札響の第9 (2014)

札響名曲コンサート  札響の第9

近年、《札響の第9》は12月初旬か中旬に行われていたが、以前は1年の最後を飾るコンサートとして25日と30日の間の文字通り年末に開催されていたと記憶している。昨年は外国のオーケストラが年末に公演した。個人的には「第九」は年末に聴いて年を過ごしたいという感覚になっている。そういう意味で今年は正常に戻ったように感じがする。
いずれにしても日本で「第九」は12月に演奏される機会が最も多い。
昨年12月のブログでも書いたが、2014年の「第九」演奏状況が月刊音楽誌〈ぶらあぼ〉に載っていた。12月分のみの同誌による集計結果は次の通りである。
★演奏回数
  全国185/ 東京・関東101/ 近畿40/ 北海道・東北10/中部18/ 中国・四国5/九州・沖縄11
★オーケストラ
  日本フィル 9回、 読響・東響 各8回、 東京フィル・大阪フィル 各7回、
  京響・群響 各6回、 N響・関西フィル・九響 各5回
※佐渡裕(指揮)Xケルン放送交響楽団による「第九」演奏会が11日から18日までの8日間にわたって東京・川崎のホールで合計7回開催された。

2014年12月27日(土) 14:00開演 札幌コンサートホール Kitara大ホール

指揮/ 尾高忠明   管弦楽/ 札幌交響楽団
独唱/ 横山恵子(S)、金子美香(Ms)、鈴木准(T)、吉川健一(Br)
合唱指揮/ 長内勲   合唱/ 札響合唱団、札幌アカデミー合唱団、札幌放送合唱団

ベートーヴェン: 交響曲第9番 二短調 op.125 「合唱付き」

前回のコンサート鑑賞から間が空いて、ここ数日は手持ちの「第九」のCD(フルトベングラー指揮ベルリン・フィル、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管、朝比奈隆指揮新日本フィル、クリュイタンス指揮ベルリン・フィル、オスモ・ヴァンスカ指揮PMFオーケストラ2014)をバックグラウンドミュジックのように流して年末気分に浸っていた。

地下鉄を降りて戸外に出ると中島公園内は朝までに降った雪も綺麗に除雪されていた。Kitaraへと向かう人の群れが列をなしていた。ホアイエも賑わっていて、大ホールにも既に多くの人が客席に着いていた。コンサートが始まるまでには殆どの客席が埋まって9割5分以上の客の入り。尾高忠明音楽監督として最後の第9とあって聴衆の期待度も高かった。

今回はいつもと違った観点から鑑賞しようとして、3階のRC2列の一番前の座席を購入した。ステージ全体が視野に入って、演奏者の姿がしっかり見えて演奏の様子が目に入る座席にした。3階から見るステージ上に整列した合唱団とオーケストラ楽団員の姿は壮観。札響の演奏もいつも通りの熱演。約150名から成る合唱団は迫力があって力が出せた印象を受けた。ソリストは二期会会員のヴェテランや中堅の歌手であったが、一斉に歌唱する場合に声がオーケストラと合唱にかき消されたように思った。これは3階の座席の所為だったのだろう。オーケストラの各奏者の演奏の姿が良く見えて、1階席では味わえない満足度があった。
全体的には演奏者との密着度が足りなくて緊迫感に欠けるのがマイナスだった。それと独唱がバリトンはともかく全般的に1階正面の方が聴きやすいように思う。昨年の〈尾高&札響の第9〉や昨年年末の〈キエフ国立フィルの第九〉より満足度は高くなかった。これはあくまでも私個人の感想である。
各個人の鑑賞の仕方によって感想が違うのが当たり前であるが、演奏終了後の拍手喝采や歓声はいつものように盛大で大部分の聴衆は大いに満足したようであった。私自身、別に不満があったわけではない。鑑賞の観点が客観性に欠けていたのだろうと思う。CDを聴き過ぎたために新鮮さを感じ取れなくて集中度に欠けていたのかも知れない。
 
〈札響の第9〉は明日も開かれる。プログラムに尾高忠明指揮札幌交響楽団 第9演奏会のこれまでの記録が載っていていた。81年から延べ回数22回。04年の音楽監督就任以来はほぼ1年おきに演奏してきた。最終回の演奏はマエストロにとっても感慨深いものになるだろう。

※2014年に札幌コンサートホールでは「第九」は4回演奏されたが、音楽の友コンサート・ガイド調べで統計が出ていたので参考までに書いておく。
★今年最も《第九》が演奏されたホール
  ①サントリーホール(15) ②東京芸術劇場(8) ③ザ・シンフォニーホール(7)、横浜みなとみらいホール(7)、⑤フェスティバルホール(6)
★今年最も《第九》を振った指揮者
  ①佐渡裕(10) ②秋山和義(7)、大友直人(7)、小林研一郎(7)、レオポルト・ハ‐ガ‐(7)
★今年最も《第九》を歌ったソリスト
  ①西村悟(12) ②錦織健(11)
テノール歌手の西村は佐渡裕&ケルン放送響演奏会でソリストを7回務めた。錦織はリサイタルの時に今でも若い人に交じって「第九」のソリストに出演することが多いと述べていた。

※CDが市場に登場したのが1982年と言われる。CDの登場で長い交響曲を聴けるようになった。CDの基本的収録時間は74分。当時、フィリップス社が60分、ソニーが74分と収録時間を主張して、ソニーの大賀社長と親交のあったカラヤンの助言があって、「第九」が一枚に収まる長さにするには74分の方が良いと決まったようである。どの指揮者の演奏でも第九は一枚のCDで聴ける。マーラーの曲でさえ一枚で聴けるものが多い。CDの普及にあたってこんなエピソードが《音楽の友12月号》に載っていた。

[追記]大晦日の晩にEテレの番組で「N響の第9」を観て気付いた。第3楽章で4番ホルン奏者が活躍していた。ベートーヴェンの交響曲では珍しいトロンボーン、ピッコロ、コントラファゴットも使われていた。第4楽章は合唱に気を取られてしまうがシンバル、大太鼓、トライアングルが使われているのも注目に値する。これらの楽器を使うことで新しい音楽を作り出したベートーヴェンの意図が読み取れる。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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