札響名曲シリーズ2014-2015 vol.2 千夜一夜の物語

札響森の響フレンドコンサート

2014年6月7日(土) 14:00開演  札幌コンサートホール Kitara大ホール

指揮/ 山下一史(Kazufumi Yamashita)    管弦楽/ 札幌交響楽団
チェロ/ ミハル・カニュカ(Michal Kanka)

〈プログラム〉
 グリンカ: 歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
 チャイコフスキー: ロココ風の主題による変奏曲 (チェロ独奏/ミハル・カニュカ)
 リムスキー=コルサコフ: 交響組曲「シェエラザード」

山下一史は1961年生まれ。84年桐朋学園大学卒業後、ベルリン芸術大学で学び、85年からカラヤンのアシスタントとなる。86年、デンマークのニコライ・マルコ国際指揮者コンクールに優勝。スウェーデン・ヘルシンボリ響の首席客演指揮者、九州響常任指揮者を歴任。06年、仙台フィル指揮者に就任して、09年から12年まで同フィル正指揮者。09年にはサンクトペテルブルク響に客演。88年にN響にデビュー、89年と94年には札響と共演(当時は札響会員で、手元に彼の指揮の記録がある。この後も札響と共演を重ねていると思うが定期会員を休んでいた時期があるので不明)。 

グリンカ(1804-57)はロシア国民楽派の祖。いわゆる「五人組」やチャイコフスキーに影響を与えた。「ルスランとリュドミラ」は彼の代表作。悪魔に奪われたリュドミラを求婚者ルスランが救出するという民話に基づくオペラ。序曲は速いテンポで展開され活気に満ち溢れていて、アンコール曲などで演奏される機会も多い。

チャイコフスキー(1840-93)は早くから西欧の音楽に馴染んで、76年に「ロココ風の主題による変奏曲」を作曲した。ロココ風とはフランスのブルボン王朝の頃の家具や建築などに用いられた華やかな装飾のことだと言う。
この曲に親しんだのはロストロポーヴィチとハンナ・チャンのCDを通してであった。チャンは94年に11歳でロストロポーヴィチ国際チェロコンクールで優勝し世界中の話題をさらった。03年にKitaraのステージに登場した時に、韓国のチェリストからCDにサインをしてもらった記憶が鮮烈に蘇る。12年4月、第14回チャイコフスキー国際コンクールの優勝者ガラコンサートの折にはチェロ部門第1位のナレク・アフナジャリャンがチェロ協奏曲に相当するこの曲を弾いた時のことも忘れられない。
華麗な旋律の主題と7つの変奏曲から成る。テーマが魅力的で歌心が豊かであり、とても親しみ易いメロディ。特にアンダンテ・ソステヌートの第3変奏は美しい旋律美でチャイコフスキーらしさを存分に味わえた。第5変奏にカデンツァが入って技巧が発揮された。(この曲の演奏で金管楽器はホルンのみで、打楽器は無し)

チェロ独奏のミハル・カニュカは1960年プラハ生まれ。プラハ音楽院に学ぶ。82年、チャイコフスキー国際コンクールで上位入賞。83年、プラハの春国際音楽コンクールで第1位。86年、ミュンヘン国際音楽コンクールで最高位(第1位なしの第2位)。ヨーロッパのトップ・オーケストラと共演を重ねており、世界各地でリサイタルを開催している。プラジャーク弦楽四重奏団としてKitaraにこれまで9回出演し、一昨日も小ホールに出演したばかりである。
ソリストとして違う魅力を披露した。演奏終了後、拍手が鳴りやまず、アンコール曲に「J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲第4番より ジーク」を演奏。

リムスキー=コルサコフ(1844-1908)は「五人組」の一人で、ロシア国民楽派。多くの分野で作曲活動を行なったが、管弦楽曲に名作が多く、「シェエラザード」は最も有名な曲として知られている。シェエラザードは〈千夜一夜物語〉(=アラビアン・ナイト)で語り手を務めるヒロインの名前。アラビアン・ナイトから4つのエピソードを取り上げて、88年にこの曲を作った。
第1楽章“海とシンドバッドの船”、第2楽章“カランダール王子の物語”、第3楽章“若い王子と王女”、第4楽章“バグダッドの祭、海、青銅の騎士の立つ岩で難破、終曲”。
 
シェエラザードの優美な主題がヴァイオリン独奏とハープで提示される。二人の奏者が物語の語り手と聴き手のように、全4楽章に頻繁に現れて、巧みに描写される。絢爛豪華なオーケストレーションは実に見事で、聴く者の心を捉える。
大平コンマスの奏でるゆったりとした優美な旋律が時には感情がこもって早くなり、話の様子に説得力が出ていた。反応するハープもこの音楽の素晴らしさを際立たせていた。打楽器を含め各楽器群の華々しい演奏も良かった。(ホルンの音色が気になるところが少しあったが、、、)。指揮者はダイナミックで表情豊かな指揮ぶりでオーケストラから、エキゾチックな雰囲気に包まれた曲の魅力を存分に引き出していた。この曲は仙台フィルとCD制作を行っているというから、彼の得意とする曲なのだろう。
とにかく久し振りに聴くシェエラザードを楽しんだ。

オーケストラのアンコール曲は「ドヴォルジャーク: スラヴ舞曲 第10番 op.72-2」。


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年間60回以上札幌コンサートホールKitaraに通うクラシック音楽ファン。クラシック全般に関心があるがオーケストラ・ピアノ曲が特に好きである。 

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