きとした名演奏が脳裏にある。今年は演奏会の曲目にも度々選ばれているのを目にする。室内楽では私の最も気に入りの曲になっている。いつ、何度聴いても飽きない。

金子のトークで初耳だったことがあった。ロシアでは有名人が亡くなった時に作曲家が「ピアノ三重奏曲」を書く習わしがあったという。チャイコフスキーが亡くなった1893年にラフマニノフが「ピアノ三重奏曲」を作曲していることに気付いていなかった。調べてみたら曲のタイトルに「偉大な芸術家の思い出」と書かれていた。

「偉大な芸術家の思い出」は当時ロシアの偉大なピアニストであったニコライ・ルビンシュテインの死を悼んで作曲された。今日では高い人気を誇るチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」がルビンシュテインから酷評を浴びたエピソードは余りにも有名である。
この曲は悲劇的雰囲気の曲であるが,憂愁をたたえながらも堂々としたスケールの大きい作品である。親しみのあるメロディが聴く者の心に深く染み込むように響く。この曲で全体的にピアノが活躍する場面が多い。日本の音楽界で活躍する二人に交じってパリ音楽院で研鑚を積んだ高が堂々と渡り合った。
50分近い長大な曲は深い悲しみに沈みながら葬送行進曲のリズムで静かに閉じられる。時間の長さを感じないうちに曲が終ってブラボーの声が会場を包んだ。熱演で時計の針は9時を過ぎていた。

進行役は最後まで金子が担当した。トリオのアンコール曲はチャイコフスキーの「悲愴」に因んだ「タンゴ」。
デュオのアンコール曲は「ヘンデル:パッサカリア」。
このアンコール曲は素晴らしく、聴衆の大喝采を受けた。ブラボーの掛け声に応えて、金子のピアノと三上のヴァイオリンで曲が奏でられると、いつの間にか「津軽海峡冬景色」の調べ、途中からピアニストの高が金子を押しのけて「モンティ:チャールダ―シュ」、チェロに戻ったはずの金子から生み出される音は口笛に変わっていて、会場から笑いが出て拍手喝采! 最後は会場も楽しい雰囲気に包まれて9時20分過ぎに終了。


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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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