オルガン名曲コンサート (ジャン=フィリップ・メルカールト)

例年10月は札幌コンサートホール新専属オルガニストがKitaraでデビュー・リサイタルを開催してきた。2015年2月16日から6月16日までKitaraが休館することになるために、14年9月~15年8月の期間は専属オルガニストは不在となる。その間は他のオルガニストが恒例のオルガン・コンサートに出演することになる。
この秋のコンサートは第6代専属オルガニストとして活躍したメルカールトが出演する。

2014年10月4日(土) 14:00開演  札幌コンサートホール Kitara大ホール

〈プログラム〉
 フォーレ(メルカールト編曲):組曲「ペレアストとメリザンド」 作品80
 サン=サーンス(ルメア編曲):死の舞踏 作品40
 ドビュッシー(メルカールト編曲):牧神の午後への前奏曲
 フランク(メルカールト編曲):交響曲 ニ短調

ジャン=フィリップ・メルカールト(Jean-Philippe Merckaert)は1980年、ベルギー生まれ。00年にパリ国立高等音楽院に入学し、オルガンをオリヴィエ・ラトリーに師事。05年、同音楽院をプリミエ・プリを得て卒業。在学中の03年、札幌コンサートホール第6代専属オルガニストに就任。任期中、日本各地でソロリサイタルやオーケストラとの共演を行ない、オルガン教育にも携わった。08年、ブリュッセル王立音楽院にて修士号を取得。07年、ドイツ・フライベルクのジルバーマン国際音楽コンクール第2位。09年、ブルージュ国際古楽コンクールオルガン部門第2位。
11年4月~14年3月まで所沢市民文化センター・ミューズ第2代ホールオルガニストを務めた。07年から活動拠点を日本に移して、サントリーホール、東京オペラシティ、横浜みなとみらいホール、京都コンサートホールなど国内主要ホールに出演。現在、栃木県・那須野が原ハーモニーホールオルガニストを務めている。

メルカールトはKitaraではメルケールと呼ばれていた。(ベルギーの北半分のフランダース地方ではオランダ語、南半分のワロン地方ではフランス語が話されている。 07年までKitaraでは彼の名をフランス語読みにしていた。所沢ミューズでオランダ語読みになったので、Kitaraでも11年以降の出演の際はオランダ語読みになったと思われる。)
私は彼が出演するコンサートを初めて聴いたのが03年のクリスマス・オルガンコンサート、04年のオルガンフェスティヴァルとKitaraのバースディ、07年のリサイタルの4回。ドイツ、フランスの作曲家の他にベルギーの作曲家の曲も取り上げ、協奏曲の演奏も行うなど意欲的なプログラミングが目立った。

今回はオーケストラの編曲ものばかりのプログラムで期待大であった。作曲法も学び、オルガンという楽器の可能性を広げる活動で、有名なオーケストラ曲を自らオルガン曲に編曲して演奏する能力は誰しも出来ることではない。Kitaraのオルガンの特徴を生かした曲の選定がうかがえた。

日本在住で日本語も不自由しないのか、上手で丁寧な日本語で挨拶。3年ぶりのKitara出演で今回のコンサートを楽しみにしていたとのこと。挨拶の内容から日本の聴衆の求めているものを充分に知っている様子であった。聴衆の再三の拍手を浴び、プログラムを告げて演奏開始。

メーテルリンクの戯曲「ぺレアスとメリザンド」はオペラになっているが、その抜粋による管弦楽組曲としても知られている。「前奏曲」、「糸を紡ぐ女」、「シシリエンヌ」、「メリザンドの死」の4曲が演奏された。3曲目が何回か聴いたことのある馴染みのメロディだった。フォーレはオルガニストでもあったせいか、オルガン曲にもアレンジしやすかったらしい。

交響詩「死の舞踏」は真夜中に骸骨たちが現れて踊る情景が描かれ、夜明けに墓に戻って静寂になるストーリー。原曲は知らないが、オルガン編曲はとても面白かった。

ドビュッシーがマラルメの詩「牧神の午後」にインスピレーションを得て作曲し、当時は大きな反響を呼んだ作品。甘美なまでに美しい音色に満ち溢れ、印象派の絵画を思わせる色彩感で幻想的な雰囲気を持つ管弦楽曲。あまりにも有名な原曲をオルガン曲に編曲して良さを出すのは難しかったように思った。

前半3曲はそれぞれ10分前後の曲で、全体的に楽しめた。譜めくりすとをメルカールトの妻であるオルガニストの徳岡めぐみが務めた。オーケストラ曲の編曲には沢山の音色を使うので、レジストレーションを記録するメモリーが足りなくなって準備が大変だった様子。休憩時間に後半のプログラムのために音色を記録しなおす作業を強いられたらしい。アシスタントを務めた妻の裏方の仕事も評価される演奏会。(*Kitara「オルゲル新聞」からの情報による)
譜面をめくる作業は通常オルガニストの右側で行われるが、今日は時折左側からも行っていた。オルガニストの手鍵盤や足鍵盤の使い方を演奏中に観たい場合にRA席のオルガンに一番近い席に座る客には行き届いた配慮だった。(左側から譜めくりしていた理由は知らないが、、、。オルガン演奏会でRA席を選んで困惑している客をよく見かける。)

後半はベルギー出身のフランクの唯一の交響曲。通常の交響曲とは趣の違う曲。交響曲には珍しい3楽章構成。フランクは長年オルガニストを務めてオルガンの名手であっただけに、オルガン的技法が壮麗な響きに現れている。
今まで生演奏で聴いたこともあるが、今日のオルガン編曲の方が感動しやすい曲に感じられた。40分を越える大曲の編曲であったが、編曲作業にかなりの時間を要したと思われる。今回のコンサートのメイン曲となった。

アンコール曲に「サン=サーンス:組曲「動物の謝肉祭」より第13曲「白鳥」。「白鳥」は独立したチェロの作品として演奏されることが多い馴染みの曲。このような名曲をオルガン曲にすると、オルガン演奏会に足を運ぶ人も増えるのではないかと常日頃思っている。今日は客の入りは良かった方である。

演奏終了後ホアイエでメルカールトのCDを買ってサインを貰った。サイン会ではいつものように感想を述べたが、丁寧にフル・ネームでサインしてくれた。デビューから10年も経つが若くて爽やかな印象は変わらなかった。最後に“I hope you will come back.”と言うと“Me,too.”と答えてくれた。後方に思ったより多くの人がサイン会の列に並んでいた。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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