札響第571回定期演奏会(2014年8月)

札幌交響楽団第571回定期演奏会(昼公演)

2014年8月30日(土) 14:00開演  札幌コンサートホール Kitara大ホール

通常、コンサート会場には開演20分前ぐらいに到着するようにしている。札響のメンバーは大ホールで定期演奏会が始まる30分前に1階ホアイエで「ロビーコンサート」を開催している。今日は偶々13時30分少し前にホアイエに入った。手渡されたプログラムを見るとロビー・コンサートの曲目が早坂文雄作曲の「弦楽四重奏曲(1950)第1、第2楽章」と書かれていた。
8月の定期は札幌ゆかりの早坂文雄の生誕100年記念の演奏会であった。(早坂は同じ1914年生まれで札幌出身の伊福部昭とも交流があった。5月の定期は伊福部の生誕100年記念コンサートであった。)
ロビー・コンサートを最初から最後まで傾聴したのは初めてであった。曲の第1楽章は現代曲の感じとは違って、好んで聴く弦楽四重奏曲に似ていて意外に聴きやすかった。第2楽章はピッツィカート奏法で興味深かった。全楽章聴いてみたい気がした。
出演:三原豊彦、福井岳雄(Vn)、三原愛彦(Va)、荒木均(Vc).

Sapporo Symphony Orchestra the 571st Subscription Concert
指揮/ 下野 竜也

下野竜也(Tatsuya Shimono)は1969年、鹿児島生まれ。92年、鹿児島大学教育学部音楽科卒業。93~96年、桐朋学園大学で指揮を学ぶ。96年、イタリアのキジアーナ音楽院でオーケストラ指揮のディプロマを取得。97~99年、大阪フィル指揮研究員を務め朝比奈隆の薫陶を受けた。99年9月より文化庁から派遣されて1年間ウィ―ン国立音楽大学に留学、01年6月まで在籍。2000年東京国際音楽コンク―ルの指揮部門に優勝。01年、ブザンソン国際指揮者コンクールに優勝して一躍脚光を浴び、その後は国内主要オーケストラだけでなく海外のオーケストラにも客演を重ねた。06年読売日本交響楽団正指揮者に就任。以降、目覚ましい活躍ぶりで日本の若手指揮者のトップに躍り出た。09年にはチェコ・フィルに客演。10年、サイトウ・キネン・オーケストラのニューヨーク公演に登場し、カーネギーホール・デビューを飾った。

私が初めて聴いた下野指揮による演奏会は04年2月の札響名曲シリーズ。07年2月の名曲シリーズに続いて、12年3月の札響定期に初登場。12年12月の2日続きの読売日響連続演奏会は会場が熱狂的な雰囲気に包まれた記憶が生々しい。今回で6度目となる。
13年4月、読売日響の首席客演指揮者に就任。14年4月、京都市響常任客演指揮者に就任。07年から上野学園大学教授を務める。

〈プログラム〉
 J.ウィリアムズ:組曲「スター・ウォーズ」
 早坂文雄:交響的組曲「ユーカラ」(1955) ≪生誕100年記念≫

ジョン・ウイリアムズ(John Williams)(1932~ )はアメリカの作曲家、指揮者。ジュリアード音楽院、UCLAで学ぶ。1950年代後半からハリウッドでピアニスト・編曲者として活動、1960年代から映画音楽やテレビ音楽を手がけた。代表的な映画音楽は「ジョーズ」(75年)、「未知との遭遇」(77年)、「スター・ウォ―ズ」シリーズ(77年~ )、「E・T」(82年)、「シンドラーのリスト」(93年)、ハリー・ポッターと賢者の石」(01年)などがある。ボストン・ポップスの指揮者としても活躍し(80-93年)、管弦楽曲や協奏曲も作曲している。

映画「スター・ウォ―ズ」は77年に公開され世界的に大ヒットした。コンサート用に映画の代表的な場面の音楽を編集して組曲版が作られた。5曲から成る。第1曲「メイン・タイトル」は壮麗な音楽で、誰でも耳にしているメロディで親しまれている。極めてドラマティックで、序曲のような曲。第2曲:「レィア姫のテーマ」ではフルートが優美な旋律を奏でる。第3曲:「インペリアル・マーチ」は金管楽器が活躍する勇壮な音楽。第4曲:「ヨーダのテーマ」。第5曲:「王座の間とエンド・タイトル」。最終曲に第1曲の輝かしい音楽が再現され、ファンファーレが響いて歓喜のフィナーレで終結。

札響は「スター・ウォーズ」を抜粋も含めて133回も演奏してきたと言う。第1曲が欠かさず演奏されているのは確かであろう。尾高音楽監督によると、この曲はプロのオーケストラにとっても決してやさしい曲ではないそうである。
偶にはこんな音楽を聴くのも気分転換にはなる。

早坂文雄(Fumio Hayasaka)(1914-55)は仙台生まれ。幼いころ札幌に移住し、旧制北海中学を卒業。15歳で作曲家を志し、独学で学ぶ。1939年、東宝映画に映画監督として入社し、数多くの映画音楽を担当。雅楽を素材とした「左方の舞と右方の舞」(42年)、「管弦楽のための変容」(53年)など民族色ゆたかな名曲を残した。

交響的組曲「ユーカラ」は東京交響楽団の委嘱により55年に完成し、同年、東京響定期演奏会で初演された。それから4ヶ月後に、早坂は結核のため41歳で死去した。彼はアイヌの叙事詩「ユーカラ」を金田一京助の訳で読んで、およそ20年に亘って構想を練っていた作品と言われる。演奏に1時間近くかかる大曲である。
6曲構成。各曲にアイヌの叙事詩に基づく副題が付いていて、絵巻物風の構成になっている。第1曲:「プロローグ」はクラリネット独奏による瞑想的で情感あふれるメロディがかなり長く奏でられ、聴く者を惹きつけた。第2曲はホルン、ファゴットが主題を奏でた。第3曲は弦楽合奏。 第4曲では打楽器群のリズムが弾む。打楽器奏者(8名)と指揮者の掛け合いが面白かった。指揮者と打楽器奏者との一体感が感じ取れ、指揮者がまるで演奏者になった印象を受けた。打楽器に続いて管楽器の旋律が絡み、次々と楽器が増えて、曲も盛り上がってクライマックスへ。この楽章での気迫みなぎる下野の指揮ぶりが特に印象に残った。第6曲の「荒熊を懲らしめる話」では打楽器と弦楽器、管楽器が見事に掛け合って、緊張感あふれる終曲となった。

演奏終了後、下野は楽譜を手に聴衆へ作曲家に対する敬意を表し、拍手に応えてステージに出てくるたびに楽譜に感謝の礼をした。再三にわたって賛辞を惜しまない彼の態度も改めて印象に残って、早坂の偉大さを教えられた気がした。
早坂文雄は映画分野では「羅生門」、「七人の侍」などの黒沢明作品、「雨月物語」などの溝口健二作品など数多くの作品の音楽を手がけた。東京交響楽団が準・メルクル指揮で9月に川崎と新潟で「左方の舞と右方の舞」を演奏する予定になっている。

下野竜也は札響でヒンデミットの作品を以前に指揮したことがあった。今日は珍しい現代作品をプログラムに取り上げて独自性を出している充実した指揮ぶりを目にして、日本の指揮界のトップに躍り出た理由が判ったような気がした。
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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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