Kitaraのクリスマス 2014

2014年のKitaraのクリスマスはマエストロ広上&ジョン・健・ヌッツオ&札響によるコンサート。
指揮者として人気のある広上淳一は3年連続のクリスマス公演出演。

ジョン・健・ヌッツオ(John Ken Nuzzo)は1966年東京都生まれのアメリカ人。85年、アリタリア国際声楽コンクール第2位。南カリフォルニア・チャップマン大学在学中からソリストとして海外ツアーに参加。92年のツアー中にローマ法皇のリクエストにより《愛の妙薬》より「人知れぬ涙」を歌って賞賛されたエピソードを持つ。97年、第9回日本声楽コンクール第1位。2000年、ウィ-ン国立歌劇場と専属契約を結ぶ。ウィ-ンでのテノール歌手の活動が日本のテレビで放映され注目を浴びる。02年、NHK紅白歌合戦出場。03年、メトロポリタン歌劇場でデビュー。レヴァィン指揮ミュンヘン・フィルと共演し、ザルツブルグ音楽祭に出演するなど海外で活躍。今年は日本で地道なオペラ活動を展開。
Kitaraには06年のジルベスタ―コンサートに出演、11年9月に大ホールでテノール・リサイタルを開いた。「カッチーニ:アヴェ・マリア」、「ヘンデル:オンブラ・マイ・フ」、「ヴェルディ:女心の歌」、「プッチーニ:星は光りぬ」や「オー・ソレ・ミオ」、「帰れソレントへ」、「カタリ、カタリ」等のカンツォーネを歌った。

2014年12月23日(火・祝) 15:00開演 札幌コンサートホール Kitara 大ホール

〈PROGRAM〉
 ビゼー:アルルの女 作品23 第1組曲より 第1曲 前奏曲 第2曲 メヌエット
 モーツァルト:歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」より “恋人のやさしい息吹は”
 ビゼー:アルルの女 作品23 第1組曲より 第3曲 アダ―ジェット 第4曲 カリヨン
 ヴェルディ:「レクイエム」より “我は嘆く” 
 ビゼー:アルルの女 作品23 第2組曲より 第3曲 メヌエット
 ヴェルディ:歌劇「リゴレット」より 女心の歌 “風の中の羽根のように”
 ビゼー:アルルの女 作品23 第2組曲より 第4曲 ファランドール
 プッチーニ:交響的奇想曲
         歌劇「トスカ」より “妙なる調和”
 レオンカヴァッロ:歌劇「道化師」より 間奏曲
 プッチーニ:歌劇「トスカ」より “星は光りぬ”
         歌劇「マノン・レスコー」より 間奏曲
         歌劇「トゥーランドット」より “誰も寝てはならぬ”
 アンダーソン:そりすべり
          クリスマス・フェスティバル

オーケストラ曲と有名なアリアを交互に組み合わせたプログラミングがとてもユニーク。

ビゼー(1838-75)はフランスの作曲家。ドーデの小編「アルルの女」が戯曲化され、ビゼーはその上演に際して劇音楽の作曲を委嘱された。平和な農村に住む若者がアルルの町へ遊びに行き、アルルの女を知ったために自らの命を絶つと言う悲劇。背景が南フランスの牧歌的な田園だけに、悲劇が衝撃的である。ビゼーは20数曲の劇音楽を1872年に作曲。
 
第1組曲の前奏曲はプロヴァンス地方の民謡に基づく変奏曲。行進曲風で良く耳にする調べ。メヌエットは祭りの日に奏される素朴で明るい旋律。「短いアダージョ」の意味のアダ―ジェットの弦楽合奏の哀愁を帯びたテーマが印象的。カリヨンは祭りの日の幕開けに奏される鐘の音を模倣した明るい陽気な音楽。
第2組曲はビゼーの没後、生涯の友人であったギローが選曲して作られた。第3曲のメヌエットはビゼーの歌劇〈美しいパースの娘〉の第3幕から採られている。フルートがハープの伴奏に乗って美しい旋律を奏でる。ファランドールでは第1組曲の前奏曲の旋律に始まって、劇の終盤で村人たちが舞曲を踊っている最中に傷心の若者が投身自殺を図るフィナーレ。ファランドールはプロヴァンス地方に伝わる古い舞曲で木管が情熱的なメロディを奏で、打楽器がリズムを刻んでクライマックスへ。先月の西本智実&ロイヤル・チェンバーオーケストラがアンコール曲に演奏したばかりの有名な曲。

ジョン・健・ヌッツオは前半に3曲。モーツァルトとヴェルディの曲は聴いたことはあるが、親しめる曲にはなっていない。歌劇《リゴレット》はオペラを見た他に、「女心の歌」は昔から馴染みの曲でドミンゴの歌をCDでも聴いている。人気曲とあって会場を埋めた聴衆から一段と大きな拍手があって気分が高揚した。オーケストラをバックに歌うヌッツオの歌声はやはり迫力十分!

後半はプッチーニ(1858-1924)を中心にしたプログラム。彼が音楽院の卒業作品として書いたという「交響的奇想曲」。彼の曲はオペラ曲しか持っていないと思っていたら、「交響的前奏曲」などオーケストラ音楽のCDを輸入盤で持っていた。
今日の演奏を聴いていて聴いたことのある曲と思って帰宅して気付いた次第。12分ほどの曲でなかなか良い曲。明日にでも聴き直してみようと思う。
歌劇《トスカ》は実演でもMETビューイングでも鑑賞した有名なオペラ。マリア・カラスが歌う《歌劇「トスカ」全曲》のCDをKitaraからもらって(*年4回の高額の特別チケットの購入に付いていた特典)所有している。このCDでカラヴァドッシ役がジュゼッペ・ディ・ステファーノで1970年に旭川で彼の歌声を直に聴いた。(ヴァイオリニストとして有名だった佐藤陽子が彼に認められて歌手として出演したデュオ・コンサート。) 
歌劇「トスカ」より2曲が歌われた。2曲ともに有名であるが、特に“星は光りぬ”はカラヴァドッシが処刑を前にトスカとの思い出にふけり別れを歌う美しいアリア。実演の場面を思い浮かべながら、ヌッツオの美しい伸びやかな歌声を聴いた。馴染みの曲をオーケストラをバックに歌う迫力は凄かった。歌い終わると聴衆からブラボーの掛け声と大歓声が沸き起こった。本日一番の盛り上がり。さすがウィ-ン国立歌劇場やメトロポリタン歌劇場で歌った実績のある歌手の歌声が実感できた。3年前に聴いたリサイタルより、オーケストラ伴奏で聴くと迫力が断然違う。
最後の6曲目に歌った「誰も寝てはならぬ」も素晴らしかった。“Vincero”(わたしは勝つのだ)と歌い上げたヌッツオの満足そうな表情も何よりだった。この曲は日本人にすっかり定着したようである。聴衆からの拍手、大喝采で彼の疲れも吹き飛んだのではないだろうか。

広上の指揮ぶりは2階RB席の一番前の2列目から見たせいか腕の振りが大きく見えた。曲目のせいもあって一層大きく腕を振ってダイナミックな指揮になっていた。オペラでの豊富な経験が表情豊かな指揮に繋がっているように思えた。

オーケストラのアンコール曲はNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」より「菅野祐悟:天才官兵衛」。ソリストのアンコール曲は“Silent Night”(1番だけで2番が日本語で聴衆全員で歌ったが、折角の機会だったので2番や3番を英語で歌ってもらった方が良かった。)最後に聴衆が「きよしこの夜」を日本語で歌って終演。(これは慣習となっていて良かったと思う。)

1階の13列にかなりの空席があって勿体ないと思ったがS席、A席は売り切れでB席だけ当日券が売り出されたという9割以上の客席が埋まった状況。3階の客席がほぼ埋まるのは最近のクラシックのコンサートでは珍しい。祭日で3時開演は時間的に好都合だったと思う。3世代の家族連れの姿も目にするコンサートも珍しい。クリスマスコンサートならではの光景。昨年は5時開演で客の入りが悪かったことを考えての配慮だったのなら好ましい。いずれにしても、今日は楽しいコンサートになった。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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