川畠成道ヴァイオリン・リサイタル2015

川畠のヴァイオリン・リサイタルを初めて聴いたのは2001年のことで4回目まで大ホールが会場であった。昨年久しぶりに彼のコンサートを小ホールで聴いてみて、再び小ホールでのリサイタルの良さを味わった。今年はコンサート鑑賞のスケジュールが混んでいて、彼の演奏プログラムの一部しか公表されていなかった上、映画音楽は昨年のコンサートで充分だという気もしたので計画には入れていなかった。(実際はプログラムはすべて純粋なクラシック音楽であった。)
2日前に妻のパソコンにコンサートの主催者からモニター割引のメールが入って、低料金で聴けることになったので私も鑑賞することに決めた。

《川畠成道チャリティプログラム》

川畠 成道 ヴァイオリン・リサイタル

2015年1月16日(金) 開演18:30  札幌コンサートホール Kitara小ホール

〈PROGRAM〉
 ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ長調 作品12-2
 フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
 チャイコフスキー:ワルツ・スケルツォ Op.34
            メロディ「なつかしい土地の思い出」作品42より
 グノー:アヴェ・マリア
 ワックスマン:カルメン幻想曲

ベートーヴェン(1770-1827)の作品12の3曲は1797-98年頃に作曲され、「ヴァイオリンの序奏を伴ったクラヴィ・チェンバロまたはピアノ・フォルテのためのソナタ」と記されているが、それまでのソナタの形を越えたベートーヴェンの独自性のある作品とされている。この3曲ともにサリエリに献呈された。「第2番」は軽快で愛らしい感じの曲。

フランク(1822-90)の偉大な作品は殆ど60歳を越えてから作られた。このヴァイオリン・ソナタは1886年の時の作品。4つの楽章から成るが、各楽章の主題が関連して全体が統一されている。第1楽章では自然の豊かさが描写され、第2楽章は緊張感に満ちた魅力ある旋律。この楽章の終わり方が力強かったので曲が終了したと思って1階席のあちこちから拍手が続いたのは残念であった。ソナタの多くは3楽章から成るが、プログラムに楽章の構成が書かれていたら勘違いすることは無かったのではと思った。(曲名しか書かれていなかった。プログラム・ノートも無し。)
嵐のあとの静けさで心が安らぐ第3楽章。ピアノとヴァイオリンの掛け合いで極めて印象的な旋律が多い第4楽章。第1~第3楽章までの主題が繰り返され、とても心に響く最終楽章。私はこの楽章が好きである。曲はヴァイオリンの名手、イザイに献呈された。ヴァイオリン曲でも聴く機会の多い名曲である。

チャイコフスキー(1840-93)の「ワルツ・スケルツォ」は題名の通り、ワルツの優雅さとスケルツォの軽快さが一体となった魅力的な小品。「メロディ」はチャイコフスキーがヴァイオリンとピアノのために作曲した唯一の作品《懐かしい土地の思い出》の第3曲。甘美な旋律に溢れていて単独で演奏されることも多い。「懐かしい土地」とは彼が結婚に失敗した後で、療養生活を過ごしたスイスのジュネーヴ湖畔の場所だとされている。

アヴェ・マリアはバッハ、シューベルト、カッチーニなどの作曲家の曲や編曲があるが、グノー(1818-93)の「アヴェ・マリア」。心の奥深くに響く優しい曲。

ワックスマン(1906-67)はドイツ出身で34年にアメリカに渡りハリウッドの映画音楽の作曲家・編曲者として名をはせた。「サンセット大通り」、「陽のあたる場所」でアカデミー音楽賞受賞。「裏窓」、「昼下がりの情事」など50年代の映画音楽が特に有名。
「カルメン幻想曲」は47年の音楽映画「ユーモレスク」のためにワックスマンが作った映画用オリジナル作品。映画ではアイザック・スターンが演奏した。言うまでもないがビゼー(1838-75)のオペラを基にしている。サラサーテにも同名の曲があり、川畠は2001年4月のリサイタルで演奏した。

1階はかなりの客入り。川畠は2001年から国内ツアーを行ないKitaraを毎年のように訪れ、今年が15回目だと言う。イギリスと日本を本拠地として活動している。英国王立音楽院に学び、同音楽院の協奏曲コンクールで第1位を獲得し、「スペシャル・アーティスト・ステータス」を授与されている。04年にはピリス、ハインリヒ・シフと共にチャールズ皇太子主催のリサイタル・シリーズにも招かれた。06年ユベール・スダーン指揮ザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団日本ツアーのソリストを務める(Kitara公演もあった)など、その後の海外オーケストラとの共演も多い。近年はチャリティコンサートを国内外で積極的に展開している。

前半はクラッシクのヴァイオリン曲、後半は有名なヴァイオリンの小品を淡々と一気に弾いた。トークは全曲終了後で演奏に流れがあって聴きごたえがあった感じ。映画音楽が悪いわけではないが、個人的には重みのあるクラシック曲の方が良い。
ピアノ演奏は昨年と同じ大伏啓太(オオブシ ケイタ)。

川畠は“Kitara公演15周年を迎えることに感謝”をしてアンコール曲の1曲目は《マスネ:タイスの瞑想曲》、2曲目は“定番の曲であるが毎回演奏は同じではない”と言って《モンティ:チャールダーシュ》。 最後のアンコール・ピースとして“20周年を目指す旨の心意気”を語って、映画音楽《ディア・ハンター》から「カヴァティーナ」を演奏した。(前回のアンコール曲と同じでCDにも収録されている曲)。
  
川畠のステージへの出入りの様子から見ると視力はかなり回復して10年前まではピアニストや指揮者の腕にすがって出入りしていたことを思うと見違えるようである。演奏自体は変ってきているのだろうが、聴衆の注目度が彼の内面的な音楽に向いていることは間違いないという印象を受けた。





           

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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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