シュトイデ弦楽四重奏団

〈Kitara弦楽四重奏団シリーズ〉

2014年11月12日(水) 19:00開演 札幌コンサートホール Kitara小ホール

シュトイデ弦楽四重奏団(Steude String Quartet)のKitara初登場。
ウィ-ン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスター、フォルクハルト・シュトイデが同楽団の仲間と2002年に結成したカルテット。

メンバーは第1ヴァイオリン/フォルクハルト・シュトイデ(Volkhard Steude)、第2ヴァイオリン/ホルガー・グロー(Holger Groh)、ヴィオラ/エルマー・ランダラー(Elmar Landerer)、チェロ/ヴォルフガング・ヘルテル(Wolfgang Harter)。彼らは共に70年代生まれ。
シュトイデは1971年、ライプツィヒ生まれ。 ほとんどの楽団員がオーストリア出身のウィ-ン・フィルでは異色の存在。マーラーユース管のコンサートマスターを経て、ウィ-ンの音楽を身に着け、97年にウィ-ン・フィルに入団。99年より同団コンマスに就任。2000年にトヨタ・ミレニアム・コンサートが始まって以来、トヨタ・マスター・プレイヤーズ、ウィ-ンのコンマスを務め、独奏者・室内楽奏者としても頻繁に来日している。私はトヨタ・ミレニアム・コンサート2000以来、02、05、09、10、12、13、14年と最近は連続してトヨタ・プレミアム・コンサート札幌公演を聴いている。
グローは95年よりウィ-ン・フィル補助楽団員として活動して、09年に正式入団。ランデラーは99年にウィーン・フィルに入団。ヘルテルは03年の入団。3人ともトヨタ・マスター・プレイヤーとしての経験が豊富である(特にグローの参加が目立つ)。シュトイデとランダラーは去る4月のトヨタ・マスター・プレヤーズ、ウィ-ンにも参加しているので今年2度目の来札。

このカルテットは06年にはウィ-ン楽友協会で演奏会を行ない、09年からは年4回の定期演奏会を楽友協会で開催している。

〈本日のプログラム〉
 モーツァルト:弦楽四重奏曲 第14番 ト長調 K.387
 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第11番 ヘ短調 「セリオーソ」 作品95
 シューベルト:弦楽四重奏曲 第14番 ニ短調 「死と乙女」 D.810

今年の日本公演は札幌が最初で、大阪・東京・横浜・名古屋など日本ツアー7公演を行う。来年以降の札幌公演の定期化が期待される。

彼らは大ホールには何度も登場しているが、小ホールのステージでの演奏は初めてだと思う。本日は代表的な弦楽四重奏曲のプログラムを披露した。
モーツァルトの弦楽四重奏曲は「第17番 《狩り》」のCDが手元にあるだけで親しんでいない。演奏会で聴くだけで終わっている。モーツァルトの曲はどれも同じような曲に思えて初心者には魅力がなかったのかと思う。今回「ハイドン・セット」という言葉を目にして少々思い出すことがあった程度。第14番~第19番までの6曲がハイドンに献呈されたので、その名が付いたとされる。
モーツァルトの曲の調性は大部分が長調なので基本的に曲は明るく軽快である。この「第14番」も明るい曲調で、伸びやかで躍動感に富む旋律で始まり、従来にない作曲技法が駆使されているとされる。各楽器が均等な役割を果す演奏にも注目して傾聴した。

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は重々しくて鑑賞が難しそうだったが、今では全16曲のCDで演奏会の前後に聴いて親しむようにしている。その所為か親しみのあるメロディが増えてきた。演奏会の曲目になる機会も多くて、真剣に身構えなくても気持ちを楽にして聴けるようになってきた。
情熱的で重々しい第1楽章。落ち着きのある情緒をたたえた第2楽章。舞曲風のリズムを持つスケルツォ的な第3楽章。第4楽章におけるラルゲットの序奏は極めて印象的。軽快な調べと力強い調べが交互に繰り返され、激しいクライマックスへと向かう。
“serioso”は「真面目な」とか「厳粛な」のような意味。第3楽章に「セリオーソ」という指示がある。今日は親しみのある曲として聴けてとても良かった。

Kitara主催の「シュトイデ四重奏団演奏会」はシーズン初めからの案内があって、私自身4月にはチケットを買い求めていた。演奏会当日前にチケットも売り切れて小ホールは満席。客の入りはコンサートの盛り上がりにもそれなりの影響があるように思う。そういう意味でも本日のコンサートの雰囲気は好ましいものであった。

シューベルトが作曲した全15曲の弦楽四重奏曲のうち標題のある「第13番《ロザムンデ》」と「第14番《死と乙女》」だけは20年前からCDを所有して聴く機会は多かった。やはりタイトル付きの有名な作品はCDを購入して親しむきっかけにはなりやすい。
第1楽章は緊張感の高いドラマティックな楽章。第2楽章は歌曲《死と乙女》に基づく主題と変奏。全曲の演奏時間40分のうち前半2楽章で約30分。第3楽章は悲壮感が漂うスケルツォ。トリオで叙情的なメロディも奏でられた。第4楽章はタランテラ風のテーマと勇ましいテーマを中心に力強いフィナーレ。
聴き慣れたメロディが曲のあちこちに流れると心地よい気分になる。どちらかと言えば苦手な弦楽四重奏曲も聴き終わった後で充実感を味わえることが多くなった。

演奏終了後にホールに鳴り響く大拍手の音に聴衆の満足度が伝わった。
アンコール曲は「ドヴォルジャーク:弦楽四重奏曲第12番 《アメリカ》より第1楽章」。
シュトイデが曲名を自ら“アメリカ The first movement”と言って演奏を始めた。この数年間は聴いていなかったメロディが7分ほど流れた。ヴィオラが歌うチェコ民謡風の5音音階(ヨナ抜き)は日本とチェコの音楽の類似性を感じさせた。日本人に親しまれている曲を選曲する点では彼らは日本通の音楽家である。

充実感と満足感をたっぷり味わえたコンサートであった。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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