札幌交響楽団第574回定期演奏会(2014年11月)

先週の札響名曲シリーズに続いて、ラドミル・エリシュカが札響定期に登場。83歳という高齢を感じさせない指揮ぶりでコンサートを盛り上げた。

2014年11月15日(土) 14:00開演 札幌コンサートホール Kitara大ホール

〈プログラム〉
 ウエーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲
 モーツァルト:交響曲 第38番 二長調 K.504 「プラハ」
 ブラームス:交響曲 第2番 二長調 作品73

この序曲は数ある序曲のなかでも最も有名で、人々に親しまれている。札響の演奏機会も多く、初演が札響発足翌年の1962年、前回の演奏が今年のPMFピクニックコンサートがあった8月3日。今回が80回目という。
札幌芸術の森野外ステージで演奏された開幕早々のオペラ序曲3曲の華々しい音楽は何となく記憶していたが曲目までは覚えていなかった。Kitaraホールで聴くのとでは印象が全然違う。カセットで一時よく聴いたが、CDの録音盤は持っていないので今は家で聴くことはない。
4本のホルンが奏でる主題は有名で、親しまれているメロディ。クラリネットが奏でる主題も美しかった。

ウィ-ンで大当たりだった《フィガロの結婚》がプラハで興行されたのが1786年。「交響曲第38番」は1787年に行われたプラハでの演奏会でモーツァルト自身の指揮によって初演された。
曲はメヌエットなしの3楽章構成。クラリネットなしの特異な楽器編成(*ステージを見て初めて気付いた)。スケールは大きくないがまとまった曲として名高い。曲中、高橋聖純のフルートと金子亜未のオーボエが奏でるパートは実に美しかった。二長調で書かれていて軽やかで明快な曲。第2楽章がト長調。3楽章ともにソナタ形式。繰り返しの転調もあり,劇的な変化もあって交響曲としては短めな曲であったが終始盛り上がりのある演奏を楽しんだ。
後期3大交響曲に比べて演奏機会がそれほど多くない曲だが、エリシュカはコンサートの選曲も上手で、チェコとの繋がりも巧みに演出して見事な演奏を披露してくれると感心するばかりである。
「プラハ」は楽器編成が極めて小さくて、大ホールでの鑑賞では迫力に欠ける面もあるかなと思ったのも正直な感想である。

エリシュカはチェコ音楽だけでなくベートーヴェン、モーツアルト、チャイコフスキー、ブラームスとなんでもこなす指揮者で正に巨匠の名に相応しいとの思いが強まる。

ブラームスはドヴォルジャークとの繋がりがあって、以前のブログにも書いたことがある。
エリシュカは昨年10月の定期でブラームスの交響曲第3番を取り上げた。今回の「第2番」は1877年の作曲で、4ケ月ほどで完成した。第1番が完成に21年も要したと言われているから、湧き出る楽想のままに短期間で作られた曲。
4つの楽章が全て長調で書かれている。牧歌的で色彩感が豊かで、優しさにあふれ幸福感に満ちた作品。当時のブラームスの心のままが作品に表現されたと言われている。ウィ-ン・フィルと初演した指揮者、ハンス・リヒターが呼んだ「ブラームスの田園交響曲」の名にふさわしい曲。
第1楽章の冒頭、チェロとコントラバスの低音域弦楽器の旋律で動機が提示され、交響曲全体の基本モチーフとなっている。第2楽章はアダージョ。(*ブラームスの他の交響曲ではアンダンテ)。低音弦のメロディと木管楽器が奏でるメロディが美しいコントラスト。ホルンの調べが彩りを添えた。第3楽章でのオーボエが奏でるメロディが印象的。第4楽章は生き生きとして陽気で力強いフィナーレ。

札響の弦楽器は定評があるが、管楽器の出来如何が曲に及ぼす影響は大きい。特に金管楽器の演奏は大きい影響を与える。私のような素人では細かいことは判らないが、専門家は評価が厳しいようである。最近の札響の木管のレベルは高く、金管も健闘しているのではないだろうか。

演奏が終わるとブラボーの声があちこちから上がって、拍手喝采。エリシュカとオーケストラ楽員との信頼関係は素晴らしい。エリシュカの楽員に示す感謝の思いは演奏終了後の各奏者への態度が物語っている。各パートの奏者に起立を促して感謝の言葉を述べ、お辞儀までする様子はリハーサル時からのコミュニケーションが読み取れる。最後には各首席、副首席奏者に握手を求めて、コントラバス奏者にまで歩み寄っている。今回は2週連続だったので、お互いに感謝と労をねぎらう想いが強かったのかも知れない。いずれにしても温かい人間性が伝わってくる。エリシュカが人気のある所以である。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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