市川海老蔵特別公演 源氏物語 (邦楽と洋楽のコラボレーションの舞台劇)

コンサート鑑賞がしばらく無かったので、先日のブログの話題は本年度のアカデミー賞候補の映画にしてみた。当日のクラシックの記事ランキング部門で第1位に載っていてビックリ仰天。音楽記事ではないから該当しないと思っていた。私のブログは固定した購読者が殆どいないはずなので基準が判らない。ブログ全体のランキングがあるのは判っていたが、各記事にランキングがあるのは1ヶ月ほど前に気付いたばかりである。
以前は全然気にしていなかったが、気付くと正直言って全く気にならないわけではない。

私の妻は市川海老蔵フアンで彼のブログを毎日読んでいるようである。本日の公演も彼女を通して何ヶ月も前からチケットを手に入れていた。

市川海老蔵は今や歌舞伎界の中心人物であるが、まだ彼の歌舞伎の実演は観たことが無い。2003年NHK大河ドラマ「武蔵」での宮本武蔵役は彼が25歳ごろの作品。この頃、11代目市川海老蔵襲名披露フランス公演があったと思う。07年パリ・オペラ座で父の団十郎と共に行った初の歌舞伎公演は話題を呼んだ。
映画では11年「一命」、13年「利休にたずねよ」で主演。2014年の日本アカデミー賞では利休の演技で優秀主演男優賞を獲得。ドラマや映画界での活躍も目覚ましい。
シネマ歌舞伎では12年1月と2月に泉鏡花の戯曲による「天主物語」と「海神別荘」を坂東玉三郎と共演。凛々しい演技を披露した。「海神別荘」は今秋再上映される予定という。

紫式部の「源氏物語」は原文、口語訳は良く知られているが、全物語を読破するのは大変である。私自身はそれほどの興味・関心は無かったので全ての物語を詳細に知っているわけではない。
但し、昔から何度も映画化されたりして何回か観たことがある。02年「千年の恋 ひかる源氏物語(出演:吉永小百合、天海祐希)、つい最近では11年「源氏物語 千年の謎」(出演:生田斗馬、中谷美紀、東山紀之)が記憶に新しい。

海老蔵は2000年、歌舞伎座で「源氏物語」の光君を演じている。

14年4月、海老蔵は日本の伝統芸能の歌舞伎、能をオペラと融合させた幻想的な舞台を「源氏物語」という日本の代表的な作品を通して創作した公演を京都南座で成功させた。
この公演が大評判となって今年の全国公演に繋がったようである。

札幌公演は2015年3月25日(水) 昼夜2公演。夜の部を鑑賞。於:ニトリ文化ホール。

紫式部の全54巻に亘る物語は余りにも長大なので物語の一部を切り取って上演されるのが常である。
最初の舞台は石山寺の一室で作者である紫式部の登場で始まる。(*この場面は25年ほど前に修学旅行の引率の折に訪れたことがあり、歴史的に由緒ある場所である。)彼女の語りでストーリーが始まる。全2幕。
 
第1幕 冬の巻 雪の石山寺、     春の巻 宮中桜の巻
第2幕 夏の巻 夕顔の咲く頃     秋の巻 光と影の間

今回の舞台劇は海老蔵の新企画で歌舞伎を広める諸活動の一環で若者にも広く歌舞伎に親しんでもらうための新しい試み。日本の古典芸能である《歌舞伎・能》と西欧の《オペラ》をコラボレーションするという大胆な企画。

カウンターテナー歌手の歌声が厳かに響き渡って、更に物語が展開する。洋楽器(リコーダー、リュート、ヴィオラ・ダ・ガンバ)と和楽器(三味線、小太鼓)の音色がオーケストラの響きで静かなBMG.。舞台では満開の桜の下で宴が催される中で光源氏は父桐壷帝の妻の藤壺に亡き母の面影を探し求めて女性の間を彷徨う。その後、夕顔と巡り合うが嫉妬に燃える六条御息所(能楽師)の生霊が現れ紅葉の中で夕顔は嬲り殺される。周囲から“光の君”ともてはやされても、常にさびしい孤独感に陥っている光源氏。

六条御息所の恋慕の情と嫉妬の情が能面で対照的に演じられるのも歌舞伎に取り入れた新しい手法で興味津々。

光源氏は“光”ではなく“影”の中に身を置いてしまう。自分の生き方を問う光源氏に紫式部は「自分の信じる道を歩みなさい」と告げる。

衣装が豪華で、舞も美しく、舞台美術も優れていて、能の持つ幽玄さも表現されていた舞台。カウンターテナーやソプラノが原語で歌う歌唱も違和感なく歌舞伎・能の世界に融けこんていたように思えた。

人気の海老蔵の来演で満席の会場には歓迎ムードが漂っていた。闇夜の場面で光の君と夕顔がステージを降りてホールの通路を利用する様には観客も大喜び。歌舞伎だけでは集まらない観客も押し寄せて大人気の催し物となった。緞帳のあるホールで久しぶりの鑑賞だったが、カーテンコールが3回もあった。家路に着く年輩客の満足げな表情と興奮さめやらぬ若者のはしゃぎぶりが対照的であった。

2月28日の名古屋に始まり4月9日東京オーチャードホールの千穐楽まで全国18カ所、25日間、1日2公演を含む全43公演は正に驚異的な公演スケジュール。全国のファンの期待に応えてのスケジュールであると思うが、くれぐれも健康に留意して無事に全公演を終えることを祈りたい。歌舞伎専用の舞台が出来て、安い料金で鑑賞できる日が来ることを期待したい。


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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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