及川浩治ピアノ・リサイタル ショパンの旅 2014~2015

「及川浩治 ショパンの旅」は1999年、ショパン没後150年のメモリアル・イアーに始まった。この企画は長野県松本市でスタートして話題を集め、「国内の旅」が始まったようである。札幌コンサートホールKitara小ホールでのリサイタルは語りを入れながら繰り広げられたが、そのコンサートの模様は鮮烈な印象となって今でも眼前に浮かぶ。翌年、その時と同じプログラムの演奏が大阪ザ・シンフォニーホールでライヴ録音された。そのCDを聴く機会があることも印象の強さとなっている。
2006年の「新・ショパンの旅」、ショパン生誕200周年の「ショパンの旅2010」に次ぐ4年ぶりの4回目のオール・ショパン・リサイタルである。

及川浩治はPMF1998以来、毎年のように来札しているが、彼のコンサートを聴くのは今回が14回目である。

2014年12月19日(金) 7:00PM開演 札幌コンサートホール Kitara大ホール

ショパンの旅 2014~2015

〈オール・ショパン・プログラム〉
 ノクターン 第1番 変ロ短調 op.9-1
 ノクターン 第2番 変ホ長調 op.9-2
 ノクターン 第3番 ロ長調 op.9-3
 ポロネーズ 第5番 嬰へ短調 op.44
 幻想曲 ヘ短調 op.49
 ポロネーズ 第6番 「英雄」 変イ長調 op.53
 ノクターン 第14番 嬰へ短調 op.48-2
 舟歌 嬰へ長調 op.60
 ノクターン 第15番 ヘ短調 op.55-1
 ポロネーズ 第7番 「幻想」 変イ長調 op.61
 アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 op.22

今回の「ショパンの旅」に際して、及川浩治は下記のようにメッセージを書いている。
[ショパンの「ピアノの詩人」というイメージではなく、彼の真の人間像を表現できたらと思います。ショパンの音楽の奥底にある『魂の叫び』のようなものを感じて頂けましたら幸いです。]

今回のプログラムはショパン(1810-49)芸術の円熟期である1841年~1846年の作品を中心に選曲された。        

最初の曲は1830年から32年にかけて書かれたノクターン。作品9は3曲からなり、アイルランドの作曲家・ピアニストのジョン・フィールドの影響を受けて、ショパンは甘美なサロン風の夜想曲を作曲した。

ポロネーズはマズルカとともにポーランドの民族的な舞曲。生前に発表され番号が付いていたのは第1番~第7番。死後、番号が付けられた第8番~第16番のCDを4年ほど前に手に入れた。ショパンが一番最初に作曲して、出版されたのが7歳の時の「ポロネーズ ト短調」(第11番)と言われている。タイトルが付いているのが第3番「軍隊」と「第6番」、「第7番」。「第5番」は1841年の作品。
 
幻想曲と名付けられた作品はバッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、ブラームスなど多くの作曲家が書いている。ショパンの「幻想曲」は1841年に完成された作品。彼のCDは何十枚も持っているが「幻想曲 ヘ短調」はキーシンのだけ。即興演奏風に自由に書かれているが特徴のようである。曲の初めに日本で流行った「雪の降る街を」のメロディを何時も思い出す。ショパンの「幻想曲」を聴くたびに日本の親しまれた歌曲が浮かんできて不思議な思いがするのである。

前半の最後の曲はショパンのポロネーズのなかで、勇壮で華やかな力強い曲。堂々とした進軍する勇ましい姿を連想させ、「英雄ポロネーズ」として最も親しまれている。前半の締めに相応しい曲。

コンサートが始まって客入りが悪いのが少々気になった。1階、2階の正面の空席が目立った。悪天候が回復したとは言え、15分、30分と遅れて会場入りする姿が目立った。今日は久しぶりでRA席から鑑賞してみた。ホール全体が見渡せてピアニストの演奏だけでなく聴衆全体の様子が把握できる状況でコンサートの雰囲気を味わってみた。市内からだけでなく、遠方から聴きに来ている人も少なからずいる様子。
前半終了時までには1階席もかなり埋まったが、約1300席を売り出したが5割ほどの客の入り。2階正面席が空いていた。
今までA席3000円、B席2500円だったのが、今年はA席3500円、B席2500円となっているのに気付いた。500円値上がりするだけでの客の入りの違いを感じた。
個人的には休憩時間にホアイエに出て1階のオペラ階段を上がったところの天井に下がる雲の造形物を芸術的な観点からゆっくり鑑賞できたのは何よりであった。普段、込み合っている中では静かなホアイエの様子に浸ることはめったに無い。

後半はノクターンの小品で始まった。ショパンは遺作を含めて21曲のノクターンを残した。
1846年に作られたショパン唯一の「舟歌」。舟歌は本来ヴェネツィアのゴンドラの船頭の歌。この作品にはどこか寂しさが漂う。ピアノ演奏には高度なテクニックが必要とされると言われている。

「幻想ポロネーズ」はショパン晩年の傑作のひとつ。ポーランドの舞曲の形式を芸術作品として作り上げ、詩情あふれる独創的な作品で、全体が自由な形式で書かれファンタジーに満ちた曲にもなっている。

プログラム最後の曲は元来、ピアノとオーケストラのために書かれた作品。ポロネーズの部分が1830年から翌年にかけて作られ、1834年に序奏にあたるアンダンテ・スピアナートの部分が完成された。現在はピアノ独奏曲として演奏される機会が圧倒的に多い。「ショパンの旅」の最後を飾るに相応しい曲。

演奏終了前に曲の変わり目に席を立つ人もいたが、多分遠方からの客だろうと思った。私の前で熱心に鑑賞していた若いカップルも途中で退席した。こんな様子にも一度は聴いてみたいと駆け付けた及川ファンの姿を見た感じがした。(私の勝手な推測)。

聴衆は比較的に大人しかったが、演奏者の想いにそって鑑賞して、行儀のよい態度であった。ピアニストは前年のベートーヴェンの取り組みとはがらりと雰囲気を変え、ショパンの「魂の叫び」を伝えようとしていたのだろう。ピアニスト及川よりショパンの心の奥底を表現するのに重点を置いた演奏のように感じた。

アンコール曲は2曲。“ノクターン 遺作”と“雨だれ”と言って、それぞれ演奏。
「ショパン:ノクターン第20番 嬰ハ短調(1830) 遺作」。この作品は十数年前の映画「戦場のピアニスト」の冒頭部分のピアノ曲で忘れ難い。その後、ユンディ・リもアンコール曲にこの曲を弾いた。アンコール・ピースとして演奏される機会が多い名曲。この曲はショパンのノクターンで最も心の奥深くに響く私の大好きな曲。
「ショパン:前奏曲 第15番「雨だれ」 作品28-15」。ショパンの前奏曲のCDもキーシンの録音盤だけ。24曲中で大部分が1・2分程度の短い曲で、5分強の一番長い曲「雨だれ」が最も有名な曲で親しまれている。

*「ショパンの旅」は2015年2月まで続き、東京などでの公演が予定されているようである。





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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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