札響名曲シリーズ2014-2015 vol.4 ~エリシュカのチェコ名曲アルバム~

森の響フレンドコンサート

札幌交響楽団首席客演指揮者を務めるラドミル・エリシュカは年2回の定期演奏会の他に名曲シリーズでも札響を指揮している。近年、来日の折には国内オーケストラとの共演の機会が増えている。去る10月30日(木)には東京芸術劇場における《世界のマエストロシリーズVol.2》で読売日本交響楽団と共演した。

2014年11月8日(土) 14:00開演 札幌コンサートホール Kitara大ホール

〈プログラム〉
 スメタナ:歌劇「売られた花嫁」序曲
 フィビヒ:詩曲~管弦楽のための牧歌「黄昏」より
 ヤナーチェク:のこぎり~ラシュスコ舞曲集より
 スメタナ:モルダウ(ヴルタヴァ)~連作交響詩「我が祖国」より
 ドヴォルジャーク:スラヴ舞曲集 op.72(全8曲)

ラドミル・エリシュカは昨シーズンの札響名曲シリーズに続いての名曲シリーズ再登場。昨年は「ベートーヴェン:交響曲第6番」と「ドヴォルジャーク:スラヴ舞曲集 op.46」。今回のプログラムは全てチェコ作曲家の作品。

スメタナ(1824-84)はチェコ国民主義音楽の祖と仰がれ、「チェコ近代音楽の父」と称されている。《交響詩「我が祖国」》は毎年〈プラハの春音楽祭〉の開幕日に必ず演奏されるのが恒例となっている。全6曲の交響詩の第2曲「モルダウ」は単独で演奏される機会の多い人気曲。ヴルタヴァはプラハの街を流れる河の名でチェコの自然の象徴。ボヘミアの大地を潤す様子が感動的に描かれている曲。
歌劇「売られた花嫁」はスメタナの作品として有名であるが、タイトルは知っていてもオペラの内容も知らないし、序曲を聴く頻度も高くはない。久し振りに耳にした序曲の聴き慣れたメロディに心も浮き立った。

フィビヒ(1850-1900)の名は初めて聞く。何となくロマンティックな感じのする曲。ヤナーチェク(1854-1928)のこの曲は全く聞いたこともない。未知の作品を紹介されるのもコンサートの楽しみ。親しまれている曲ばかりでは物足りないこともあるので、この2つの小品が演奏されて良かった。
ヤナーチェクはボヘミア出身のスメタナやドヴォルジャークの音楽とは違って、モラヴィアの民族色を反映した曲作りで独自の音楽世界を構築した。エリシュカも札響の演奏会でヤナーチェクの作品を多く取り上げてきた。「のこぎり」は6曲からなる〈ラシュスコ舞曲集〉の終曲。木を切り倒して薪を集めて冬支度を急ぐ農民たちの姿を描いている。3分程度の曲で面白かった。

後半の「スラヴ舞曲集第2集」は昨年の「第1集」全8曲の続編。ブラームスの勧めもあって、ピアノ連弾曲集として作曲した作品を管弦楽曲に編曲した曲集(op.46)が大ヒット。ピアノ連弾の8曲から成る第2集の管弦楽編曲版(op.72)も大ヒット。オーケストラのための編曲版は名作としてして親しまれている。スラヴ音楽ならではの郷土色豊かで、リズム感の溢れた作品になっている。ボヘミアの舞曲が中心の第1集に対し、第2集はポーランド、ウクライナ、クロアチアなど、スラヴの舞曲で構成されている。
第2集の第2曲がマズルカ風の曲で抒情美に満ち、曲集のなかで最も親しまれている曲のひとつ。クライスラーがヴァイオリン曲に編曲していることでも知られる。

エリシュカは完全に札響を掌握してお互いに気持ちが通じあった関係を築き上げている印象。マエストロは聴衆にもチェコの音楽を届ける術を手にしているように見える。指揮者、オーケストラ、聴衆が三位一体となる雰囲気の演奏会を作り上げる技量と人柄にいつも感心する。
演奏終了後に楽員に示す称賛の仕草、親愛の表情は心温まる。9割以上の座席を埋めた聴衆への感謝の念も心がこもっている感じ。来週15日の定期演奏会でも札響を指揮する予定。

アンコール曲は「スーク:弦楽セレナード 変ホ長調 op.6より 第1楽章」。
今日は一日チェコ音楽を満喫した。

*チェコが生んだ最初の世界的指揮者はターリヒ(1883-1961)であるが、アメリカやヨローッパなど世界中で活躍した指揮者はクーべリック(1914-96)だと思う。ノイマン(1920-95)も名高い。マカール(1936- )もチェコ・フィルで活躍した。ヴァ―レク(1936- )、コウト(1937- )も有名。Kitaraにもたびたび登場したビエロフラーヴェク(1946- )が現在のチェコ・フィルの首席指揮者として活躍中。彼の教えを受けたヤクブ・フルシャ(1981- )はプラハ・フィルの音楽監督で来年Kitaraに再登場するが、現在、東京都響の首席客演指揮者も務める。エリシュカ(1931- )はフルシャの指揮者としての道を開いた恩人であるらしい。
上記以外のチェコの指揮者で札響を含めて日本国内のオーケストラと共演した指揮者が目立つ。チェコと日本の音楽には共通点があると聞いているが、チェコのオーケストラの来日公演が多くて、常日頃、チェコ音楽を好む日本人が多いような気がしている。チェコ人も日本のオーケストラや聴衆を高く評価してしている様子がうかがえる。
札幌コンサートホールがオープンした年の1997年11月にヴァ―レク率いるチェコ・フィルが「モルダウ」「新世界より」をKitara で演奏しているのも忘れられない思い出である。
尚、山田和樹が来年1月チェコ・フィルの演奏会に出演予定である。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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