ユンディ・リ ピアノ・リサイタル2014

2012年9月26日に予定されていた公演が尖閣諸島問題で中止を余儀なくされた。それから待つこと2年。やっと李 雲迪(YUNDI))のコンサートが実現。日本ツアー14公演のうち札幌は13番目の公演。
2001、02、07、08、09、10年に続いて、ユンディ・リのコンサートを聴くのは今回が7回目。今まで6回の公演の前後に5枚のCDを購入した。実質的にすべて輸入盤。①2000年のショパン国際コンクールの際の演奏曲。②Chopin ③CHOPIN, LISZT ④PROKOFIEV, RAVEL ⑤Nocturnes 。

2014年11月11日(火) 7:00PM開演 札幌コンサートホール Kitara大ホール

〈プログラム〉
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 「月光」 Op.27-2
         ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 「悲愴」 Op.13
 ショパン:ノクターン第1番 変ロ短調 Op.9-1 、  第2番 変ホ長調 Op.9-2
 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 「熱情」 Op.57

午後6時半ごろ中島公園駅で地下鉄をおりる若者の姿が際立って多かった。今夜のコンサートがいつもと違う客層になることがこの時点で予想できた。ユンディ・リの人気の高さがうかがえた。
エントランス・ホールも人の賑わいで普段より何となく活気のある雰囲気が漂っていた。ホアイエではプログラムとCDを買い求める人がテーブルを囲んでいた。プログラムの他に12年収録の“BEETHOVEN:DVD付き限定盤のCD”を購入した。一緒に聴きに来た妻も私の所有物と重複しないLISZTのCDを手に入れた。こんなことは極めて稀な出来事である。やはり李雲迪は特別な魅力を持っていることは確かだ。

演奏曲順が予定と変わっていた。前半と後半のプログラムが入れ替わって「熱情」で終わるようになった。多分、この順序の方が良いだろうと思った。
「月光」は繊細で詩的な雰囲気を持ち、幻想的な感じのする曲で特に第2楽章までロマンティックなユンディの世界。第3楽章が情熱的な心の高まりをドラマティックな表現で盛り上げた。
ピアニストの手指の動き、顔の表情が読み取れる1階6列の正面の座席から鑑賞できたので今までにない満足のいく鑑賞が出来た。

「悲愴」は第1楽章が重苦しい序奏で始まり激しい情熱が込められたソナタ形式だったこともあり、楽章が終った途端に曲の終了と勘違いする客がいるのは満席状態の場合に偶々起こることである。ピアニストは拍手を気にせず、得意の甘い悲しみにあふれるカンタービレを美しく奏でた。第3楽章は感傷的な主題のロンド形式。3大ソナタで「悲愴」だけはベートーヴェン自身が付けた副題として知られている。

ショパンは遺作の含めて21曲のノクターンを遺しており、アンコール曲に20番、21番の遺作が演奏されることが多い。「第2番」は美しい旋律を持つ最も有名な曲として親しまれている。

興行的にショパンをプログラムに入れることが幅広い聴衆をコンサートに向かわせる集客力と考えたのではないか。また、ベートーヴェンも前回キャンセルになったプログラムでコンサートを実施することでCDなどの売り上げを目指したと考えられる。(自分自身もベートーヴェンは望んでいたことで異論はない。)

「熱情」はプログラムの最後を飾るに相応しい曲。ベートーヴェン中期のピアノ・ソナタの傑作とされる。第1楽章の緊迫感、第2楽章の心穏やかな祈り、第3楽章の情熱的なドラマティックな展開。当時の楽器の発達によって可能になった画期的な作品と位置づけられている。

ベートーヴェンの3大ソナタで私がCDを通して最初に親しんだのがホロヴィッツ、以後、ゲルバー、バックハウス、ポリーニ、ハイドシェク、グールド、シュナ‐ベル、ブーニンなど手当たり次第で一貫性は無い。今回YUNDIが加わった。実際のコンサートでは日本の代表的な数多くのピアニストが3大ソナタを弾くのを聴いている。

ユンディ・リは繊細で叙情的な演奏で彼自身の特色が出ていた。ドラマティックな演奏の場面もあったとはいえ、全体的には淡々とした詩的な演奏に貫かれていた。聴く方でのショパンの印象が強いのかも知れないが、他の演奏家と少し違ったベートーヴェンの解釈に基づいた演奏のような気がした。それなりに楽しめた。

演奏終了後、ブラボーの声があちこちから上がり一段と拍手も大きく歓声も拡がった。最近では珍しくP席も満席状態で1900名ほどの聴衆が客席を埋めたホールでユンディは1階とP席に向かって何度も丁寧な礼をしていた。(多分、サントリホールでの公演が多くて習慣的な礼の仕方になっているのかも知れない。)

前半40分、休憩20分、後半35分で午後8時40分には演奏が終了した。アンコール曲は中国の音楽が2曲。中国らしい独特のメロディが入った曲。3曲目がリストの「タランテラ」。アンコール曲としては長い9分ほどかかる曲。超絶技巧のリズム感のある曲を披露した。演奏会で聴く機会の多くない珍しい曲で楽しかった。
 * 任光/王建中編:「彩雲追月」、   青海民謡/張朝編:「遥か遠くそのまた彼方」
    リスト:タランテラ(「巡礼の年」第2年補遺「ヴェネツィアとナポリ」より)

演奏会が終ってCDを購入した多くの客が長い列を作る中、サイン会が始まった。係の指示でテーブルに次々と並べられたCDにユンディが機械的に一人2秒もかからないサインを黙々と書いていく姿にビックリ!私は感想を述べてサインを貰うことにしているが、“Thank you very much for your great performance,”と言って通り過ぎた。これに近い状況が以前にあったが、ムターは私の感想に顔を上げて応じてくれた。(サインは判読が難しかったが丁寧であった。)また、庄司紗矢香の雑なサイン会があった。(飛行機の時間を気にしながらのサイン会だったようだが、CD販売による無理な日程のサイン会は行わないほうが良いのではないかと思っている。)ペラィアやアシュケナージの丁寧な心のこもったサイン(*以前ブログに載せた、)や、その際の簡単な会話や握手は偉大な演奏家を身近に感じれてその人間性に接する素晴らしい機会となって、今は懐かしい思い出となっている。)最近、以前より心の通うサイン会が増えているように思う。困難な点はあっても、場合によっては人数制限などの工夫も必要であろう。

ともかくも、待ち望んでいたコンサートが聴けたので、帰りは楽しい気分で家路に着いた。
           

             
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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