ヴィルタス クヮルテット with 宮澤むじか 札幌公演

2011年まで札幌交響楽団のコンサートマスターを務め、New Kitaraホールカルテットのメンバーとしても活躍していた三上亮が出演するコンサートを久しぶりで聴きたいと思っていたのでこの機会を利用した。

2014年10月1日(水) 19:00開演  札幌コンサートホール Kitara小ホール

ヴィルタス クヮルテット(Virtus Quartet)は福島県のいわき芸術文化交流館アリオスを拠点として2008年に活動を開始した弦楽四重奏団。普段は各地で各々活動していて、年に2回いわきに集合して演奏活動している。
三上 亮(ヴァイオリン、元札響コンサートマスター、サイトウ・キネン・オーケストラメンバー)
水谷 晃(ヴァイオリン、東京交響楽団コンサートマスター)
馬淵昌子(ヴィオラ、紀尾井シンフォニエッタ東京メンバー)
丸山泰雄(チェロ、紀尾井シンフォニエッタ東京メンバー)

〈プログラム〉
 スメタナ:弦楽四重奏曲第1番 ホ短調 「我が生涯より」
 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第8番 ホ短調 op.59-2 「ラズモフスキー第2番」
 ドヴォルジャーク:ピアノ五重奏曲第2番 イ長調 op.81 B.155

スメタナ(1824-84)はチェコ国民音楽の祖としてチェコ国内ではドヴォルジャークより有名で国民から最も愛されていると言う。彼の交響詩「わが祖国」は最も有名な管弦楽曲で日本でも演奏機会の多い曲として親しまれている。
スメタナの生涯は波乱に富んだ一生を送ったとされる。4人の娘のうち3人が次々と病死して、妻も若くして亡くなった。スメタナ自身も40歳頃から耳の病に冒されて、50歳頃から両耳も殆ど聞こえなくなり、自分の人生を振り返って書かれたのがこの「弦楽四重奏曲第1番」である。4つの楽器がそれぞれに会話しながらスメタナの人生を語る。

ベートーヴェン(1770-1827)の《ラズモフスキー》3曲のなかで唯一の短調の曲である。ラズモフスキー伯爵夫人の死に影響を受けた結果、他の2曲より内省的で、悩める者の苦悩を表現した作品とされる。この時期の彼の作品はハイドンやモーツァルトが作り上げた弦楽四重奏という音楽を飛躍的に高めたと言われている。
この曲では社会における人間の激しい苦闘が描かれ、特に第2楽章が全曲中で最も深い味わいのある楽章である。

上記2曲はスメタナ四重奏団、アルバン・ベルク四重奏団のCDで予め聴いてきた。 ヴィルタス・クヮルテットは第1ヴァイオリンの三上を中心にそれぞれのメンバーの演奏がかみ合って好印象を与えた。ベートーヴェンの「第8番」は耳にする頻度も多くなって馴染みの曲になって曲の良さが存分に味わえた。それぞれ30分かかって2曲で1時間を越えたが、聴きごたえがあった。1曲目は新鮮な気分で、2曲目は重みがあって第4楽章では心が弾んだ。

後半のドヴォルジャークの「ピアノ五重奏曲」は今まで聴いたことが無かったかも知れない。やはりピアノが加わると、その楽器の持つ音量が目立った。静かな雰囲気が漂っていた小ホールが突然大きな音で包まれた感じになった。ドヴォルジャークはスメタナと共にチェコ音楽を世界に広めた人気のある作曲家であるが、彼の弦楽四重奏曲は「アメリカ」に親しんでいるだけである。「ピアノ五重奏曲」にも彼が得意とするボヘミアやスラヴの民俗歌謡を用いた美しい旋律がふんだんに出てきた。何度か耳にすると親しめるようになるだろう。

ピアニストの演奏は札幌教育文化会館のほかにKitara大ホールでコンチェルトを一度聴いた記憶があるが、今夜は実際よりとても若々しく瑞々しい演奏で華やかな印象を受けた。下記のプロフィールによっても判るが、かなり経験を積み重ねている感じはした。

宮澤じむかは藤女子高等学校卒業後、渡仏してエコールノルマル音楽院で学ぶ。1993年、ザグレブ国際ピアノコンクール優勝。これまでにザグレブ国立放送響、ワルシャワ・フィル等と共演。サントリー小ホール、Kitara大ホール等でリサイタルを開催。札幌を拠点にフランス、ベトナム、韓国など、海外でも活躍している。

後半の曲も約40分かかって終演時間が9時を過ぎていたが、アンコール曲に「シューマンのピアノ五重奏曲より第4楽章」を弾いた。この曲のメロディが鳴り出すと、何回も耳にしている曲だと判った。立体感のあるスケールの大きな楽章で、8分近くの曲を楽しんで聴けた。宮澤もアンコール曲の方が緊張感が解けて溌剌としていた。
「シューマンの五重奏曲」とホアイエのボードに書かれていた。帰宅して、〈バーンスタイン&ジュリアード弦楽四重奏団〉のCDで確認して尚、心も軽くなった。この曲は“My favorite Quintet for Piano & Strings”になるだろう。

今日の演奏会には満足したが、出演者の発話が一言も無かったのが少々心残り。一言だけでも挨拶があって次回のコンサートにつなげたら良いのにと思った。

*3月末の南米旅行の時、羽田・ロスアンゼルス間の全日空の機内誌で面白い記事を読んだ。「国民一人あたり世界で最もビールを飲んでいる国は?」。 ドイツを思い浮かべる人が多いと思うが、正解はチェコ共和国。日本のビールメーカーの調査(2012年)によると、チェコ国民一人当たりの消費量は大瓶に換算して一年で230本あまり、20年連続の堂々第1位。チェコはビールを「液体のパン」と呼びならわしている国柄。(*年によって違うが2位がオーストリア、3位がドイツ)。
スメタナはビール醸造を生業とする家に生まれた。生まれた場所は世界遺産に登録されているリトミシュル城内のビール醸造所。1949年から毎年6月、この城を主会場にスメタナ国際オペラ・フェスティバルが開催され大統領や首相も訪れると言う。(数ヶ月前にテレビのクイズ番組でビールの消費量の問題が出ていたが、予備知識があったのですぐ解った。)

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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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