Kitaraのニューイヤー 2015

Kitara New Year Concert 2015
Kitaraのニューイヤーは毎年のように聴いている。外国人指揮者の登場は2012年のウォ-レン・グリーン以来である。今年はウィ-ン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターを務めるライナー・ホーネックが初登場。ヴァイオリンと指揮で心躍るワルツやポルカを含め、古典派からロマン派の名曲をプログラミングしてKitaraの新年を飾った。

2014年1月10日(土) 15:00開演 札幌コンサートホール Kitara大ホール

指揮・ヴァイオリン/ ライナー・ホーネック   
管弦楽/ 札幌交響楽団
 
ライナー・ホーネック(Rainer Honeck)は1961年、オーストリア生まれ。ウィーン国立音楽大学に学ぶ。81年にウィ-ン国立歌劇場管弦楽団入団。84年にウィ-ン・フィルハーモニー管弦楽団入団、92年に同楽団のコンサートマスターに就任し現在に至る。ウィ-ン弦楽ゾリスデンを主宰し、ソロ・室内楽活動でも積極的に活動している。93年、英国の「プロムス」に出演するなど、ソリストとしても国際的に活動。2002年以来、名古屋フィルの首席客演コンサートマスターに就任して“弾き振り”で活躍し、紀尾井シンフォニエッタ、読売日響などでも指揮活動も行っている。兄のマンフレート・ホーネックは指揮者である。

〈PROGRAM〉
 ロッシーニ:歌劇「泥棒かささぎ」序曲
 シューベルト:キプロスの女王ロザムンデより 間奏曲第2番、 バレエ音楽第2番
 ベートーヴェン:ロマンス 第2番 ヘ長調
 ドヴォルジャーク:スラヴ舞曲集 第2集より 第2曲 ホ短調
 ブラームス:ハンガリー舞曲集より 第1曲 ト短調
 ヨハン・シュトラウスⅡ:喜歌劇「ジプシー男爵」序曲、 行進曲「エジプト行進曲」
             ワルツ「レモンの花咲くところ」
             ピッツィカート・ポルカ(ヨーゼフ・シュトラウスとの合作)
 ヨーゼフ・シュトラウス:ポルカ「とんぼ」、 ポルカ「おしゃべりなかわいい口」
             ワルツ「天体の音楽」、 ポルカ「騎手」
 ヨハン・シュトラウスⅡ:ワルツ「美しく青きドナウ」

ロッシーニ(1792-1868)はイタリアの人気のオペラ作曲家。2000年に訪れたミラノ・スカラ座に胸像が飾られていた。「セビリアの理髪師」序曲が最も有名。歌劇「泥棒とかささぎ」はパーティの会場で銀の食器が盗まれ、女中が泥棒の嫌疑をかけられるが、かささぎ{カラス科の鳥}がくわえて逃げたことが判明して、恋仲の女中と貴族の息子が無事に結婚するストーリー。ロッシーニの数ある序曲の中でも最も親しまれている名作のひとつ。行進曲風の序奏で始まり、明るい雰囲気に満ちた華やかな曲。ピッコロが目立った活躍で印象に残った。

シューベルト(1797-1828)のこの曲は知らないと思ったが「間奏曲」はよく耳にするメロディが繰り返して奏でられた。「ロザムンデ」は弦楽四重奏曲で聴いているので、同じ旋律が転用されているのかも知れない。バレエ音楽の曲と共にウイーン風の香りのする優雅な調べ。 オーボエ、フルート、クラリネットの音色が特に美しかった。

ベートーヴェン(1770-1827)は《ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス》を2曲残している。アルテュール・グリュミオー独奏のCDを15年前から数年間は好んで聴いていた曲で、ベートーヴェンの曲としては一貫して美しい詩的リリシズムに満ち溢れている。「第2番 ヘ長調」のヴァイオリン独奏はホーネック。本日のプログラムで見せ場のひとつ。

ブラームス(1833-97)とドヴォルジャーク(1841-1904)の交友関係は以前のブログでも書いたが、《ハンガリー舞曲集》の成功が《スラヴ舞曲集》に繋がった。両舞曲集とも原曲はピアノ連弾用で、後に管弦楽用に編曲された。
スラヴ舞曲2集全16曲のうち、「第2集 第2曲」は曲集中で最も人気のある1曲。ショパンのマズルカによるスタイルで豊かな情感のある美しい舞曲。クライスラーがヴァイオリン独奏曲に編曲したことで演奏される機会も多くて一層人々に親しまれているように思う。
ハンガリー舞曲集は全21曲から成る。「第1番」は神聖なチャールダーシュで哀愁に満ちた旋律が心を打つ。ブラームスの管弦楽編曲は第1、第3、第10の3曲のみ。いろいろな作曲家が管弦楽曲に編曲している。アンコール・ピースとしても名高い。また、いくつかの曲はヴァイオリン曲として聴く機会も多い。

オーケストラの楽器配置に特徴があった。ヴァイオリンの対抗配置で、コントラバスが下手。ホーネックの弾き振りはピアニストの弾き振りと違って身体の動きが自由で指揮もダイナミックに見えて面白かった。名古屋フィルとシューベルト全交響曲シリーズを指揮したり、読響のモーツアルトシリーズにも出演したりして、指揮活動も本格的になって堂に入っている感じであった。

後半は毎年ウィ-ン・フィルニューイヤーコンサートで演奏されるヨハン・シュトラウス一家の音楽。

ワルツ王ヨハン・シュトラウスⅡ(1825-99)はウィンナー・ワルツの全盛期を築きあげ、オペレッタに多くの名作を残した。喜歌劇《ジプシー男爵》は《こうもり》と共に代表的な作品。「序曲」はハンガリー風の雰囲気とウイーンのワルツ、ポルカの楽しい旋律が混ざりあった正月ならではの心が浮き立つ曲。
「エジプト行進曲」は1869年のスエズ運河開通を祝って作られた行進曲。厳かではあるが祝典的な曲。演奏者のコーラスが入って興味深かった。
「レモンの花咲くころ」はイタリアの美しい風景を描いた作品で、題名はゲーテの小説から採った。
「ピッツィカート・ポルカ」は弟のヨーゼフとの合作でピッツィカート奏法で弦楽器だけで演奏されて親しまれている曲。今回は打楽器のかわいい音色が加わって心に残る印象的な調べになった。

ヨーゼフ・シュトラウス(1827-70)はヨハンと2歳下の弟。ヨハンの曲は何十年も前から親しんでいるが、ここ数年前から観るようになったウィ-ンフィルニューイヤーコンサートでは父ヨハンの他にヨーゼフ等の曲が演奏されることが多くなっている感じがする。何百曲もある中から選曲されているので有名な曲以外は覚えていない曲が多い。
ワルツ「天体の音楽」のタイトルは何となく覚えているが、他のポルカの名は記憶にない。ポルカは2拍子の軽快な舞曲。

毎年、コンサートの最後の曲は「美しく青きドナウ」。60年前の最初に買い求めたLPレコードで慣れ親しんだ曲。ウィ-ンの街をゆったりと流れるドナウ川の様子が情景として浮かぶ心温まる美しい曲。個人的にはクラシック音楽で心を癒した学生時代を思い出す原点となる曲。毎年のウィ-ンフィルニューイヤーコンサートのフィナーレを飾る曲となるのはオーストリアの第2の国歌とも呼ばれる曲であることを認識したのは数年前の事であった。(「ウイーンの森の物語」もフィナーレにしても良いと思っていた。)

Kitaraのニューイヤーで8割の客が入ったのは良かったのではないだろうか。1階の客席は満席状態、2階もCB,RB.LB席も結構な客入りであった。ウィ-ン・フィルのコンマスの指揮振りでウィ-ンの香りが存分に漂うコンサートは大変良かった。演奏終了後の拍手喝采で聴衆も充分に楽しんだ様子だった。ホーネック自身も満足したのではないだろうか。

アンコール曲は「ヨハン・シュトラウスⅠ:ラデッキー行進曲」。聴衆の拍手と共に曲が演奏されたのは言うまでもない。

ここ数日間の吹雪で交通機関も乱れ、今日のコンサートのチケットを購入した人でも会場に来れなかった人もいたであろう。ともかく無事に終了して何よりであった。

*ライナー・ホーネックは1997年10月10日にKitaraで行われた「ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団演奏会」のプログラムに4人のコンマスの一人として名前が載っていた。この時に出演していたかどうかは判らない。他のコンマスは1991年以降毎年のように来札している。会場で手渡されたチラシによると、ホーネックも札幌駅前に誕生する室内楽ホールのオープニングフェスティバルの杮落とし記念コンサート(7月5日)に出演が決まっている。このコンサート情報によると7月5日から7月31日まで25のコンサートが開催される。PMFと開催時期が重なるが楽しみが増える。ライナー・ホーネックが毎年来札する可能性が高まるような気がする。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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