錦織 健 テノール・リサイタル

錦織健コンサート ロック to バロック’98 を旧北海道厚生年金会館で聴いた記憶がある。何となく頭の片隅に残っているだけである。はっきり覚えているのは04年2月のKitaraにおける「錦織健プロデュ―ス オペラ「セビリアの理髪師」のアルマヴィ-ヴァ伯爵役である。錦織は日本オペラ界を代表するテノールとして第一線で華々しく活躍していた。
10年にはリサイタルを聴いた。彼得意のヘンデルのオラトリオ「メサイア」をはじめ、ロッシーニやプッチーニのオペラの有名なアリアを歌った。珍しく日本の歌曲もプログラムに入っていた。トークをはさみながら、ステージを下りて客席を周るサービスをしていた。
今回は12年に続く2年ぶりのリサイタルとなった。

2014年10月10日(金) 7:00開演 札幌コンサートホール Kitara大ホール

〈プログラム〉
 日本古謡「さくらさくら」、 日本古謡・山田耕筰・曲/「箱根八里は」
 石川啄木・詞/越谷達之助・曲:「初恋」
 北原白秋・詞/山田耕筰・曲:「かやの木山の」「この道」「松島音頭」「からたちの花」
 土井晩翠・詞/滝廉太郎・曲:「荒城の月」
 野上彰・詞/小林秀雄・曲:「落葉松」
 岩井俊二・詞/菅野よう子曲:「花は咲く」
 プッチーニ:歌劇《トゥランドット》より「誰も寝てはならぬ」
 ドニゼッティ:歌劇《愛の妙薬》より「人知れぬ涙」
 ティリンディルリ:「おお春よ」、 カッチーニ:「アマリッリ」、 ロッシーニ:「踊り」
 ショパン:「別れの曲」
 サルトリ&クァラントット:「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」
 バーンスタイン:ミュージカル《ウエストサイド物語》より“Maria”
 ロジャース:ミュージカル《回転木馬》より“You'll never walk alone”
 
錦織健(Ken Nishikiori)は1960年、島根県出雲市生まれ。国立音楽大学卒業。文化庁オペラ研修所を経てミラノ、ウイーンで研鑚を積んで帰国後、輝かしい活躍で脚光を浴びテノール歌手として揺るぎない評価を得た。オペラやクラシック・コンサートだけでなく幅広いジャンルにわたる音楽活動に携わっている。

プログラム前半は日本の歌10曲。「さくらさくら」は日本を象徴する名曲がイタリアのカンツォーネ風に歌われたので少々違和感があった。声量を生かして変化に富んだ歌い方にはなっていた。口を大きく開け、高い張りのある声で歌い上げる歌い方は彼独特のものかもしれない。4年前のリサイタルより声量がある印象を受けた。
抒情的な味わいよりドラマティックな要素が強い歌い方で受け取り方が違ってしまった。

ピアノ伴奏は河原忠之。毎回、錦織と共演し、お互いを知り尽くした同士でプログラム曲の編曲も全て担当している様子。ピアニストの他に指揮者としても活動している。

後半のプログラムは洋もの。オペラ曲は2曲だけだったが、“世界3大テノール”と呼ばれたドミンゴ、パヴァロッティ、カレーラスの歌声を予め家でCDを数回聴いて歌詞も味わってきた(カレーラスは「マリア」)。「人知れぬ涙」は2年前のMETビューイングの場面を思い出しながら何度もCDを聴いた。2曲ともオーケストラ演奏だと前奏が入っていたり、歌が終っても演奏が続いて余韻が残るが今日はそれが味わえなかったのが残念! 「誰も寝てはならぬ」では最後の“Vincero! Vincero!”でもっと盛り上げても良かったように思った。

オペラのアリアに続いてイタリアの歌曲が5曲。錦織も楽しそうに早いテンポに合わせて気持ち良さそうに歌い上げた。
ショパンの名曲にイタリア語の歌詞をのせた歌曲は興味深かった。サルトリ&クァラントットの曲名は英語だがイタリア語で歌われた。

プログラム後半最後の2曲はミュージカル・ナンバー。両曲とも英語で歌われた。「ウエストサイド物語」はオーケストラで聴く機会は結構あるが、歌は何年も聴いていないように思う。TonyがMariaの名を繰り返して呼び、彼女を讃美する歌の歌詞を数十年ぶりに思い出す機会になって良かった。錦織は英語の発音に留意して丁寧に歌っていた。

トークを少なくして2時間のコンサートをこなすのは大変なようで、途中ピアニストのソロもはさんだ。ピアノ・ソロは「プッチーニ:歌劇《マノン・レスコー》より「間奏曲」。
アンコール曲も「オー・ソレ・ミオ」のカンツォーネ以外は、“We are the champion”, “Stand by me”など英語で4曲。
コンサートでいろいろなジャンルの音楽を歌っているのは解っていたが、ポピュラー・ミュージックを取り上げる機会が増えている感じがした。
1000名弱の聴衆も錦織の音楽を求めて聴きに来ている年輩のファンが多いようであった。演奏終了後の拍手、声援は固定したファンの多さを物語っていた。今月2日の朝日新聞の夕刊によると「錦織の趣味はボイストレーニング」と言う。毎日2時間の練習を欠かさないそうである。今日の演奏会で彼の声量が50歳を越えて衰えるどころか、進化しているのではないかと思ったほどである。
来年2-4月にはオペラ・プロデュ―ス「モーツァルト:後宮からの逃走」を手掛ける予定と聞く。

*錦織健はテニスで活躍している錦織圭と間違えられてパソコン等で検索されることが多くなったそうである。錦織圭も島根県出身であるが、島根県には「錦織」という姓が多くて、学校時代にはクラスに3名は同じ苗字の人がいたと言う。名前の呼び方は5通りはあって、彼自身の苗字の読み方も「にしきごおり」であったと言う。(「にしごおり」だったかも?)。大学時代から面倒になって現在の呼び名で通すようになったそうである。
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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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