北海道交響楽団 第77回演奏会

北海道交響楽団の定期公演は最近では年3回になっているようである。アマチュアのオーケストラとして興味のある公演が札幌市内でも結構多く行われているが、月平均6・7回はKitaraでの鑑賞で埋まるので他会場での公演に行くのが難しい。北海道交響楽団の定期公演がKitaraで開催される場合は大抵聴いている。道響の定期公演は昨年1月25日の演奏会(第74回)以来、丁度1年ぶりである。今回(第77回)はソリスト出演のプログラムが興味を引いた。

2015年1月25日(日) 19:00開演 札幌コンサートホールKitara 大ホール

指揮/ 川越 守(北海道交響楽団音楽監督)
ヴァイオリン独奏/  鎌田 泉(紀尾井シンフォニエッタ東京)
チェロ独奏/ 石川 祐支(札幌交響楽団首席チェロ奏者)

〈プログラム〉
 ウェーベルン:パッサカリア 作品1
 ブラームス:ヴァイオリン、チェロのための二重協奏曲 イ短調 作品102
 ムソルグスキー(ラヴェル編曲):組曲「展覧会の絵」

ウェーベルン(1883-1945)はシェ―ンベルクやベルクと並ぶ新ウィ-ン楽派のオーストリアの作曲家。シェ-ンベルクに師事(1904-08)して「パッサカリア」の作曲により独立。十二音技法による音楽のことは詳しくは知らないが、この曲も一度聴いてその良さが解る曲ではないように思えた。
彼らの音楽は理解が難しいという先入観を持っていたが意外なことが過去にあった。今は解散してしまった東京クヮルテットがPMF2012の「東京クヮルテット演奏会」のアンコール曲に〈ウェーベルン:弦楽四重奏のための緩徐楽章〉を演奏した。その曲が美しい旋律に満ちた音楽で大変感動した記憶は忘れられない思い出となっている。

ブラームス(1833-97)は四半世紀前から好きな作曲家のひとりになって4つの交響曲や2つのピアノ協奏曲、名高いヴァイオリン協奏曲やハンガリー舞曲などはお気に入りで家で聴く機会も断然多い。変な話だが、音楽の教科書に載っていた顔が厳つくて何となく親しみが持てない感じがしていたのかも知れない。
本日の演奏曲は所有のCDが探しても見つからなかったが、前日になって指揮者別の棚に曲があるのが判った。オーマンディ指揮フィラデルフィア管の演奏(*ソリストはハイフェッツとホイエルマン)で1939年音源によるCDで音は良くなかったが曲が聴き慣れたメロディだった。演奏会で耳にした記憶もないし、家でも何回も聴いた覚えもなく、数回聴いた程度のメロディとも思えない気に入った曲に自分でも驚いた次第である。
そんな訳で、今日の演奏への期待が一層高まった。この曲は4つの交響曲を書き終えた後の1897年に書かれ管弦楽曲、協奏曲としてもブラームスの最後の曲になる。

管弦楽による力強い第1主題、独奏チェロがテーマをカデンツァ風に奏でると、独奏ヴァイオリンが追うように寄り添って奏でる感じで、その調べが美しい。オーケストラの全合奏も華やかで第1楽章(アレグロ)が全曲の半分ほどを占める。第2楽章はアンダンテで管楽器の色彩感が目立った。第3楽章は独奏チェロの愛らしい主題で始まり、独奏ヴァイオリンの寄り添うような演奏が曲を引き立て、テンポの変化で管弦楽に力強さが加わる。独奏楽器の第2主題の提示の後、全合奏で華やかなコーダ。
演奏終了後、ソリストも満足げな様子。初めて聴く曲の聴衆が多かったと思うが、いつも素晴らしい音を響かせてくれる石川祐支の魅力的な演奏には感服。鎌田泉も室内楽で昨年9月トリオ・レイラのコンサートをルーテル・ホールで聴いた。実力のあるヴァイオリニストとして知られ、日本フィルの客演コンマスを務め、3月には米国のオーケストラのコンマスとして出演する予定もある。

後半の「展覧会の絵」は最近、ピアノ曲、管弦楽曲としての演奏機会も多く、ブログにも書いているので曲の内容は省略する。
ラヴェル(1875-1937)はウェーベルンとほぼ同時代でも、現代音楽作曲家とは異なる。フランスの作曲家で魅力的な管弦楽曲をたくさん作曲した。ムソルグスキー(1839-81)のピアノ曲はラヴェルが管弦楽曲に編曲してから有名になった。
管楽器の活躍が多い曲なのでアマチュアの演奏としては管楽器の演奏が上手でないと欠点が目立ちがちである。ポピュラーな曲だが、プロの演奏に慣れた聴衆を惹きつけるのは相当な練習と実力を身に着けていなければならないと思う。

今日の演奏は素人の耳には完璧に近い演奏に思えた。トランペットを始め、トロンボーンなどの金管楽器、木管楽器や打楽器の見事な演奏が際立っていた。弦楽器とも調和して素晴らしい演奏となった。ラヴェル独特のファンタスティックな音の世界へ聴衆を誘い込んだ。

「古城」でアルトサックスがロマンチックなソロを演奏したが、演奏中にサックス奏者の姿を見れなかったのが残念だった。(後でホルン奏者の横にいたのに気付いた。) サキソフォンはプロでは使っていないので、アマチュアならではの楽器使用かな(?)と思ったのだが知識不足かも知れない。今度、プロのオーケストラで意識して観察してみたい。
(第74回演奏会の「R.シュトラウス:家庭交響曲」でサキソフォンが4本使われていたと思う。吹奏楽やジャズで使われる楽器がオーケストラで使われるのを今まで意識して見たことが無い。)

指揮者の川越先生は北大交響楽団の指導を始めてから50余年、北海道交響楽団の指導も35年にもなる。長年の熱心な
指導と指揮活動の姿を拝見できるのも嬉しいことである。彼の入退場時のペンギン・ウォークも微笑ましい。淡々とした指揮ぶりで楽団員を掌握し、演奏後には独特のお話しをしてくれるのも興味深い。今回はウェーベルンとラヴェル、ドビュッシーの違い、ラヴェルとドビュッシーの違いなどの言及も面白かった。

アンコール曲は{ラヴェル:バレエ《マ・メール・ロワ》より「終曲 妖精の園」 }

※演奏会終了後、地下鉄駅を通り過ぎて、凄い音響で楽しめるバーに自然と足が向いた。店でブラームスの二重協奏曲の話をしてCDを探してもらった。マスターがブルーノ・ワルター指揮のブラームス特集のCD5枚入りのボックスを持ってきてくれた。そのボックスのCDの中に1959年のモノの録音盤をSONYが2014年に再生した輸入盤があった。早速、大音量で聴いてみたが、チェロ、ヴァイオリン、オーケストラの澄んだ音が見事に再生されていた。50年前のワルター指揮コロンビア響とピエール・フルニエ(チェロ)(*ピアニストの名は忘れた)の演奏を堪能した。
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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