西本智実 x ロイヤルチェンバーオーケストラ 北海道特別公演

西本智実のコンサートは2003、2004年と2回聴いていたが、それ以来しばらく聴いていなかったので、音楽鑑賞のスケジュールが立て込む中で思い切ってチケットを買い求めた。(発売開始の2ヶ月後の8月には購入していたので6500円の一番安い席でも3階中央の一番前の席であった。)
03年は札響くらぶコンサートでロシア・プログラム。04年は西本智実「革命」ツアー2004withアナスタシア。その後も度々「革命ツアー」があって来札していたようである。

2014年11月19日(水) 19:00開演 札幌コンサートホール Kitara 大ホール

〈Program〉
 チャイコフスキー:弦楽セレナード ハ長調 作品48
 モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番 二長調 『シュトラスブルガー』 K.218 
 モーツァルト:交響曲第40番 ト短調 K.550     

ロイヤルチェンバーオーケストラ(Royal Chamber Orchestra)は1987年に皇太子殿下を楽団長として結成され、後に「サイトウキネンオーケストラ」の若手メンバーなどを集めて、91年に堤俊作が結成。95年に現在名に改称。東京、大阪中心の活動が拡がりも見せ、99年に旭川、札幌公演(ソリストがイェルク・デムス)、2000年に仙台、札幌公演 を行なっている。私は2回とも札幌公演を聴いていたが、15年も前のことはすっかり忘れていた。
05年にはヨーロッパ公演も行い、マイスキー、ブーニン、諏訪内、樫本、中村などとも共演している。13年から音楽監督に西本智実を迎えた。

奥村 愛(Ai Okumura)は1979年、アムステルダム生まれ。父が当時のアムステルダム・コンセルトへボウ管のヴァイオリニストで、7歳までアムステルダムで過ごした。桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコースで学ぶ。 スターン、デュメイ、パールマン、ホーネックからも薫陶を受けた。第68回日本音楽コンクール第2位。 読売日響、日フィル、東京響、仙台フィル、九州響など国内主要オーケストラと共演の他、ビエロフラーヴェク指揮プラハ・フィルとも共演。本名徹次指揮ヴェトナム国立響のヴェトナム・ツアーにソリストとして参加するなど海外のオーケストラとの共演も多い。

ホアイエに入場する際に渡されたチラシは沢山あったが、今日のコンサートのチラシが一番上にあり、今日の演奏曲目のプログラムは配布されなかった。 簡単なプログラムも全く配られないコンサートはKitaraでは極めて珍しい。今迄の経験でどこの主催かが判った。私自身は今日も演奏曲目をCDで聴いてきたので全然困らなかったが、曲名しかないので戸惑っている声が聞こえきた。隣りの座席の女性は第1楽章が終るとチラシをめくってプログラムを探し始めた様子。(1999、2000年はヤナセクラシックコンサートとして開催されたが立派なプログラムが渡されていた。)

第1曲目は西欧のバロック音楽や古典派の音楽を弦楽合奏で表現したチャイコフスキーの傑作。第1楽章はソナチネ形式の小品でロシア風の主題。第2楽章のワルツはウィ-ンやパリ風の優美さ、華やかさにロシア風の雰囲気が漂う。第3楽章のエレジーは哀愁に満ちた緩徐楽章。第4楽章はロシアの主題による終曲。ロシアの民俗舞曲を主題にドラマティックな展開。コーダは第1楽章の序奏が再現されて一気にフィナーレ。
女性の演奏者がオーケストラの8割も占めるのを目にして少々驚いた。昨日の台湾のオーケストラの楽員構成が珍しいと思ったが、日本のオーケストラにもこんな状況が普通になっても不思議ではないのかも知れない。音楽大学の学生の男女比率を見れば考えられることではある。オーケストラが作り出す音楽に変わりがなければ別に問題ではないのだろうが、日本の第一線のオーケストラの現状から男女半々の比率になるまでには時間を要すると思う。

モーツァルトのヴァイオリン協奏曲全曲のうちで第5番「トルコ風」を演奏会で聴く機会が一番多い。「第4番」はしばしば「軍隊的」と呼ばれると言うが、「シュトラスブルガー」という呼称があるのに気付いていなかった。楽器編成はオーボエ2、ホルン2と弦25。
第1楽章で軍隊ラッパを思わせる主題。第2楽章のアンダンテ・カンタービレではオーボエと第1ヴァイオリンが抒情的で美しい旋律を歌う。独奏ヴァイオリンがこの美しいメロディをいろいろ変化させて繰り返し、オーケストラが支える。第3楽章の最後のエピソードがディッタースドルフの「謝肉祭交響曲」の中の「シュトラスブルク舞曲」と呼ばれるミュゼットと類似したアンダンテ・グラツィオーソ。
奥村愛の名前は知っていたが生演奏を聴くのは初めてだったが、カデンツァを見事に披露して、独奏が際立つ演奏を展開した。オイストラフ、クレーメル、ムロ―ヴァ、藤川真弓のCDを何日かかけて聴いたので親しみ易い楽曲となって楽しめた。
普通ならソリストのアンコール曲もあり得たが、前半で20時を過ぎて予定時間が押したのか、聴衆の盛り上がりも今一つだったのか、間髪入れずにアナウンスが入って結局はアンコールなし。

休憩後の「第40番」はモーツァルト後期3大交響曲の1曲。全体に暗い抒情美をたたえながら、情熱的である。先日N響とのリハーサルでブロムシュテットが「モーツァルトの音楽がエモーショナル」と何度も強調していたのが印象的。
交響曲に管楽器全員が加わっての演奏で、楽器編成はフルート1、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン2、弦5部。
モーツァルトの不遇の晩年が描かれているかのようである。モーツァルトには珍しい短調の曲(他に25番があるだけ)。全4楽章のうち3楽章がソナタ形式。
西本は背が高く細身の体を駆使して、長い手を使いながら自由自在に広がりのある指揮ぶり。その美貌と相まって人気の高さを誇る。今日のKitara大ホールの9割ほどの座席を埋めた聴衆の多くは彼女の名で集まったような感じであった。1階、3階は満席。2階のRA、LA席に少し不自然な空席状況が見られて気になった。料金設定でのSS席と席の違いによるものかな(?)と思った。3階席はすべてA席だったと思う。(今回SS席10000円、S席・PS席8500円、A席6500円)。

アンコール曲は「J.S.バッハ:G線上のアリア」。 美しい弦の響きに聴衆もウットリ。 21時終了で時間的には余裕があったはずだが、アンコールは1曲のみ。聴衆へのサービス精神がもっと発揮されても良いのではと思った。

*2000年の入場料はS席4000円、A席3000円であった。学生、60歳以上、障害手帳所有の人は各1000円引き。89年小澤征爾指揮ボストン響の公演がS席18000円、札響の定期会員S席料金が1年11回公演で3万円。時代の違いで一概には言えませんが、今回の演奏会の料金は高いと思いました。3階CC席の1列目はS席になることもある良い席なので、個人的には普段の1階席とは違った面から音楽を鑑賞できて結果的に良かったと思っています。

*北海道特別公演は19日の札幌のほかに、18日函館、20日帯広でも計画されているようである。
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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