オクタヴィアン・ソニエ フェアウェル オルガンリサイタル

Kitara第16代専属オルガニスト、オクタヴィアン・ソニエの1年間の任期の締めくくりとなるサヨナラ公演。

2014年8月24日(日) 14:00開演 札幌コンサートホール Kitara大ホール

〈プログラム〉
 メシアン:永遠の教会の出現、 天上の宴
 J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
 ヴィヴァルディ(J.S.バッハ編曲):協奏曲 ニ短調 BWV596
 J.S.バッハ:トリオ・ソナタ 第6番 ト長調 BWV530より 第1楽章
 ヘンデル(ギュー編曲):オルガン協奏曲 ニ短調 作品7-4 HWV309より 第2楽章
 メシアン:キリストの昇天
 デュリュフレ:オルガン組曲 作品5
 ヴィエルヌ:幻想的小品集より 「ウェストミンスターの鐘」 作品54-6

オクタヴィアンは昨年9月の専属オルガニスト就任以来、東京・京都でのコンサート・ホールや道内の教会での演奏会を含めてこの1年間で30以上ものコンサートに出演してエネルギッシュな活動を続けてきた。本日が文字通りのサヨナラ公演。

13年10月のデビューリサイタルではメシアンの曲で締めたが、今日はメシアンの曲から始まった。
メシアン(1908-92)は2008年の生誕100年記念で「トゥ-ランガリラ交響曲」など彼の曲を聴く機会が増えた。鑑賞が難しい作曲家と思っていたが、この2つのオルガン曲は意外と心に沁みた。
パリ音楽院でメシアンの教えを受けた加古隆が数年前にパリを訪れ、メシアンが弾いていたノートルダム大寺院のオルガンに耳を傾けるテレビ番組を見た。その時の教会のイメージを目を閉じながらオクタヴィアンの演奏に聴き入った。普段のKitaraのオルガンと違った聴き方が出来た。現代のオルガンの持つ音量や演奏者の高度な演奏技法とはあまり関係のない宗教音楽が美しく流れた。 純粋で清楚な温かい響きがした。

打って変って、最も馴染みのあるオルガン曲である「バッハ:トッカータとフーガBWV565」は今まで何十回と聴いてきた演奏で一番印象に残った。前2曲と対照的な演奏となったので、なおさらこの曲がダイナミックで新鮮に感じられたのだと思う。

ヴィヴァルディ(1684-1741)からイタリア音楽の影響を受けたバッハ(1685-1750)のこの編曲は明るい雰囲気でヴィヴァルディらしさがあると感じた。何となく聴いたことがあると思ったら、この曲は第15代の専属オルガニストのマグダレナ・カチョルが録音したCDに入っていた。

休憩直後の2曲はオルガン曲としては大曲になると思う。

メシアンの「キリストの昇天」はその一部を聴いたことがあるが全曲は初めてである。オクタヴィアンの解説によると、この曲集は元々オーケストラのために書かれたものがオルガン用に編曲されたと言う。この曲は何度か聴かないと良さが伝わってこないと感じた。

デュリュフレ(1902-86)の名はオルガン曲は好みではなくても判るほどになった。何度か彼の小品は演奏会で耳にしている。《オルガン組曲 作品5》は彼の最も有名な作品のひとつだそうである。「前奏曲」、「シチリアーナ」、「トッカータ」の3つの楽章から成る。ドラマティックで緊張感に満ちた「前奏曲」に続いて、清らかな旋律で詩情豊かな「シチリアーナ」。最後の「トッカータ」は技巧的で非常に力強い主題が足鍵盤で演奏された。
第11代の専属オルガニストのシンディ・カスティーヨが「シチリアーナ」の楽章をCDに録音していた。オルガン曲は詳しくないので手元のCDで演奏会前後に聴いて親しむようにしている。

ヴィエルヌ(1870-1937)の名もKitaraでオルガン曲を聴いて知った。彼は小品を多く作曲しているためか、オルガンリサイタルで演奏されたり歴代の専属オルガニストがCDに好んで録音している。
「幻想的小品集」は4つの組曲がある。作品51~54。オクタヴィアンによると、彼の小品集の作曲によって「コンサートのためのオルガン音楽」が普及したそうである。
「ウェストミンスターの鐘」は作品54の終曲である。ヴィエルヌはチャイムのメロディをモチーフとして作曲した。荘厳で力強い作品になっている。
日本で学校などで放送されている「キーンコーンカーンコーン」のチャイムのメロディとして知られている。(ウエストミンスターの鐘は日本では学校のチャイムとして始業、終業のチャイムとして親しまれ、今日でも使っている学校があるのではないか。)
 
演奏終了後に日本語で丁寧な挨拶があり、彼のオルガン伴奏に合わせて聴衆が「金子詔一:今日の日はさようなら」を歌った。日本のメロディと歌詞が気に入って日本の聴衆と一緒に音楽を楽しみたいと思ったようである。「今日の日はさようなら またあう日まで」の最後の歌詞に想いを込めたのではないだろうか。

アンコールとして上記の曲を最後にした方が良かったと思ったが、最後のアンコール曲として「モーツァルト:アンダンテ ヘ長調 K.616」を演奏した。この曲は〈自動オルガンのための〉曲として作られた。誰でも耳にした曲としてそのメロディが親しまれている。自動オルガンのため長々と続いた感があったのが少々気にかかった。本人にとっては時間がまだまだ欲しい演奏会だったのだろう。終演時間が16時半近くになっていた。彼のCDを購入しようかと思ったが、時間的余裕がなかったので別の機会にすることにした。多分、サイン会に多くの人が並んだのではないかと思った。5、6年前にKitaraボランティアとして演奏会当日にサイン会を開いたらどうかと提案したことがあった。

異文化に接し、日本語、日本の数々の文化を積極的に吸収した意欲的な日本でのこの1年間はオクタヴィアンにとって掛け替えのない経験になったことに祝意を表したい。 きっとKitaraに帰ってこれるだろうし、帰ってきてほしいと願う。

***ロンドンにあるウェストミンスター宮殿(英国国会議事堂)に付属する時計塔(ビッグ・ベン)が奏でるメロディが「ウェストミンスターの鐘」。時計塔は1859年に創設され、正式名は“Clock Tower”。通称“Big Ben”として親しまれている。ビッグ・ベンは中にある鐘の名前であるが、現在では時計塔全体、時計本体の名称として知られている。2012年6月にエリザベス2世の在位60周年を記念して、同年9月に時計塔の正式名が“Elizabeth Tower”に改称された。ただ「エリザベス・タワー」が正式名になったとは言え、長年に亘ってロンドン市民に親しまれてきている「ビッグ・ベン」の愛称が変わらないかも知れない。
「札幌市時計台」(旧札幌農学校演武場)でボランティア活動に携わって6年目になる。札幌市時計台の時計は米国ボストン市ハワード社製で1881年に設置された。133年を経た現在も、重り巻き上げ方式で正確に時を刻んでいる。明治時代に創設された唯一の日本最古の塔時計である。
上記の「クロック・タワー」の正式名を知らなかったイギリス人も、現在では「エリザベス・タワー」と呼ぶ人が増えていると思う。今後、定着するかどうかはわからない。今月、ボランティア活動でたまたま話題が時計塔に及んだ時に初耳だという人が多かったのでここで言及してみた。






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Author:fsuterry
年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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