プラハ・フィルハーモニア管弦楽団

2012年3月の日本公演以来、3年ぶりのプラハ・フィルハーモニア(PRAGUE PHILHARMONIA)の札幌公演。
Kitaraがオープンした年にチェコ・フィルがKitaraに来演してから、プラハ放送響、プラハ響、プラハ・フィルなどのチェコのオーケストラが頻繁に札幌公演を実施している。
プラハ・フィルハーモニア管弦楽団の公演を聴くのは2002年、04年、12年に続いて今回が4回目である。前回の公演はホルンのラデク・バボラークと都響の指揮者ヤクブ・フルシャが目当てでチケットを買った。今回はマイスキーとフルシャの組み合わせに注目した。
ブログを書きだして思い出したのだが、年間コンサート・ベストテンを各年度末に自分で選んでいるが、12年はフルシャ、13年はマイスキーの公演を各年度のベストテンの一つに選んでいた。

2015年2月3日(火) 7:00PM開演 札幌コンサートホールKitara大ホール

指揮/ ヤクブ・フルシャ
チェロ/ ミッシャ・マイスキー

ヤクブ・フルシャは1981年チェコ生まれ。プラハ芸術アカデミーでイルジー・ビエロフラーヴェクに指揮を師事。チェコ・フィルの准指揮者(02-03年)、プラハ・フィルハーモニアの客演指揮者(05-08)を経て08年からプラハ・フィルの音楽監督兼首席指揮者に就任して現在に至る。10年にプラハの春音楽祭65周年記念のオープニング公演でスメタナの「我が祖国」を演奏して国際的な注目を浴び評価を高めた。11年のグラモフォン誌で将来の巨匠となる可能性の高い10人の若手指揮者に名を上げられたほどの逸材。その後の活躍も顕著で国際的に活動している。今年の年末にはウィ-ン国立歌劇場デビューも予定されている。現在は東京都交響楽団の首席客演指揮者も務めている。

プラハ・フィルハーモニアはイルジー・ビエロフラーヴェク(*現チェコ・フィル音楽監督)が1994年に若い音楽家を集めて創立したオーケストラ。ビエロフラーヴェクはこの楽団の首席指揮者を06年まで率いて、08年からフルシャが後を継いだ。創立20周年を迎えて楽員の交代が殆ど無くて成長し続けるオーケストラ。

ミッシャ・マイスキーは私の好きなチェリストで、Kitara で聴く機会も多くて98、02、11、13年に続いて5回目。98年5月はマリス・ヤンソンス指揮ピッツバーグ響と協演してシューマンの協奏曲を弾いたのは忘れ難い思い出となっている。(当時、数日違いで公演があったサイモン・ラトル指揮バーミンガム市響のどちらを聴こうか迷ったことも未だ覚えている。今なら両方に出かけたのだが、、、。当時 二人はベルリン・フィルの後継指揮者の候補に挙がっていた。結果的にソリストのイダ・ヘンデルよりマイスキーの方を選んだ。)

〈プログラム〉
 スメタナ:交響詩「モルダウ」 ~「我が祖国」から
 ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 op.104
 ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 「新世界より」 op.95

今更、曲の説明をする必要のない定番ばかり。以前ヴァ―レクやビエロフラーヴェクはチェコ音楽以外の古典派の曲目も演奏していたが、最近は主催者の要望が強いのか殆ど同じような曲が多い。03年のズデニク・マーカル指揮プラハ交響楽団の演奏曲目と今回は全く同じである。(*当時のソリストは長谷川陽子)
ドヴォルザークの交響曲は第8番か第9番に決まっている。集客力を考えてだろうが、何とかならないものかといつも思う。札響定期でエリシュカのお蔭でチェコ音楽を幅広く聴かせてもらっているが、定期とツアーの選曲は違うのは当然だろうが頻繁に来日するオーケストラの公演にはもう少し変化があっても良い。
フルシャも都響とマルティヌーの交響曲第4番に挑戦したそうである。そこまでは行かなくても古い固定観念が無くなれば良いと思うのだが、集客力も大事で実際は難しいことは承知しているつもりである。

半年前からの先行発売で一番安い料金の座席を購入した。冬の北海道は飛行機の欠航によるホテルの余分な宿泊も考慮に入れてか本州よりチケット料金が高い。少々高くても札幌での公演があるのは有り難い。ドヴォルジャークとスメタナのほぼ同じプログラムでも日本では人気度が高い。今日も中島公園駅で地下鉄を降りてKitaraに向かう人の列が延々と続いて客の入りが予想できた。会場は満席状態で1950人以上の大入り。(P席からは客席状況が判リ易い)

プラハの街を流れる河「モルダウ」を愛するプラハの市民だけでなくチェコ国民の象徴ともなっている美しい曲がホールに流れ出すと親近感を覚える。若いオーケストラメンバーの生き生きとした演奏も新鮮で、直ちにコンサートに引き込まれてしまった。

「ドヴォコン」と親しまれている協奏曲はマイスキーが師事した二人の巨匠ロストロポーヴィチとピアティゴルスキーを始めカザルス、デュ・プレ、ヨーヨー・マなどのCDで親しんで、コンサートでも聴く機会が断然多い。意外にもマイスキーによるこの曲の生演奏は初めてになる。
他のチェリストと大きく異なる点は歌謡性のような気がした。ステージではいつもと変わらぬスタイルで音を紡ぐ。チェロの技巧がふんだんに発揮された。木管を中心とした柔らかい音色の旋律が相変わらず美しいのだが、座席の関係で特に金管楽器の反射音が強くて普段の響きとは違う印象を受けた。色々な聴き方が出来るのは望むところでもある。

マイスキーはソリストアンコールに応えて、珍しくオーケストラと共演で余り聞きなれない曲を披露した。
ドボルザーク:チェロと管弦楽のための「静けさ」。(ピアノ二重奏のための「ボヘミアの森より」Op.68の第5番の編曲)

コンサート当日まで何となくワクワク感に欠けていたが、曲の演奏が始まると気分も高揚してきた。いろいろな座席から鑑賞するのが好みでP席も好みだが天井が近い8列より後ろに座席を取ることはめったに無かった。違う響きを感じて、それなりの面白さを味わえた。

後半の「第9番」は何と言ってもドヴォルザークの作品の中で最も親しまれている名曲中の名曲。第1楽章がチェロの序奏で始まり、日本で馴染みの「四七抜きの」5音音階に基づく第1主題が提示される。第2楽章ではイングリッシュ・ホルンが哀愁を帯びた旋律を奏でる。全曲で最も有名な部分でドヴォルジャークの弟子フィッシャーがこの旋律を「家路」と言うタイトルで合唱曲にして有名になった。第3楽章はボヘミアの民族舞曲風のスケルツォ。第4楽章ではこれまでの楽章の主要主題が回想される。(ベートーヴェンの「第九」を想起させる)。ボヘミア的雰囲気のフィナーレ。

ドヴォルザークは僅か3年間のアメリカ滞在中に「新世界より」、《弦楽四重奏曲「アメリカ」》、「チェロ協奏曲」などの名作を作り上げたことは良く知られている。当時のドヴォルザークの充実した作曲活動に想いを寄せる機会にもなった。

オーケストラ楽員の平均年齢に近い指揮者は貫録も十分で楽員を掌握し自信に溢れた指揮ぶりは一層たのもしさを感じさせた。
最後にフルシャは日本語で挨拶し、アンコールの曲名を英語で言った。ほんの少しの言葉でも日本の聴衆への敬意と受け取れた。
アンコール曲は「ドヴルザーク:スラブ舞曲第15番」。
速いテンポの激しい舞曲で熱狂的に踊る民衆の姿を連想した。

今回の日本ツアーが札幌から始まり、幸先の良いスタートを切った。5日から8日まで東京、神奈川、大阪と4公演が続く。予定通り無事にツアーが成功裏に終わることを願う。









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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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