METライブビューイング2014-15 第7作 《ホフマン物語》

オペレッタの創始者ジャック・オッフェンバック(Jacques Offenbach)の残した唯一のオペラ《ホフマン物語》。
彼の有名なオペレッタ《天国と地獄》の上演が北海道二期会30周年記念公演として1994年2月に行われて観た時以来のオッフェンバックの作品鑑賞。
オッフェンバック(1819-80)はドイツ生まれでフランスで活躍した作曲家、チェリスト。(後にフランスに帰化。)《ホフマン物語》は未完成の遺作となったが、ギロー補筆で1881年初演。今日でも上演される機会の多いフランス・オペラ。

舞台は19世紀のドイツ。人々で賑わう酒場で恋人ステラを待つ酔いどれ詩人ホフマンが叶わなかった過去の恋を語り始める。 機械人形と気付かずに恋したオランピア。歌うのを禁止されたのに歌ってしまい亡くなった病弱な歌手アントニア。誘われるままに情熱を捧げた娼婦ジュリエッタ。3つの恋は悪魔の化身である男に操られていた。更にステラとの恋にも暗雲が立ち込めていた。 全3幕。フランス語上演。
 
主演のホフマンは現在オペラ界で人気のイタリア人・テノール歌手、ヴィットリオ・グリゴーロ。自己破滅的な恋愛を通して孤独な男を演じ、高音域から低音域までいろいろな色彩を持った声を操るグリゴーロ。第1幕でオリンピア役のエリン・モーリーが歌う超絶技巧のアリア“生垣に小鳥たちが”のコロラトゥラの歌声はまさに驚異的。第1幕の幻想的な舞台も見もの。第2幕のアントニア役(ステラと二役)のヒブラ・ゲルツマ―ヴァの堂々たる体躯からの歌声は圧倒的で心に響いた。
全3幕に登場して悪魔の化身を演じた名バリトン、トーマス・ハンプソンの存在感がこのオペラを引き締めていた。ハンプソンはPMF2011に出演して「マーラー:亡き子をしのぶ歌」などを歌った。夕やみ迫る芸術の森に響き渡る歌声は脳裏に焼き付いている。(彼はPMF1990にも来日している。) 

第1幕や第3幕には大勢の人々が登場して合唱や踊りに加わり、舞台では小道具にも工夫がなされていた。演出家の話では1920-30年代のカフカの世界を描き、オーストリアの怪しいサーカスを連想させる舞台で幻想的なストーリーが展開された。オペラの終盤で流れる「ホフマンの舟歌」が親しまれているメロディで久し振りに耳にした。
エピローグで「人は恋によって大きくなり、涙によってより大きくなる。」と語られたのが印象に残った。

グリゴーロは4月に来日して、5日と10日にリサイタルを開く予定で、今回の公演の注目度が一層高まっているようである。


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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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