札響名曲シリーズ2014-2015 vol.3 巴里のアメリカ人

森の響フレンドコンサート 札響名曲シリーズ 2014-2015 vol.3
 ~巴里のアメリカ人~

2014年9月13日(土) 14:00開演  札幌コンサートホール Kitara 大ホール

指揮/ キンボー・イシイ
ピアノ/ 舘野 泉

〈プログラム〉
 オッフェンバック(ロザンタール編):「パリの喜び」より (抜粋)
 ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲
 ガ―シュウィン:パリのアメリカ人

Kimbo Ishiiは1967年、台湾生まれのアメリカ人指揮者。幼少期を日本で過ごし、ウィ―ン、ニューヨークでヴァイオリンを学んだ後、指揮に転向。92年から小澤やラトルに師事して、彼らの下で副指揮者を務めた後、ニューヨーク州のカユーガ室内管音楽監督(99-07年)、テキサス州のアマリロ響音楽監督(07-12年)。ベルリンのコーミッシェ・オーパーでのカぺルマイスター(06-08年)としてオペラ指揮の経験も積む。世界各地のオーケストラにも客演し、大阪シンフォニカー響の首席客演指揮者に就任(09-13年)。現在はドイツ・マグデブルク劇場音楽総監督を務める。
札響とは度々共演しているが、私が彼の指揮で聴くのは多分今回が初めてである。

Izumi Tatenoは1936年、東京生まれ。 60年東京藝術大学を首席で卒業。フィンランドに渡り、64年よりヘルシンキ在住。68年メシアン・コンクール第2位。同年よりシベリウス音楽院の教授を務め、81年以降フィンランド政府の終身芸術家給与を受けて演奏生活に専念し、世界各国で3500回以上のコンサートを開催。02年、脳溢血で倒れ右半身不随となるが、04年左手のピアニストとして復活。06年、フィンランドのシベリウス協会から「シベリウス・メダル」を授与。08年旭日小綬章受章。これまでにリリースされたLP・CDは130枚にものぼる。

舘野泉のコンサートはかなり以前から聴いているが、はっきり記憶している最初の公演はヘルシンキ・フィル1982年旭川公演。ソリストが舘野で「グリーグのピアノ協奏曲」を弾いた。89年日本フィル北海道定期札幌公演では渡辺暁雄指揮で曲は「グリーグのピアノ協奏曲」。北欧の代表的なピアノ協奏曲はやはりグリーグの作品なのだろう。 その後、92年は札響と「ハチャトリアンのピアノ協奏曲」。95.、96年はピアノ・リサイタル。
復帰後は05、08、10、12年。 05年日本フィル札幌公演、08年札響定期の両演奏会では「ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲」であった。10年は〈演奏生活50周年記念公演〉として開催し、《彼のための音楽を 彼が弾く Vol.4》と銘打ってのリサイタル。舘野のために作曲され献呈された「間宮芳生、末吉保雄、Coba, 吉松隆」による各々の作品の演奏。特に末吉と吉松の室内楽は世界初演となった。12年は子息のヴァイオリニスト、ヤンネ・舘野とのデュオ・リサイタル。
今回は久しぶりの大ホールでの公演で、彼のコンサートを聴くのは2年ぶりで記録しているだけで11回目となる。

オッフェンバック(1819-80)の代表作である喜歌劇「天国と地獄」は20年前の1994年2月、北海道二期会30周年記念公演で札幌教育文化会館大ホールに於いて鑑賞した。(管弦楽は札幌交響楽団、合唱は札幌アカデミ―合唱団。当時は毎年のように北海道二期会のオペラ上演を鑑賞していた。
19世紀後半、ウィ―ンでヨハン・シュトラウス一族の音楽があふれていたが、パリではオッフェンバックが人々を魅了していたと言われる。オッフェンバックが残した様々な作品をもとに20世紀フランスの作曲家・指揮者ロザンタール(1904-2003)がバレー音楽としてまとめたのが「パリの喜び」。

ポルカ、マズルカ、ワルツなどと共にロザンタール自らが書いた小曲も加えられている。オリジナルの23曲のうち18曲が演奏された。パリの街角の雰囲気が良く表現されていた。パリの街を行き交う人々、街の賑わいと喧騒も見事に音楽で表現されていて、街の様子が目に浮かぶように鑑賞できた。ロマンティックな夜の雰囲気も味わえ、気軽に楽しめて心も踊る曲の数々。終盤には運動会で馴染みのメロディに心も浮き立った。結びは彼の最後の歌劇《ホフマン物語》から「舟歌」で幕を閉じた。およそ40分にわたる演奏で打楽器も大活躍。

ラヴェル(1875-1937)はオーストリアのピアニストのパウル・ヴィトゲンシュタインから「左手のためのピアノ協奏曲」の作曲の依頼を受けた。彼は第一次世界大戦に参戦して右手を失って以来、左手だけで演奏してヨーロッパ各地で人気を博していた。ラヴェルは作曲中だったピアノ協奏曲の並行して、依頼を受けたピアノ曲にも力を注いだ。
協奏曲としては大編成のオーケストラ。冒頭からコントラファゴットの独奏による重々しい序奏。作品全体の中心となる主題が提示され独奏ピアノが力強い旋律を奏でる。豊かで濃密な調べが展開され、各楽器の絡み合いが印象深い。カデンツァが片手だけで演奏されていると思えないほどの迫力を感じた。オーボエとフルートが美しい旋律を奏でる場面も良かった。ジャズの要素が取り入れられいるのも面白いと思った。
クリスティアン・ツィメルマンのCDで偶に聴いているので、左手だけの演奏に拘っていなかったが、今度舘野のCDを改めて聴いてみたい気がした。2回CBの中央の席からピアニストの手の動きやオーケストラ全体の動きが把握しやすかった。

ソリストのアンコール曲は「カッチーニ:アヴェ・マリア」。

ガ―シュウィン(1898-1937)は“Rapsody in Blue”で知られるアメリカの作曲家。Gershin は1928年の春、パリに旅行したが「パリのアメリカ人」はその時の印象を曲にした。タイトルのアメリカ人は作曲者自身である。映画化されて世界中で有名になったが、以前借りて観たDVDを今日のコンサートの前に借りてきて先月鑑賞したばかりである。とても懐かし想いをした。100年近くも前のパリの様子が生き生きと描かれていた。ミュージカル映画の傑作。
曲はヴァイオリンとオーボエによる「散歩のテーマ」で始まる。タクシーのクラクションが聞こえてきたり、トランペットによる哀調を帯びたブルースなども含めて華やかなパリの情景が映し出される。
木管、金管の他にジャズ音楽に必須の楽器サクソフォンが3本加わっての音楽は独特のリズムを作り出していた。
この曲はPMFでもたびたび演奏されて親しまれている。
指揮者はアメリカ人でこのようなポピュラーな曲を得意にして、演奏経験が豊富なように感じられた。

オーケストラのアンコール曲は「サティ(ドビュッシー編):ジムノぺディ 第1番」。
*サティ(1866-1923)が21歳の時の曲をドビュッシー(1862-1918)が編曲したことになる。ドビュッシーよりサティはずっと後の世代の作曲家だと思っていたので、ホアイエ出口のボードを見て少々驚いた。


[追記] 9月14日(日)のNHK Eテレの《クラシック》音楽館》で7月18日行われた【N響「夏」2014】のコンサートが録画で放送された。イギリス人指揮者レオ・フセインの指揮でモーツァルトとラヴェルの曲が演奏された。

「ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲」のピアノ独奏は舘野泉であった。前日の午後札幌コンサートホールKitaraで聴いた曲を翌日テレビで観ることなってビックリした。生演奏も良い席から充分に楽しめたが、テレビでは手・指・顔がアップされて違う角度からの映像と共に実に興味深い瞬間を味わった。2日連続で同じピアニストで同じ曲を楽しめてとても良かった。当日は聴き終わった途端に思わずツイッターでつぶやいた。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

fsuterry

Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR