札幌交響楽団第577回定期演奏会(2015年2月)

今シーズン最後の札響定期演奏会。マエストロ尾高忠明が札響音楽監督として最後を飾る定期演奏会でもあった。

~シべリウス生誕150周年記念・シベリウス交響曲シリーズvol.3~

Jean Sibelius(1865-1957)の生誕150年に向けて尾高音楽監督は3年間、3回シリーズでシベリウスの交響曲全7曲の演奏を計画してきた。第1回が2013年で「第1番」と「第3番」、第2回が2014年で「第2番」と「第4番」、最終回がシベリウス生誕150周年に当たる今回の2015年で「第5番~第7番」。
シベリウスの音楽には自然の美しさと厳しい冬の寒さに耐える北海道の大地と共通するものがある。札響はフィンランドの風土が持つ独特な音楽を巧みに表現する力を身に着けてきた。シベリウスの作品は今や札響の得意なレパートリーになっていると評価されている。マエストロ尾高が音楽監督として札響で最後を飾るに相応しいプログラムと言える。

2015年2月14日(土) 14:00開演 札幌コンサートホールKitara大ホール

〈プログラム〉
 交響曲第5番 変ホ長調 作品82
 交響曲第6番 ニ短調 作品104
 交響曲第7番 ハ長調 作品105

1915年は第一次世界大戦の最中であったが、国民的大英雄となっていたシベリウスの生誕50年に当っていたので、フィンランドは大祝賀行事として記念演奏会を企画した。シベリウスは記念祝典に備えて前年から新たな交響曲の構想を練っていた。1915年の彼の誕生日の12月8日の演奏会で「第5番」の初演が行われ、大成功を収めた。彼自身は満足せずに、1916年、1919年と改訂を重ねた。1918年にはフィンランドで内乱が起こり、シベリウスは一時アイノラを離れヘルシンキに避難しなければならなかった。そのような苦難の時期にも拘らず、この「第5番」は明るい響きを持ち、今日演奏される曲になっている。

「第5番」は3楽章形式。第1楽章は2つの楽章が融合した形で牧歌的な冒頭部が後のスケルツォを伴っている。様々な形で繰り返されてクライマックスへ。第2楽章は簡潔であるが力強く繊細で幸せな雰囲気を持つ。第3楽章は金管や木管の新しい主題が加わって、以前の彼のシンフォニーにない田園的雰囲気を持つ独特な作品になっている印象。

シベリウスの交響曲のCDはバルビローリ指揮ハレ管、コリン・ディヴィス指揮ロンドン響の輸入盤、サラステ指揮フィンランド放送響などで聴いてきたが、第2番以外は余り親しむほどでなかった。第4番の他に第6番もCDは持っていないことが判った。コンサートで聴くのも今回が初めてである。

1919年、フィンランド独立後はアイノラでの平和な生活が戻って、シベリウスは新しい交響曲にも取り組み始めた。しかし、経済的理由から、イギリス、スウェーデン、ノルウェーへの演奏旅行をしなければならず、思うように作曲活動は捗らなかった。「第6番」が完成したのは1923年である。

プログラム解説によると「第6番」は第一次大戦後のシベリウスの数少ないオーケストラ作品の代表的傑作のひとつと言う。曲は4楽章構成。演奏頻度は少なく、札響演奏歴も1回のみで定期での演奏は今回が初めて。
清澄な感じで深みがあり、何となく心に染み入る作品。聴き慣れた西欧の交響曲とは違う曲の印象で、後程、CDでも買って聴いてみようと思う。

「第7番」は6番とほぼ並行して書き進められていて、1924年に完成された。3楽章構成の予定が最終的には交響曲の要素を持つ単一楽章になったと言われている。ハ長調の明るい曲だが、調性を自由に変えて展開していく。大変印象的だったのはトロンボーンの活躍。今日の楽器編成はいずれも2管編成であったが、3曲ともトロンボーンが3本で、特に「第7番」では山下友輔トロンボーン首席の朗々とした吹奏が強く印象に残った。

シベリウスは1925年に交響詩「タビオラ」を作曲した後は別荘に引きこもり、外部との交渉を断って作曲活動を実質的に行わなかった。30年以上後の1957年に91歳で生涯を終えた。国家的行事として葬儀が執り行われた。

マエストロ尾高はピアニスト舘野泉の勧めでフィンランドのオーケストラとの共演を始めたと聞いているが、その後、フィンランドでの指揮活動も続いている。シベリウスの別荘「アイノラ」も舘野の案内で訪ねたそうで、今日は作曲家に対する想いを込めての指揮ぶりが印象づけられた。音楽監督として最後のステージとなる今日の演奏は万感胸に迫るものがあったと想像する。
その想いを受け止めてのオーケストラの演奏に聴衆も熱い共感を覚えた。一般的に地味な曲ばかりで定期演奏会ならではのプログラミングだったが、尾高音楽監督の最後のステージということで大ホールに詰めかけた聴衆もマエストロへの感謝の念に溢れていた様子であった。

マエストロ尾高が札響を初めて指揮したのが1971年で、81年~86年は札響正指揮者、98年から札響ミュージック・アドヴァイザー兼常任指揮者、04年から音楽監督を務め、札響シェフとして17年もの長い間札幌交響楽団の発展に尽くしてくれた。2015年3月末で札響音楽監督を退任する。札響音楽ファンの一人として心から感謝したい。
尚、4月からは彼は札響名誉音楽監督に就任する。

近年は札響東京公演が3月に行われているが、今年は2月17日にサントリーホールで今日と同じプログラムの公演が行われる。

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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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